BRTとは、Bus Rapid Transitの略で、バス高速輸送システムのことです。路線バスは鉄道に比べてダイヤが遅れがちですが、公共交通機関としての利便性を高めるため、バスの定時化、高速化を図るBRTというシステムが導入され始めました。BRTは、以下のような方法でバスの走行環境を確保し、ダイヤ通りの高速運行を可能にします。

・一般道にバス専用レーンや優先レーンを設置
・廃線となった鉄道跡地をバスの専用走行路として利用
・信号をBRT優先で制御する
・連結式の大型バスで輸送力をアップする
・駅を設けて料金先払い式にし、待合室やトイレも併設する

鉄道の方がBRTより圧倒的に輸送力がありますが、線路は、地震や台風、雪などで被災した場合に復旧まで長期間の運休を余儀なくされます。また地下鉄などを新設するには莫大な工事費用がかかります。一方BRTは、輸送力に劣るものの導入コストが安く済むため、各国で採用されるようになりました。

世界初のBRTは、1974年にブラジルで開業されました。現在では南米諸国、中国、フランスなどでも導入されています。日本では、東日本大震災で被災したJR気仙沼線やJR大船渡線が、地域の交通を守るためBRTとして仮復旧されました。現在は復旧した鉄道とBRTが同じ駅を共有するなど、併用が定着しています。茨城では、廃線となった赤字ローカル線の鉄道跡地を、バス専用道として利用したBRTが開業しています。東京では、オリンピックの東京2020大会を機に、都心と臨海地域をつなぐ「東京BRT」が開業しました。