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2022.3.16

監理技術者はどんな仕事?業務内容や資格取得方法を解説

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建設会社は、請け負った工事を施工する際に現場を技術的に管理する人を置く必要があります。そのひとつが監理技術者です。
今回は監理技術者について、具体的な業務内容や資格取得の方法、主任技術者との違いなどを幅広くご説明します。これから監理技術者を目指す方はぜひ参考にしてください。

監理技術者とは

監理技術者とは、特定建設業者が元請となり請負代金総額4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)を下請け会社に委託する場合、工事現場ごとに置く必要がある技術者のことを指します。

例えば、2億円の工事を請け負って下請け業者と下請契約を結び工事を発注する際は、特定建設業の許可が必要であり、現場には管理技術者を配置することになります。

監理技術者を置く目的は、工程管理や品質管理などで一定の技術水準を保つためとなります。

※参考:建設業法、入契法の改正について
※参考:建設会計ラボ

業務内容

監理技術者の業務内容は多岐にわたります。建設業法第26条の3第1項によると、監理技術者の業務内容は以下が示されています。

・建設工事の施工計画の作成
・工程管理
・品質管理
・そのほかの技術上の管理
・建設工事の施工に従事するものの技術上の指導監督

※出典:建設業法第26条の3第1項

以上の項目には細かな業務も多く、監理技術者として働くには多様な仕事をこなすことになります。そのため、担当する現場において1人で管理するのではなく、補佐役を配置して工事を安全かつ迅速に仕上げていくことも必要です。

主任技術者との違い

建設現場を監督する立場として、主任技術者も存在します。以下で監理技術者との比較を表にしましたので、ご覧ください。

監理技術者 主任技術者
配置が必要な工事規模 下請け金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上) 請負金額に関わらず、元請・下請けの全ての現場に配置
業務内容(役割) 主任技術者の業務に加えて、建設工事の施工にあたって下請け業者の適切な指導監督をする。 施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理などの適正な工事施工の確保をする。

 

表中のように、監理技術者と主任技術者は、工事規模により配置の有無が異なります。主任技術者は全ての現場に配置が必要であり、監理技術者は下請けに出す工事の金額により配置が必要となります。

監理技術者になるメリット

監理技術者になると昇給や昇進が期待できたり、転職に有利だったりするメリットがあります。

昇給や昇進が期待できる

近年の建設業界は巨大化していることもあり、監理技術者を配置する現場が増加傾向です。また、監理技術者は建設業において1級国家資格取得者となるため、高度な知識やスキルを兼ね備えることになります。それだけで、勤務先の企業にとっては貴重な存在であり、昇給や昇進が期待できます。

ちなみに、大手企業の監理技術者の年収は600〜800万円が相場となっています。特に役職等がない建設作業員の平均年収は400万円前後ですので、監理技術者の給与水準が高いことがわかります。
監理技術者の平均年収の高さは、やはり貴重な人材であるからでしょう。
※参考:建設転職ナビ

職人向けの資格は以下の記事で詳しく紹介しております。
【職人におすすめの資格】稼げる資格や難易度などをご紹介

転職にも有利である

監理技術者の資格保有者は2021年12月末時点で約68万人となっています。数字だけを見ると多いようにも感じますが、実際は若手人材が不足していたり大規模工事が増えていたりと、さまざまな要因から監理技術者の人手は足りていません。資格を保有しているものの、実際に業務に携わっていない方もいるでしょう。多岐にわたる要因から監理技術者は、重宝される存在であり、転職の際も有利に働くと考えられます。
中小規模の企業から大企業に転職すれば、前述したような給与水準やそれ以上を狙えるでしょう。
※参考:監理技術者資格証の保有数

工事入札の経審で加点される

国や地方公共団体が発注する工事において受注するためには、経営事項審査(経審)を受けることになります。経審では技術力の評価で監理技術者資格者証保持者が在籍すると1人あたり5点が加算されます。さらに、監理技術者講習修了証の保持者には1点が加算されます。経審で評価を得る際には、監理技術者が在籍することが企業にとってもメリットです。

このように監理技術者になるとメリットがあり、これから目指しても将来性があるといえます。

監理技術者になるための要件

監理技術者になるための要件には、1級国家資格を取得する方法と実務経験の条件を満たす方法があります。ここからは、監理技術者になるための要件を詳しくご説明します。

1級国家資格を取得する方法

指定建設業7業種の場合は、1級国家資格などを保有することが監理技術者の要件です。以下で指定建設業7業種と1級国家資格などをまとめてみました。

・土木工事業:1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
・建築工事業:1級建築施工管理技士、一級建築士
・電気工事業:1級電気工事施工管理技士、技術士
・管工事業:1級管工事施工管理技士、技術士
・鋼構造物工事業:1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、技術士
・舗装工事業:1級土木施工管理技士、1級建設機械施工技士、技術士
・造園工事業:1級造園施工管理技士、技能検定造園技能士、技術士

【参考】:WORKERSTREND

以上の1級国家資格を取得することで、監理技術者として現場を監督することが可能です。資格の難易度はそれぞれで異なりますが、たとえば、1級土木施工管理技士は第一次検定では約60%、第二次検定は30〜40%の合格率です。

