シルトとは、粒径が0.074~0.005mmの土粒子のことです。乾いた固まりは粘着性をもちますが、指で押すと簡単につぶれます。土粒子は、細かい方から粘土、シルト、砂、礫(レキ)と区分されます。シルトや粘土のように、粒径が細かい土粒子を「細粒分」、大きな粒径の土粒子を「粗粒分」といいます。
シルトは、パワーショベルなどのバケットに付着しやすく、空隙の多い状態になりやすい性質があります。柔らかいので、地山の状態であっても、多くはN値が3以下の軟弱地盤です。
造成工事は、乾燥した状態で搬入し、盛土後に締固めするのが基本ですが、シルトは、水はけが悪いので、いったん水を含むとなかなか抜けず、強度が低下します。そのため含水飽和状態のままで締固め施工をすると転圧機械による締固めが困難な状態になります。
このような状態で盛土を続けても、地盤強度の低下や含水による軟弱化により、締固めによる効果はほとんど得られません。
透水性の低いシルトは、外部から圧力を受けてもすぐに圧縮せず、長い時間をかけて圧縮されるので、圧密沈下が起こりやすくなります。そのため、シルトの上に建築物を建てる場合には、地盤改良をする必要があります。
また沿岸の護岸工事においては、シルトは周辺に水質汚濁の影響を与える原因にもなります。シルトの拡散を防ぐために、シルトフェンスと呼ばれる幕を周辺一帯に張り巡らす措置が講じられることがあります。