ETFEは、熱可塑性の高機能フッ素樹脂です。強度、耐久性、安定性に優れ、飛行機や原子力発電所の配線被覆材、船の耐食材、タンクのコーティングなどに用いられています。
建築の分野では、ETFEは膜構造用のフィルムとして活用されています。膜構造とは東京ドームの屋根のような構造です。ETFEは従来の膜材料と違い、透明なため90%以上の全光透過率があります。スタジアムの屋根に使用すれば、太陽光を通すため芝生の生育にもよいといわれています。
軽くて躯体への負荷が小さいため耐震性能が高く、大空間が可能です。紫外線など特定波長のコントロールもでき、屋外の過酷な環境下で25年の耐久性がある建材です。
ETFEを用いた膜構造は、1層のフィルムをフレームやケーブルで支えるテンション方式と、2層または3層のフィルムのなかに空気を送って膨らませるクッション方式があります。透明のフィルムにはさまざまなプリントが可能で、LED照明での演出もできるため、屋根や壁に効果的に用いれば、デザイン性に富んだ建築物が実現します。
日本では羽田空港の屋根に使われているほか、壁全面がキルティングのように見えるUNIQLO心斎橋店、数々のデザイン賞を受賞した新豊洲Brilliaランニングスタジアムがあります。