平成27年〜令和3年の期間で、熱中症が原因の総救急搬送数は『373,579人』。そのうち建設業での救急搬送は『1,102人』です。残念ながら亡くなられた方は、【64人】です。熱中症の発症率が上がる5月〜9月の期間内は、全国で毎日7人の建設業関係者が熱中症に倒れ、約2日に1人は亡くなる計算になります。
【参考】
救急搬送数(総務省消防庁)
建設業の救急搬送数(厚生労働省)
①https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000509930.pdf
②https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000900477.pdf
「全国で一人なら…」と対岸の火事だと思わないでください。実は、熱中症は帰宅後や翌日に発症する可能性も十分にあり、就寝した状態で発症しそのまま手遅れになんて事例も複数あります。
この厄介な熱中症から自らを守り、さらに仲間の命を守るために熱中症に対する知識と熱中症を防止するアイデア商品、もし現場で熱中症になった場合の対処法などを紹介します。
目次
熱中症の原因と症状とは?
一口に熱中症といっても、原因や症状は多数あります。
熱中症の主な原因
·高温·高湿度の環境下での労働
·体内の水分·塩分の不足
·体内に熱がこもり体温が上昇するも体外に放出されない
·疲れや寝不足·持病や病気などで体調がよくない
·暑さに体が慣れていない(休日後) など
熱中症の引き金となる原因は様々ですが、現場作業において熱中症の原因となる事項の大半が当てはまるでしょう。
熱中症の症状
·熱失神:めまい、一時的に失神する、顔面が真っ青になる(顔面蒼白)
·熱けいれん:筋肉痛、手足がつる、筋肉がけいれんする
·熱疲労:全身が重だるい(倦怠感)、頭痛、寒気、吐き気、集中力や判断力が低下する
·熱射病:発熱、意識障害(呼びかけや刺激に対して反応が鈍い)、言動が不自然、ふらつく
自覚症状なく熱中症が進行している場合もありますが、もし少しでも不調を感じたときには責任者や周囲の人に報告しましょう。
熱中症を予防するために
熱中症には、ならないように事前の対策をしておくことが大切です。そこでここからは、熱中症を予防するための方法を紹介していきます。
休憩場所の整備
まず一番大切なのは、休憩場所の整備です。先ほども触れたとおり、自覚症状がなく熱中症が進行している場合もあるので、休憩に入るとすぐに水分や塩分の補給ができ、クーラーを使用し体を冷やせる環境であることが最適解です。
そのほかにも、自動販売機や冷蔵庫·製氷機の設置やシャワー室などを設置することも非常に効果的です。
責任者は、作業員の水分·塩分補給の状況を確認することも安全管理です。
休憩時の飲み物でコーヒーや緑茶など「カフェイン」が入ったものを過度に摂るのは避けるようにした方がいいでしょう。なぜならばカフェインには『利尿作用(尿の排出を促す作用)』があるので、汗となる前に尿で排出されてしまい脱水症状になる恐れがあるためです。
都度体調チェックを実施する
始業前に体調チェックリストを活用し、全員の体調の確認を行うことも重要です。また、顔色や動向など異変をいち早く察知することで熱中症になる前に止められるでしょう。脱水症状は尿の色でも判断できるので、トイレに「尿チェック」の紙を貼っておくのも非常に有効です。
水分補給が十分な場合、尿となって排出されます。逆に排尿を行わない場合、腎臓に負担をかけ別の病気へのリスクに繋がる恐れがあるので、排尿も確認するとよいでしょう。
気象情報の把握と熱中症アラームの設置
当日の天気予報で発表される最高気温を把握し「熱中症警戒アラート」も確認しておきましょう。
次に作業場周辺に熱中症アラームを設置し、暑さ指数(WBGT:人体と外気との熱のやりとりに着目した指標)を参考にした作業時間の設定も非常に効果的です。熱源付近での作業(屋根上や舗装工事など)はすぐに『厳重警戒』になることが予想されるので、交代で休憩するなどの作業状況に合わせた休憩サイクルの工夫も必要です。
熱中症予防のアイデア商品
作業しながら体を冷やせるアイデア商品を紹介します。
1.ファンのついた空調服(フルハーネス対応モデルもあります)※非常におすすめ
2.吸水·速乾·接触冷感のインナー·ヘルメットキャップ
3.氷やアイスパックを収納できるベスト
4.ヘルメットに取り付ける扇風機
5.接触冷感のマスク·フェイスマスク
熱中症が発生したときの行動
現場の環境や様々な熱中症対策を講じて熱中症リスクは「低減」できても、『根絶』できていないのが現実です。ここからは、発生したときの行動について解説していきます。
自分に熱中症の症状が出た場合
近くの作業者に伝え、すぐに休憩所などの涼しい場所に同行してもらいましょう。次に水分塩分の補給を行い、作業着を脱ぎ脇や太ももの内側·首などに冷たいもの(氷嚢を使用)を当て体温を下げ休憩しましょう。
当日は絶対に無理をせずに帰宅して、帰宅後も涼しい環境で水分·塩分補給は継続してください。
現場で熱中症の人がいた場合
自分がなった場合と対処方法は同じです。必ず同行し経過を観察してください。もしも、自力で水分補給ができない、意識がなくなった場合は、体を冷やしながら救急車を要請してください。
熱中症になった場合のポイントは、次のとおりです。
·絶対に一人にしないこと(容体が急変する恐れがある)
·涼しい場所で水分·塩分補給
·脇·内太もも·首に冷たいものを当て強制冷却
·容体に異変を感じた場合は、迷うことなく救急車を要請
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html
https://www.mlit.go.jp/common/001292278.pdf
熱中症対策は個人に任せるのではなく、責任者が必ず指示を!
工事現場で熱中症の死亡事故が起きた場合、適切な指導がないと責任者の責任になり、安全配慮義務違反になる可能性があります。そのため、個人に任せるのではなく、管理者自ら的確な指示を出しましょう。
年配の人は加齢により体調の変化に鈍感になっていたり、新人の場合は自ら休みたいと申し出づらかったりすることがあります。そういった部分にも、責任者は配慮しなくてはなりません。
何より優先すべきは、現場のスケジュールではなく『人の命』です。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/13.pdf
まとめ
熱中症は対岸の火事ではなく、『いつ誰がなってもおかしくない』というのが正しい認識です。熱中症の原因は様々なため、始業ミーティング時に当日の体調チェックを行い、作業中や休憩時に水分・塩分の補給を行うことが予防への近道です。
熱中症を予防するには、涼しく体を冷やせる環境を作ることが一番重要です。これを怠ると、熱中症になった場合の対処が遅れ、最悪、安全配慮義務違反の罪に問われます。そして熱中症になった場合は、絶対に一人にせず経過を観察し異変があれば救急車を要請しましょう。
また、熱中症を予防するための商品やサービスは多数あるので、活用しないのはとてももったいないことです。
「誰か」のための物を造っているのに、『自分や仲間』の大切な体を破壊し、最悪命さえも奪われてしまっては本末転倒です。あなたを応援してくれている方のためにも、朝来た姿で帰る。これが応援してくれている方へのあなたができる何よりの恩返しです。ともにこの暑い夏を元気に乗り越えましょう。
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