超難関といわれるほどでもないかもしれませんが、しっかりとした試験対策が必要となるでしょう。なお、指定建設業7業種では後述する実務経験による監理技術者の資格取得ができませんので、ご注意ください。

実務経験の条件を満たす方法

指定建設業以外の22業種では、実務経験により監理技術者資格を取得できます。資格の取得は学歴や資格によって異なります。実務経験の条件を満たす内容を表にしましたのでご覧ください。

学歴又は資格 必要な実務経験年数
実務経験 指導監督的実務経験
大学・短期大学・高等専門学校(5年制)を卒業し、かつ、指定学科を履修した者 卒業後3年以上 2年以上(実務経験と重複可能)
高等学校を卒業、かつ、指定学科を履修した者 卒業後5年以上 2年以上(実務経験と重複可能)
一定の国家資格等を有している者

1)技術検定2級又は技能検定1級を有している者

2年以上
2)技能検定等2級を有している者 合格後1年以上 2年以上(実務経験と重複可能)
上記のイ・ロ以外のもの 10年以上 2年以上(実務経験と重複可能)

※参考:監理技術者講習とは

以上の要件を見ていくと、監理技術者になるには最低でも3年間、最長10年の実務経験が必要です。なお、指定建設業以外の22業種については以下をご確認ください。

・大工工事業
・石工事業
・鉄筋工事業
・ガラス工事業
・内装仕上工事業
・電気通信工事業
・水道施設工事業
・解体工事業
・左官工事業
・屋根工事業
・しゅんせつ工事業
・塗装工事業
・機械器具設置工事業
・さく井工事業
・消防施設工事業
・とび・土木工事業
・タイル・れんが・ブロック工事業
・板金工事業
・防水工事業
・熱絶縁工事業
・建具工事業
・清掃施設工事業

以上の建設業では、実務経験で監理技術者資格が取得できます。また、学歴の要件では大工工事業ならば都市工学に関する学科、建築学に関する学科など指定学科がそれぞれの建設業で異なります。

大学などを卒業している方で監理技術者を目指す方は、履修していた学科が指定学科であるか確認してみましょう。以下に指定学科が確認できるページを記載しておきます。

※参考:実務試験による監理技術者資格のための指定学科

監理技術者資格者証申請までの流れ

資格を取得するには監理技術者証明書の申請が必要です。申請後に監理技術者として現場で働くことが可能です。監理技術者資格者証の申請から、現場で働くまで大きく分けて5つのステップがあります。

資格要件をクリアする

前章でご紹介した監理技術者の資格要件をクリアすることが第一歩です。

一般社団法人建設業技術センターに申請をする
資格要件をクリアしたら、一般社団法人建設技術センターに資格者交付の申請をします。申請には手数料として7,600円(非課税)が必要です。そのほか、交付申請書、身分証明書、戸籍謄本などの各種書類が必要です。
自治体の窓口で取得する必要もありますので、全般的に必要書類を確認しておきましょう。

監理技術者資格者証が交付される

申請後は審査基準などにもとづいて審査がなされ、適合が認められると資格者証が交付されます。電子的方法は10日、支部へ申請するときは20日(土日などを除く)が標準処理期間となります。

監理技術者講習を受講・修了する

監理技術者資格者証が交付されたら、監理技術者講習を受講・修了する必要があります。次章で講習内容を詳しくご紹介します。

監理技術者として業務がスタートする

監理技術者講習を受講・修了すると、晴れて監理技術者として業務にあたることができます。建設現場においては、監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証を携帯することになっています。

以上が監理技術者資格証の申請の流れ、現場で監理技術者として働くまでの流れとなります。

監理技術者講習の内容

監理技術者講習は「建設工事に関する法律制度」「建設工事の施工管理の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理」「建設工事に関する最新の材料、資機材及び施工方法」について講習が行われます。

講習を実施するのは、一般財団法人全国建設研修センターです。会場での受講やオンライン受講が用意されており、希望に応じて申し込む流れです。

講習は1回80〜90分の講義を4時限目まで行って、最後の5時限目で修了試験を受ける流れです。オンライン受講の際も同様の流れで進みます。

よって、講習自体は1日で終了します。修了試験は合否を決めるものではなく、理解度を試すものですが、受講した内容をもとに精一杯取り組んでください。

なお、会場受講を希望する場合は、各会場の受講の空き状況を確認して申し込んでください。受講料は会場受講では、郵送申し込みが1万円(税込)、インターネット申し込みは9,500円(税込)です。

オンライン受講は1万円(税込)となっています。いずれの受講方法においても、受講料に修了証交付手数料やテキスト代が含まれています。申し込みから受講まで注意点がありますが、特にオンライン受講は受講環境を整えたり、最低でも3週間前までに申し込む必要があったりしますので、余裕を持って計画を立ててください。

※参考:管理技術者講習

まとめ

監理技術者とは、特定建設業が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)を下請けに出す場合に、工事現場ごとに配置する必要がある管理者です。また、建設現場においては幅広い管理業務を行います。

監理技術者になることで、昇給や昇進が期待できたり転職に有利だったりします。また、企業としては公共工事を受注できるメリットがあります。
ご興味のある方はぜひ監理技術者資格にチャレンジしてみましょう。

また、建設業界で働く現場監督や職人が年収を上げていく方法については以下の記事で解説しております。

建設業の職人が年収を上げるには?転職・独立・副業それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴とは

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