面取りとは材料の角を削ることで木材、鋼材、食材などに対してよく用いられる言葉である。

木造建築や木工の分野では鋭利な角を無くして安全性を高める目的で、特に指定されなくても木材の角を45度・面幅1mm前後にカットする。これを糸面あるいは糸面取りと呼ぶ。糸面取りは角のキズやへこみを目立たなくさせる工夫でもある。

中世になると寝殿造の丸柱が書院造の角柱に替わっていくが、7面取り(室町時代、辺寸法が柱幅の1/7)、10面取り(安土物山時代、辺寸法が柱幅の1/10)、14面取り(江戸時代、辺寸法が柱幅の1/14)と時代が進むにつれて面が小さくなる傾向が見られる。

現在でも柱など材寸が大きなものは糸面よりも広い一歩面(幅3mm)や大面(5~6mm)にする場合がある。

これとは別に意匠性を高める目的で施される面取りもあり、建具・家具・木工製品などによく使われている。カットする形状によって丸面、角面(かどめん)、かまぼこ面などの名称がつけられ、さらに複雑なカットを施している几帳面、唐戸面(銀杏面とも)、胡麻殻面などもある。

棹縁天井の棹縁は下面2カ所の角に面取りが施される。大面取り(5~6mm)の45度カットが一般的だが面幅15~20mm程で70度近くにカットすることもあり、その断面形状から猿頬面(さるぼおめん)と呼ばれる。見付けの幅を補足することでシャープな印象を与えることができる。