この記事では、村山さんへのインタビューを通じて、村山さんの道具へのこだわりや、仕事に対する思いをお伝えしたいと思います。
【プロフィール】
名前:村山 高広(むらやま たかひろ)
1982年生まれ。19歳で塗装業に世界に入り、24歳で独立。こだわりの道具と技術でお客様に真摯に向き合い続ける。
HP:https://murayama-paint.com/
Instagram:https://www.instagram.com/murayama_paint/
目次
塗装業としてのこだわりは道具の手入れ
「私の仕事では特別な道具は使っていません。昔は動物の毛を使った、1本3000円くらいするはけを使う職人さんもいましたが、最近はナイロン製の安価で質も高い商品が増えています。また、それらがホームセンターで売られるようになった為、DIYで使われる道具との差は少なくなっています。」
と、村山さんは語ります。
「だからこそ、職人としてこだわるポイントは道具の下準備だと思っています。例えば刷毛であれば、新品のものは塗る際に毛が抜ける事が多いです。その為、新品の刷毛は使う前にガムテープで毛を抜き、塗った際に毛が残らないようにしています。」
【実演動画】
取材させて頂いた塗装職人さんのこだわり。刷毛の手入れにこだわるっていう点がまた通な感ある。 pic.twitter.com/4NSKnXm3UW— あかぎ@週刊助太刀編集部🖊️ (@weeklysukedachi) March 31, 2022
「また、使い終わった刷毛は水洗いするのですが、洗ってそのまま乾かすと塗料で刷毛が固まってしまい、綺麗な塗りができなくなってしまいます。なので、洗った後に1日水につけておいて、塗料が溶けだすようにしています。」
下準備には手間がかかります。だからこそ、そこで手を抜かずに実直に取り組むかどうかが質の高い仕事に繋がります。
「こういうところって同業の方でも知らない人も多いですし、知っててもやらない人も多いです。目に見えない努力やこだわりってお客さんは気付かない。お客さんが気付かないところで時間やお金をかけるのは皆嫌がります。」
整然と道具が並ぶガレージにて
模様付けを自作
村山さんは塗装用道具の自作もしています。
自作の模様付け
「これも特別なものと呼べるか分かりませんが、普通の木の板の上に、海綿スポンジを張って、表面を手でむしっています。例えばコンクリート打ちっぱなしの塗装で、仕上げにこれをポンポンとスタンプのように押してあげると、コンクリートの壁に独特の模様がついてきます。これはメーカーでも似た製品はあるのですが、それだとどうしても使いづらかったりするので、自分で作っています。」
コンクリートの打ちっぱなしに模様をつけていく
特別な道具を使わなくても、丁寧な作業が質の高い仕事に
「あるお客さんからのご依頼で、カウンターの塗装のお仕事を請けました。元々は別の塗装会社が施工したもので、刷毛跡が残っていたり仕上がりにムラがあり、他社さんに依頼しても綺麗にならない。ですが、塗りと磨きだけで綺麗に仕上げる事ができました。
村山さんの施工前
村山さんが仕上げた後。刷毛跡が無くなって、ムラも無くなっている
「この作業は刷毛で塗った後に磨きを入れています。紙やすりの1000番や2000番を使い、番数をどんどん上げて、最後にコンパウンドで磨いてツヤを出しています。この作業では特別な道具は使っておらず、どれもホームセンターで売っているようなものです。それでも、丁寧に仕上げる事で、他の塗装会社さんができないような仕事をする事ができます」
ホームセンターで売られているものでも、職人さんが使えば素晴らしい仕上げに
DIY用の道具でも、良い物があれば試して柔軟に取り入れる
「DIYブームの影響もあって、最近はホームセンターで売られるDIY用の工具でも良いものが出ていたりします。メーカーの商品開発力も上がっているので、中にはプロが仕事で使えるものもあります。プロの方の中には、そういったDIY用の商品を使う事に抵抗がある方もいますが、私は、それが良いものであれば、DIY用でも積極的に取り入れるようにしています。例えば、スポンジ付きの鏝などは元々ホームセンターがDIY用に出したものですが、あれはプロではない方が使ってもプロに近い塗りができ、プロが使っても十分使えるものだと思います。」
スポンジ付きの鏝。初心者でも綺麗に線が出て、裂け目やローラーの目が出ないように塗る事ができる
新しいものは良い物もあれば悪い物もある。だからこそ、それらを使ってみて、見極めて柔軟に取り入れていく事が、村山さんのこだわりです。
流行りのエイジング塗装も
「美容室の家具の塗装を請け負った際、エイジング加工を依頼されたのですが、これも特別な道具を使ってる訳ではなく、技術的な工夫で作っています。これは弾性塗料と呼ばれるゴムのような質感の塗料を塗って、その上に水性塗料を塗っています。そうする事で、弾性塗料が割れてきて、古ぼけた味が出るようになります。」
新品のクローゼット
施工によって、アンティーク調に
ヘラは敢えて既製品を
「私も以前はヘラを自作していました。指の長さによって力が入ったり入らなかったりするので、自分で切って長さを調節したり、鋼の固さによって仕上がりが変わってきたりするので、鋼から木の型を作ったりしていました。ですが、他の会社から急遽手伝いを依頼された時など、自分のヘラを持っていない場合もあります。そんな時でも同じ仕上がりができるように、既製品に慣れるようにしました。使いやすさで言えば自作のヘラの方ですが、どこの現場でも同じクオリティの仕事ができるのは大きいです。」
こだわりのヘラを使っていたところから、敢えて既製品を使えるように
塗料の良し悪しが分かるのは20年後、だからこそ、実績ある塗料を。
村山さんは新しい道具も柔軟に取り入れ、創意工夫するスタイルですが、塗料については、むしろ定番製品と呼ばれるものをメインにしています。ここにも村山さんの強いこだわりがあります。
「実は塗料には一部を除いてメーカーの保証がほとんどなく、塗った後に不具合が出てもメーカーからのサポートを受ける事ができません。家電や屋根、トイレなどの設備でしたら5年保証や30年保証などがありますが、塗料にはメーカーの保証はほとんどつかないです。」
マンションであれば1年や3年の保証はありますが、戸建てについてはほとんどがつきません。施工会社が独自に自社保証を掲げることもありますが、大手メーカーの保証と比べると心もとない部分があります。
「塗料は仕上げた時は綺麗になる為、その塗料が良かったかどうかをその場で確かめる方法がありません。それは塗装業を20年やっている私でも見分けがつかない程です。ですが、商品や塗り方によっては5年しかもたないものもあります。だからこそ、塗料については長年の実績があるメーカーの塗料を使うようにしています。メーカーで言うと、日本ペイントや関西ペイント、エスケー化研などは長年の実績があるので安心して紹介できます。」
過去には様々なメーカーが塗料に参入してきた事もありますが、撤退する企業も多くありました。また、海外製品や新しい塗料についても、日本の風土に合うかどうか、実際の現場で施工して、20年耐えられるかの検証ができません。
「極端な話、本当に良い塗料なのかを実証するのは実際に現場で塗った上で20年もつかを試す必要がありますが、それは現実的ではない。その上、仕上がりはどれも良くできてしまいます。だからこそ、お客さんの事を真摯に考えて、塗料については実績があるものを使います。」
あくまでも顧客の事を考えて、ある面は道具にこだわり、ある面では新しいものも積極的に取り入れる。村山さんは、実直なこだわりと柔軟性で質の高い仕事を提供し続けます。
(文/赤木勇太)
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