さや管とは、コンクリートのスラブや梁などに配管を貫通するためにあらかじめ埋め込む配管のことを言います。英語の服の袖を意味する「スリーブ管」(sleeve pipe)とも呼ばれ、貫通する配管よりもひと回り以上大きな配管を用います。さや管の材料は塩化ビニール配管、亜鉛鉄板製のスパイラルダクトを用います。梁を貫通する場合には一般的に梁背の1/3までの外径を上限とし、設置間隔は外径の3倍以上を確保して、さや管の周囲には補強用の鉄筋を配置します。また、集合住宅の給水、給湯配管にはさや管工法を多く用いています。

配管材料に可とう性のある架橋ポリエチレン管、若しくはポリブデン管を用い、その外周部の保護として樹脂製のさや管を用います。一般的には給水用がブルー、給湯用がピンクのものを用います。給水及び給湯のヘッダ配管を併用して、各水栓毎に止水弁を設けて管理を容易とします。さや管内部の配管の更新時には床や壁材を剥がすことなく、配管のみの更新が出来るようになります。さや管ヘッダ工法と言います。住宅の基礎部分には排水管の用のさや管を用いることもあります。基礎部分に排水管用のさや管を設置し、その内部に可とう性のある排水管を設置することで、完成後の点検、補修時にも躯体に傷をつけることなく行えるようになります。