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2022.10.12

ジョイントベンチャーとは?建設業におけるメリット・デメリット、方式、事例を紹介

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ジョイントベンチャーとは複数の企業が集まって作る共同企業体です。
単体では受注が難しいような現場を受注する際に取られる手法で、資金力や労働力を増やせます。

今回はそんなジョイントベンチャーのメリットやデメリットについて紹介していきます。

ジョイントベンチャーとは



ジョイントベンチャー(JV)とは、共同企業体のことをいいます。

ジョイントベンチャーは法人ではなく、民法上では組合の扱いとなり、現場が完了もしくは失注の場合には組織は解散します。

建設業では、資金力や労働力などが必要な大規模な建設現場において、複数の企業で受注・施工する事業組織体です。

ジョイントベンチャーを組む理由の一つは、自社だけでは規模が大きすぎて受注できないような建設現場に参加することです。

また、建設現場はマンションや橋、トンネル、ダムなど様々な種類があるため、単体では不得意な分野になってしまう場合があります。

ジョイントベンチャーを組むことで参加企業の技術力の集結が可能となるため、受注から完成までできるようになります。

また、社外と交流を深めることで自社の技術を高めることにもつながるでしょう。

ジョイントベンチャーの方式

メリット

ジョイントベンチャーは施工目的によって「甲型」と「乙型」の2つに分類されます。

それぞれに共通することは、現場職員の配置を適正に行わなければならないということです。

専門分野で分ける場合を除き、経験や専門性を考慮して配置を決めますがこれは設立時に決めます。

それでは甲型と乙型の詳細について紹介していきます。

共同施工方式(甲型JV)

全構成員があらかじめ決められた出資割合に応じて、資金・人員・機械などを拠出する方式です。

設立時にそれぞれの企業の出資割合を取り決めて、その割合に応じて出資しますが、この出資は財産的価値があるものが対象になります。

また、出資時期は資金計画に応じて決定されることが一般的です。

なお、損益計算を行う場合、単体ではなく共同企業体として会計をします。
この時の利益や欠損金の配分は、出資の割合に応じて決まります。

分担施工方式(乙型JV)

