鼻隠しは、屋根板や屋根板の下地を支える垂木の先端部(鼻)を隠し、外観、見栄えを良くするために用いられるものです。鼻隠しの材料は古くから木製が多く用いられていますが、銅板や塩化ビニール製もあります。また、モルタルや漆喰を塗ったり、板金を施すこともあります。
鼻隠しは、垂木と垂木を繋ぐため、屋根そのものの強度を上げる働きがあります。これにより、屋根内部に雨風の吹き込みを防止する効果もあります。垂木の断面を覆う仕組みのため、雨水の浸入による腐食を防止する役割も担っています。また、雨どいを取り付けるための部位でもあり、とても重要な部材ということができます。
鼻隠しは雨水による塗料剥がれや腐食が進み易い部分のため、塗料の塗り替えメンテナンス時期には十分に注意したいものです。塗料を雨どいと鼻隠しを同じ塗料、同色とすることで一体感を表現することができます。鼻隠しは、外観、美観の品位を上げる工夫の一つということができます。
本来、屋根は上から下方向への雨、雪、風の力に対してはとても強い構造ですが、その逆となる下から上方向へと吹き上げる風(力)に対しては非常に弱いため、垂木を繋ぐ鼻隠しによって掛かる力を分散させるという役割を担っています。厚みのある木製の材料による鼻隠しによって、耐風性が強くなる構造となります。