そこで、建設業界における補助金や助成金について、様々な観点から紹介します。
建設業が対象の助成金や補助金の種類と対象事業主は
建設業者が活用できる主な助成金と補助金の種類と対象事業主を紹介します。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、就業の経験が少ない求職者を原則3カ月間試用できる助成金制度です。
試用期間中に労働者の適性や能力をチェックできるので、労働者と雇用主の双方のミスマッチを防げます。
令和4年度のトライアル雇用コースには、以下があります。
一般トライアルコース
職業経験や技能、知識などにより安定的な就職が難しい求職者について、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介にて、一定の期間試行雇用をする場合に助成される助成金制度です。
一定期間雇用した求職者の適性や業務遂行可能性をチェックして、求職者や求人者の相互の理解を促進することなどを通じ、早期就職実現や雇用機会創出を図ることが目的です。
新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース
紹介日において離職していて、今まで経験したことがない職業に就くことを希望している求職者を、無期雇用契約へ移行することを前提にしている助成金制度です。
一定期間試行雇用をした後、雇い入れた事業主に、助成金が支給されます。
引用元:
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000855427.pdf
新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース
新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースは、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の無期雇用の雇い入れを希望している求職者を雇い入れることに対して助成される助成金制度です。
引用元:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
IT導入補助金
IT導入補助金は、建設業者の方々のデジタルトランスフォーメーションを進める切り札となる補助金です。
IT導入補助金 通常枠(A·B類型)
中小企業や小規模事業者が、自社の強みと弱みを分析して、業務効率化を図ることへの対策に対してITツールの導入費用を支援してもらえる補助金です。
参照:https://www.it-hojo.jp/overview/
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路開拓などの取り組みや事業効率化の取り組みを支援するための補助金です。
種類は、一般型と低感染リスク型ビジネス枠の2つがあります。
一般型の補助上限額は50万円で補助率は2/3、低感染リスク型ビジネス枠の補助上限額は100万円で補助率は3/4です。
参照:https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/jizokuka.html
ものづくり補助金(一般型)
ものづくり補助金は、設備投資に支援をする補助金です。通常枠と低感染リスク型ビジネス枠の2種類があります。
通常枠の補助上限額は1,000万円で補助率が1/2、低感染リスク型ビジネス枠の補助上限額は1,000万円で補助率は2/3です。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、賃金の引き上げに対し負担を軽くすることによって、最低賃金の引き上げのための環境整備ができることを目的としている補助金です。
「事業場内で最も低い賃金」を一定の額以上に引き上げるとともに、生産性の向上へ繋げる機械設備やコンサルティング導入、人材育成などへの設備投資などを行った際に、かかった費用の一部の助成が行われます。
令和3年8月の一部改正により、助成される上限額が引き上げとなりました。
コースは、以下の通りです。
参照元:厚生労働省HP(業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援)
助成率は、事業場内最低賃金が900円未満の場合は5分の4であり、生産性要件を満たした場合は10分の9となります。
事業場内最低賃金が900円以上の場合は4分の3であり、生産性要件を満たした場合は5分の4となります。
建設事業主等に対する助成金
人材確保等支援助成金は、雇用している建設労働者の定着を図ることを目的として支給される助成金です。
建設事業種等に対する助成金は、以下の (1) ~ (12) の助成コースから構成されており、建設事業主や建設事業主団体等が、建設労働者の雇用の改善や建設労働者の技能の向上等をはかるための取組みを行った場合に助成を受けることができます。元々は建設労働者確保育成助成金と呼ばれていましたが、令和4年4月1日より、新しく新設された制度です。
トライアル雇用助成金
(1)若年・女性建設労働者トライアルコース
人材確保等支援助成金
(2)建設キャリアアップシステム等普及促進コース
(3)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)(事業主経費助成)
(4)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)(事業主団体経費助成)
(5)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)(推進活動経費助成)
(6)作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(作業員宿舎等経費助成)
(7)作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(女性専用作業員施設設置経費助成)
(8) 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)(訓練施設等設置経費助成)
人材開発支援助成金
(9)建設労働者認定訓練コース(経費助成)
(10)建設労働者認定訓練コース(賃金助成)
(11)建設労働者技能実習コース(経費助成)
(12)建設労働者技能実習コース(賃金助成)
助成金や補助金を申請する時の注意点とは
助成金や補助金を申請する際には、注意すべきいくつかのポイントがあります。どのようなポイントに注意すべきなのか紹介します。
申請期間の期限を守る
書類提出期限まで申請をしない場合、助成金の受給はできません。提出期限は最寄りの地道府県労働局やハローワーク(公共職業安定所)にて相談すると、わかりやすく教えてくれます。
現地確認が必要となる場合がある
支給要件を確認するために、費用の負担や賃金の支払い、訓練の実施の状況、建設労働者の雇用状況などについて、現地にて確認したり聞き取りして、制度を運営する事務局に報告や書類の提出を求められる場合があります。
この確認に協力しないと、助成金支給にならないことがあります。
補助金は審査落ちすることもある
補助金や助成金の財源は公的資金から捻出されるので、誰でももらえるというわけではなく、一定の条件に当てはまらないと対象とはなりません。
助成金は、条件を満たすことで受給できる可能性が高いです。しかし、補助金は採択件数や金額が決まっているものが大半であり、申請しても必ず受給されるとは限りません。
補助金の多くは後払いとなる
補助金は先に出るものと勘違いしている方もいるようですが、それは間違いです。補助金の多くは、後払いとなります。たとえば総額300万円の事業のために1/3の補助金が出る場合は、まず先に自社のお金で300万円を支出しなければなりません。
支出時期に注意をする
補助金の場合、事業期間を定めることが大半です。事業期間に支出した経費の他は経費として認められず、補助を受けられない場合もあります。
事業期間が6月1日~1月31日までの場合、5月31日に支出したものも、2月1日に支出したものも補助を受けられない可能性が高いです。
また、事業期間は年度末というイメージがあるかもしれませんが、そうではないことも覚えておきましょう。年度末ではなく少し早めに設定されている場合が多いので、注意が必要です。
助成金の返還
詐欺や脅迫、贈賄などの刑法に触れる行為を含んだり、刑法上犯罪を構成するまでには至らなかったりする場合であっても、本来受けるべきではない助成金の支給を受けた、または受けようとした場合、支給した助成金の全額や一部の返還が発生します。
5年間書類の整理保管をする
助成金の支給にて提出した書類は、助成金に関する支給が決定した日から計算して5年間保存しなければなりません。
引用元:
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000923337.pdf
https://j-net21.smrj.go.jp/qa/financial/Q1339.html
まとめ
今、建設業界は労働者不足です。AIなどの技術を活かした建設とボットの建設DX化が、今後大きく前進するとも言われています。
事業を拡大していくためには運転資金に加えて様々な分野への投資が必要になってきます。ですが、最初からまとまった投資資金を用意する事は簡単ではありません。そんな時に補助金や助成金を上手く使って事業を進める事をおすすめします。
今回紹介した助成金や補助金を上手く活用し、事業を成長させていきましょう。
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