1つの工事をそれぞれの得意分野に分割して、参加している企業で分担する施工の方式のことをいいます。

専門分野で分ける方法と工区などの範囲で分割する方法があり、必要に応じて使い分けられるのが一般的です。

分割をして工事を行いますが、問題が発生した場合は連帯責任を負う必要があります。

なお、損益計算方法は共通の経費については共同企業体の事務局が支払いますが、甲型のように出資の割合に応じて決まることはありません。

それぞれの企業が担当した工事ごとに損益計算を行い、算出された利益もしくは欠損金が各社に残る形となります。

そのため、共同企業体の中で利益に差が出てしまいます。

ジョイントベンチャーのメリット


次にジョイントベンチャーを行うことで得られるメリットについて紹介をします。

共同出資による資金力

建設業界では大きな現場の仕事を受注する際には、ある程度の資金力がなければ仕事を受注することすらできない場合があります。

ジョイントベンチャーにより、資金力を拡大でき大規模な建設工事も受注することが可能です。

さらに、信用度が上がることで金融機関からの融資が受けやすくなるというメリットもあります。

リスクの軽減

共同で仕事を受けていくため、1社単体で仕事を受注する際よりもリスクを各社に分散することができ、全責任を負うことがありません。

また、経営や天災対策など、あらゆる点で周囲と話し合って進めていけます。

技術の向上

ジョイントベンチャーを行うことでいつもより大きな仕事を受注することが可能となります。

そのため、今までより高度な技術を要求されることもあり、自社の発展のきっかけになるでしょう。

さらに、他社の技術者とも交流する機会が増えるため、企業としてだけでなく個人のスキル向上にも期待ができます。

ジョイントベンチャーのデメリット


ジョイントベンチャーにはデメリットも存在します。

しっかりと把握しておかないと、不測の事態の際に混乱が起きてしまうため、デメリットも考慮してジョイントベンチャーを進めていきましょう。

企業間の調整が必要

ジョイントベンチャーは複数の企業が集まった集合体です。それぞれ方針も違うため、現場の進め方で対立する可能性も少なくありません。

そのため、方針決定の際にしっかりと話し合っておかないと、問題が起きた時に素早く意思決定ができずに仕事に影響を及ぼしてしまうこともあります。

パートナー企業選びはもちろん、提携する前に調整をしておくことが重要です。

技術の流出

ジョイントベンチャーは、他社と共同で仕事を進めるため、自社の社員のスキルが上がる反面、自社の技術が流出する可能性も潜んでいます。

そのため、パートナー企業の選定は慎重に行わなければならず、場合によっては秘密保持義務などの契約書も結ぶ必要があります。

他にも、技術の流出を防ぐ対策をしっかりと立ててからジョイントベンチャーを進めていかなくてはなりません。

利益率の低下

複数の企業が集まっているため、単体で現場を進めていく場合よりも利益率は下がってしまいます。

さらに、出資率によっては利益がさらに下がってしまうこともあり、ジョイントベンチャーに参加する前にしっかりと確認をしておきましょう。

しかし、ジョイントベンチャーの仕事は大きな現場が多いため、利益率は悪くても自社が得る利益額は大きい場合があります。

あらかじめ得られる利益を確認して仕事を進めていきましょう。

ジョイントベンチャーの事例


前述でも紹介している通り、ジョイントベンチャーを行う理由は大きな現場を受注するために行うことが一般的です。

ジョイントベンチャーとして受注をする仕事は以下のような大きな現場が多くあります。

地下河川築造工事

地下河川築造工事は、床上浸水被害の頻発による浸水被害の防除のために行われます。
高尾川で行われた地下河川築造工事に関しては下記のリンクをご覧ください。

下水道築造工事は、浸水被害を軽減するために雨水調整池を設置、または下水道を造る工事のことです。施工のイメージは下記のリンクを参照ください。

トンネル工事

トンネル工事は、シールド工法、TBM工法、山岳工法などの施行法があり、機械や人力、またはダイナマイトを使って岩盤を掘り進め、セグメントを組み立ててトンネルを作っていく工事です。

鉄道の工区建設工事

鉄道の工区建設工事は、駅と駅の長距離を新たなレールで繋ぐ工事のことです。

他にも、大きな現場が多くこれらの仕事を大手以外が受注をしようとすると会社規模が小さく受注することができません。

ジョイントベンチャーを活用することで大手以外でも仕事を受注することが可能になります。それでは具体的な事例を紹介します。

新潟県立加茂病院の衛生設備工事
既存建物の老朽化による建て替え工事ですが、この衛生設備工事を研冷工業と株式会社ナカムラのジョイントベンチャーで担当しています。

この現場は、フロアでの担当分けを行わずに全員でフロアを担当する形で行ったため、それぞれの連携が重要な現場となりました。

しかし、連携も上手くいき県からの工事成績が90点と高評価を受ける結果となりました。

oisix(オイシックス)

こちらは建築のジョイントベンチャーではありませんが、有機野菜の宅配で有名なため紹介します。

各地域の牛乳店とジョイントベンチャーを行い、高品質な商品と販売網を交換することで成功を収めています。

このジョイントベンチャーが成功した理由としては、この提携により広い顧客網で高品質な商品を幅広く届けることができた点にあります。

まとめ

今回紹介した通り、ジョイントベンチャーは大きな現場を受注するために様々な企業が協力して共同体を作ることです。

これを利用することで今まで取れなかった仕事を受注につなげることが可能となります。

会社の規模を拡大したい。より大きな案件を受注したい。こういった展望をお持ちの方は、ジョイントベンチャーを検討してみてはいかがでしょうか。

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