スラーとは、建設工事における玉掛け作業の際に玉掛者がクレーンの運転士と無線機を使用して声による合図を行う際の専門用語の一つである。スラーは英語の「Slack Away」や「Slacken」が由来となっている。どちらも下げるという意味があることから「巻き下げ」を意味する。同じ意味で「スライ」と合図する場合もある。

クレーンのジブを倒すことや主巻フックを降ろすことを「親スラー」、補巻フックを降ろすことを「子スラー」と呼ぶ。巻き下げの速度によって合図が異なり、連続で巻き下げを行わず、微動巻き下げなど吊り荷をゆっくり少しの距離だけ移動させる場合は「チョイスラー」と合図する。スラーの対義語は「ゴーヘイ」であり、巻き上げを意味する。スラー単体で用いられる以外にも、いくつかの言葉を組み合わせて合図を行う場合がある。たとえば「親ゴーヘイ、子スラー」や「右旋回、子スラー」など。

また、声による合図を行う以外に手・旗・笛を使用して玉掛け合図をすることがある。どのような玉掛け合図にも特別な資格は必要ないが、玉掛け作業を行う際は玉掛け技能講習(最大吊り上げ荷重が1トン以上のクレーン等の玉掛け作業)・玉掛け特別教育者(最大吊り上げ荷重が1トン未満のクレーン等の玉掛け作業)を修了した者が行わなければならない。