「捨て石」(捨石・棄て石とも)という言葉の意味は広い。道端に落ちているような石や、鉱山で捨てられる価値のない石なども「捨て石」である。また、囲碁用語に「捨て石」があり、そこから派生した「将来のために払う犠牲」などの意味でも「捨て石」が使われている。

建築業界でも、さまざまな用途で「捨て石」が使われている。表立っては見えないが、石垣などの地盤を強化するために敷き入れる石を「捨て石」と呼ぶ。また、日本庭園を造園する際に、趣を演出するために配される石で「捨て石」と呼ばれるものがある。

橋脚や堤防など、水中部分の基礎地盤を安定させる目的で捨て石が使われる。ただし、この際に投入される捨て石は、自然石に限られない。比重の大きいコンクリートの塊が使われることもある。
使用箇所や用途などにより、捨て石の大きさは異なる。小さな物でおよそ5kgから、大きな物は200kgほど。捨て石の上から設置する被覆石になると、300kgから大きい物で2tにも及ぶ。

法面保護工事の1つに「捨石工」がある。風雨などの影響で法面が風化するのを防止するために、大きめの岩石を捨て石として法面に配置する。ロックフィルダムなどで捨石工は採用されている。