一般的な意味での「法線」とは、曲線上の一点においてその点における曲線の接線または接する平面に垂直な直線をいう。数学用語であるが、建築物の設計でも垂直を正確に出す必要があるため法線が考慮される。
建築用語としては、構造物などの延長方向の中心線や軸線のことを慣習的に「法線」と呼ぶ。「道路法線」「岸壁法線」「法線設置」などと使う。なお、「方線」という表記も見られるが、基本的には「法線」と同じ意味で使われている。
川の流れる所の中心付近を結んだ線を「河道法線」という。川幅を定着させる役割があり、流水量の計画などに重要となる。急流河川では直線に近い形状とし、流れが緩やかな河川では急激に曲がることを避けるなど、適切な河道法線を定めることが求められる。
「堤防法線」も「河道法線」と同じような役割を持つ。河川管理基図や河川環境情報図を確認しながら、堤防法線を設定するのは望ましい。沿岸の土地利用状況や洪水時の状態などを勘案して、必要な川幅を確保するように河道法線を設定しなければならない。
「法線測量」とは、建築計画資料に基づいて海岸や河川で建築を行う場合において、現地の調査や法線上に杭を設置して線形図を作成することである。特に建築物を新設する場合は、計画された法線を測量に基づいて確定させる。