
「今の仕事は、10年後もあるだろうか?」
安定志向でホワイトカラーの道を選んだはずなのに、どこか落ち着かない。AIの進化や予測不能な社会の変化によって、自分の居場所がいつまで確保されるのか分からない――。そんな漠然とした不安を抱える若い世代は多い。
「本当の安定とは、会社に守られることではありません。自分の努力が、外的要因にリセットされない場所を持つことです」
そう語るのは、電気主任技術者の安達氏。かつて飲食業界で「自分の努力ではどうにもならない壁」にぶつかった彼が、40代で未経験から電気主任技術者の世界に飛び込み、手に入れた「最強の生存戦略」について聞いた。
安達 亨(電気主任技術者)
大学卒業後、大手外食チェーンを経て、飲食店の経営・プロデュースに携わる。メニュー開発から多店舗展開まで幅広く手腕を振るう中で、景気や外的要因に左右されない「国家資格に基づく独占業務」の安定性に注目。
電気保安のプロであった父の姿をロールモデルに、異業種からの転身を決意した。
専門学校での2年間の猛勉強を経て「電験三種」を取得。母校での講師業務と実務経験を並行して6年間積み、2014年(平成26年)に独立。
現在は大手建設現場やビルの保安管理を担いながら、後輩の独立支援を行う。
目次
「うどん屋」での挫折。努力が報われない怖さ
安達氏のキャリアの原点には、苦い経験がある。かつて大手チェーンを経て、飲食店の運営会社にてうどん屋の開業・経営を担っていた頃のことだ。
「メニュー構成から素材選びまで、すべて自分で行っていました。仕事は楽しかったです。でも、どんなに美味いものを作っても、客が来るかどうかは立地や周りの店、資金繰りといった『自分ではどうにもできない理由』に左右されてしまいます」
最後は不測の運営会社の経営難に見舞われ、志半ばで店を畳むこととなった。積み上げたこだわりが、外的要因によって一瞬でゼロになる。その虚しさに直面した安達氏は、「努力の蓄積が、そのまま成果に直結する仕事」を求めて地元へ戻った。そこで目にしたのが、定年後も現役で、自分のペースで仕事を調整しながら高収入を得ていた父の背中だった。
法律に守られた「自分の椅子」を確保する
安達氏が選んだ電気主任技術者は、ビルや工場の電気設備を点検し、法令に基づく安全管理を担う業務だ。この仕事に就くには、電験と呼ばれる資格と、実務経験が求められる。電験は三種から一種まであり、電験三種であれば五年以上の実務経験を要する。
この仕事の最大の特徴は、資格と実務経験に保護された法的な独占業務でありながら、景気に左右されないストック型の事業構造にある。その強みは、大きく3つの要素に分けられる。
- 外的要因に強い: 建物がある限り、法律で点検が義務付けられている。景気が冷え込んでも、電気を止めるわけにはいかないため、需要が消えることはない。
- 努力が積み上がる: 自分が取った資格、磨いた技術、築いた信頼は、誰にも奪われない。その実績は「自分の案件」としてストックされ、キャリアを重ねるほど安定感が増していく。
- AI時代の聖域: 現場の設備を五感で確認し、法的責任をもって判を押す。この物理的・倫理的なプロセスは、画面の中で完結する仕事に比べて圧倒的に代替が困難だ。
また、現場職のなかでも比較的身体的な負担が少ないため、怪我による早期リタイアが少ない事も大きな魅力と言えるだろう。
「この世界は、自分が動いた分だけ確実に積み上がっていきます。外的要因に振り回されたくない人にとって、これほどフェアな土俵はないです」と安達氏は語る。
会社員を続けながら手に入れる、一生モノのセーフティネット
一般的に、電験の資格は難関と言われている。だが、安達氏は「今の仕事を続けながら、コツコツと武器を揃えていけばいいです」と説く。畜産学科出身で「ほぼ文系」だった安達氏が実践したのは、無理のない長期戦略だった。
「資格取得にあたり、まずは中学・高校数学のやり直しから行いました。電験三種の計算問題は、はじめのうちは2時間かけても1問も解けない。でも、『1日2時間』と決めて机に向かい、移動中には電気法規の過去問を解き、これを2年続けました」
資格取得後もすぐに独立する必要はない。例えば転職という形で、会社員として実務経験を積みながら、少しずつ「自分の椅子」を用意することもできる。独立までのステップを俯瞰すると、着実なロードマップが見えてくる。
【「いつでも独立できる自分」を作る3ステップ】
- 資格の取得: 働きながら電験三種の試験に合格する。試験は年2回あり、必要な学習時間の目安は0からのスタートで1,000時間ほど。
- 実務経験の蓄積: 実務経験を積める会社に転職する、あるいは安達氏のような技術者の下で実務経験を積む。独立には5年以上が必要だが、安定を求めるのであれば会社員として働き続ける選択肢も。
- 人生の選択権を行使: 会社に残ってその専門性を発揮してもいいし、自分のタイミングで独立してもいい。
「この『カード』を完成させてしまえば、いざとなれば個人で食っていけます。その『いつでも別の道を選べる』という精神的なゆとりが、会社との向き合い方を劇的に変えてくれます。会社と対等に向き合えるからこそ、仕事が楽しくなるんです」
「年収1,000万」より「賢い経営」という豊かさ
安達氏の収入は、電気主任技術者として開業した後、2年目にはうどん屋時代のそれを超えていた。更に3年目〜4年目の頃にはゼネコンの案件を獲得したこともあり、収入はうどん屋時代の3倍にも及んだ。
これだけ聞けば、昨今の「ブルーカラービリオネア(年収1,000万円以上の高収入現場職)」そのものだろう。
しかし、安達氏の視点はもっと現実的でスマートだ。
「たしかに稼ごうと思えば稼げますが、個人事業主なら額面の『年商』1,500万円程度でゆったり暮らすのが、実は一番豊かかもしれません。車や家の費用を、業務使用分に応じて按分し、経費にするなど、自営業ならではの合理的な設計もできます。手取りの年収を競うより、自分の生活をどうデザインするかが重要です」
安達氏が現場に出るのは月に15〜20日ほど。事務作業は自分のペースで中断でき、趣味やイベント主催にも時間を割ける。80歳まで現役でいられるこの仕事は、老後の不安を「生涯現役」という誇りに変えてくれる。
50年後の自分を、今の自分が助ける
現在、安達氏の周りには20代や30代の教え子たちが続々と集まっている。彼らはAI時代の波に怯えるのではなく、自分の足で立ち、互いに案件を紹介し合えるコミュニティを築き始めている。
「人手不足の今、参入するには空前のボーナスタイムです。若い人がこの業界に来て、50年後に『あの時始めてよかった』と思ってほしいです」
今の居場所が、いつまでもあるとは限らない。だからこそ、今のうちに「自分の力だけで食える武器」を用意しておく。それは、50年後の自分を救うための、最も賢く、最も安定した選択肢だ。
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記事に登場した安達氏が、2026年開催の「建設業働き方フォーラム」に登壇決定。 未経験から「電験三種」を武器に人生を切り拓いた軌跡や、記事では書ききれなかった「個人事業主としての賢い生き方」、そして次世代を育てるコミュニティの真実を、安達氏の言葉で直接お届けします。
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株式会社助太刀マーケティングチーム
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助太刀社員 転職サポート編集部です。転職にまつわるお悩みや疑問にお答えし、より良いキャリアを作っていけるようにお手伝いさせて頂きます。

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