楔(くさび)とは、木や金属などで作られた先がV字の道具です。ちょうどケーキを切り分けたピースのような形をしています。使い道は以下の通りです。

・V字の先端を部材と部材の隙間に打ち込んで固定

・石などに穴を開け、そこに差し込んで割る

大昔から活用されている工具であり、原始的な道具です。古代の遺跡からも多く出土していて、その歴史はとても長いです。

日本の建築の伝統工法では、貫(ぬき)と楔が欠かせません。たとえば、木の柱に穴を開けて横ぐしに貫材を通します。そして、その穴と貫材の隙間に楔を打ち込みしっかり固定します。これは木を木で固定する伝統工法です。

日本古来の工法では、基本的に構造部分には金属を使いません。伸縮率の違う金属は気温の変化で木を傷めるためです。木材同士なら長い年月も接合部分が緩まず長持ちします。ただし、木が裂けると強度はなくなります。

貫工法は変形性能もあり、土壁と併用すれば揺れにも強いです。ただ、現在では建築においてはほとんど使われなくなりました。楔は部品として活かされ、調整楔として流通しています。

建築の要であった楔は、言葉のうえでも役割を持ちました。たとえば「楔を刺す」という言葉は、念を押す意味で使われます。「楔を打ち込む」という言葉もあります。スポーツで相手戦力を分断する際に使われることが多いです。これらは慣用句として生活の中に定着した例えです。それだけ楔は強固な道具であり、重要な部品と言えます。

【参考動画】

こちらの動画では楔の作り方について解説されています。

家具職人KN DEEP