鴨居とは、和室で障子やふすまなどをはめ込むための上部に取り付けられた横木のことで、和室には欠かせません。ドアとは違い、外部、内部への出し入れによる開閉ではないため、人の動きを制限することも少ないのが特徴です。一般的には、溝は2本ですが、1本のみという鴨居もあります。語源は、水鳥である鴨。家が火事にあわないようにという願いが込められているといわれています。

また、鴨居とセットで敷居があります。戸をはめる時には敷居の溝ではなく、鴨居の溝に先に戸を差し込むと簡単に取り付けることが可能です。このように、容易につけ外しできる仕組みを建築の世界では、「行って来い」といいます。

さらに、鴨居は1種類だけではありません。鴨居の延長で部屋を一周囲んでいる横木は、「付鴨居」といいます。耐震性、構造上はなくても構いませんが、古くは和室の格を表しており、武家だけに認められた様式でした。

また、高さのある木材同士をホゾ指しで組み合わせて作る鴨居を「差鴨居」といいます。強度は確かなもので、伝統技術は国にも認められています。

その他、障子やふすまがない開口部などにつける溝のない鴨居である「無目鴨居」や、欄間などに差し込むために使う「薄鴨居」があります。