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2022.6.23

建築の設計図書や図面の種類、見方について徹底解説

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はじめまして、白熊次郎といいます。30年以上のゼネコンに勤めた経験を活かして、建築現場で働く皆様に役に立つ情報を発信して行きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、皆さんは建築現場で、「図面をよく見ろ」、「この図書にちゃんと書いてあるじゃないか」、などと言われたことはありませんか?建築工事では図面や図書に基づいて建物を作り上げて行きます。図書や図面には様々な種類があり、現場で建物を作るための情報が詰まっています。図書や図面の量はとても多く、建物完成時にはキャビネット一つに収まらないほどの量になることもあります。そこで、まずは設計図書、設計図の種類、見方について解説いたします。

設計図書と設計図との違いとは

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現場が始まる前に、建築主や設計事務所から提示されるものが設計図書となります。これは、建物の計画・設計段階に設計事務所が、建築主との打ち合わせの中で意図を汲み取り、まとめたものとなります。設計図はその設計図書の一部ですが、建築を行うために必要な仕様書、関連する計算書、工事区分表、現場説明書などの書類、図面の中で指し示す図書も含めて設計図書と言います。

設計図、その種類と読み方

設計図は建築主の要望を受け、建築基準法、消防法、その他の関連する法規を守り、デザインやアイディアを取り入れながら建物の完成形を示す図面となります。施工管理では、まずは設計図面を一通り見て、建物全体のイメージをつかみます。

設計図は積算の根拠、契約書の一部

工事費の算出は、提示された設計図を元に建設会社が各部材の数量や必要な労務費、経費などを積算し、見積書を作成 します。発注者は建設会社から提示された見積もり金額で、そのまま契約することはほとんどなく、同業者他社の見積書との比較、そしてネゴ交渉によって金額が決まり、契約に至ります。受注した建設会社は契約金額を元に、設計図を工種毎に分けて予算立てをし、商社やサブコン、専門工事会社などの協力会社に発注を行います。その発注の際にも設計図や書類と一緒に契約書の一部となります。その為、設計図に記載された内容はとても重要なものとなります。

設計図の種類

設計図は主に建築図、構造図、設備図に分けられます。設計図の作成に際しては、日本工業規格の「JIS A 0150 建築製図通則」※1や、国土交通省が発行する「建築工事設計図書作成基準」※2には、線の太さや種類、扉や窓の表示記号などが定められています。これら基準以外の線や記号については共通仕様書や特記仕様書、設計図面の中で凡例として定めています。図面を読む際には、これら図面や図書も一緒に見る必要があります。

※1 参照:「JIS A 0150 建築製図通則」
※2 参照:「建築工事設計図書作成基準(令和2年改定)」

設計図の単位はミリメートル

設計図面の寸法は基本ミリメートルで記載されており、単位の記載はありません。記号や略称が多く、図面を読み解くまでには経験も必要です。例えば床の位置はFL、2.8mの天井高さはCH=2,800と記載されており、現場では「エフエル」、「シーエイチ2,800」と当たり前の様に読んで会話をしています。

設計図の大きさ

設計図の大きさは建物規模によっても異なりますが、主に新聞紙の見開きよりも多少大きいA1(841㎜×594㎜)サイズ、その半分のA2(594㎜×420㎜)サイズ、更に半分のA3(420㎜×297㎜)サイズの用紙に描かれます。現場に持ち歩くときはA3サイズの図面が小さくてよいのですが、現場で実際のものと見比べながらの作業をする場合、やはり大きなA1サイズが見やすいです。

設計図の縮尺

描かれる図面は実際の大きさから1/50、1/100、1/200、1/500などに縮小して記載されています 。設計図面で寸法を測る際には、図面で計った長さを縮尺の逆数(1/50なら50倍、1/100なら100倍)で掛け算をするか、三角スケール(略して、サンスケ)を用いて縮尺に応じた目盛で長さを読みます。その為、施工管理者の胸ポケットには常にペンと一緒にサンスケが入っています。

PDF図面の注意点

最近では図面がPDF化されることが多くなり、図面の持ち運び方も大分変りました。図面を印刷や表示をする際には、作図時の用紙のサイズ、縮尺に注意をしないと、誤った寸法となってします。資材の長さや数量を間違えてしまうことになるので、注意が必要です。

建物の容姿を表す建築図(意匠図)

建築図は主に建物の大きさ、高さ、間取り、仕上げについて書かれています。建築図は外観や内観のデザインも示されているため、意匠図(いしょうず)とも呼ばれます。まずは完成した建物のイメージを掴むためには、この建築図(意匠図)をしっかり見ることから始まります。
この建築図は様々な種類がありますが、代表的なものについて紹介していきます。

配置図はベンチマークから確認

配置図は敷地の中の建物の配置を表します。敷地内の基準となる位置からの寸法、高さを記載しています。建物を建てる前に、「縄張り(なわばり)」と呼ばれる建物の位置決めの作業は、この配置図を元に行われます。地表面の高さは、T.P.(ティーピー)と呼ばれる標高で表わされます。敷地内のB.M.(ベンチマーク)の高さはT.P.を基準に定められています。敷地内の地盤の高さは、このT.P.若しくはB.M.からの高さで記載しています。

平面図で間取りや動線の確認

平面図には室内の間取りや室名、窓や扉の建具、主要な寸法が記載されています。階毎に描かれ、各室の繋がりや動線が分かります。平面図は柱位置を基準とする通り芯からの距離で寸法を記載します。建物の規模にもよりますが、多くは1/100~/200の縮尺で描かれています。トイレ回りなど細かな部分は、1/50の縮尺の詳細図で描かれています。壁の厚さや便器の設置間隔など、施工上押さえておきたい寸法が記載されています。部屋の大きさや部材の長さは、図面に記載された寸法や、サンスケを当てて確認しますが、見慣れてくると部屋ごとの大きさが直感的に分かる様になります。

建物の顔となる立面図

立面図は建物の東西南北の正面から見た様子を示しています。特に正面は建物の顔となり、ファサードとも呼ばれます。外壁材や窓の仕様も記載され、積算の際に建材の数量拾いにも用いています。

断面図で高さ方向の確認

断面図は東西、南北の2ヶ所以上に切った状態を表します。地盤面からの高さ、各階の階高、全体の高さなど、高さ方向の寸法を確認する図面となります。平面図同様に基礎や床の仕上げ、小屋組みなどの細かな部分は、1/50の縮尺の断面詳細図で描かれます。矩計図とも呼ばれ、室内で用いられる仕上げ材料も記載されており、建物の性能やグレードが分かります。

その他図面で建物のスペックを確認

これらの図面以外に建物の概要、敷地面積・建築面積・延床面積・各室面積を算出する面積表、外部・内部の仕上表、法律の適合チェック図、窓・扉・シャッターなどの仕様を示す建具表などがあります。自動車のカタログにはスペック表がついていますが、これらの図面は建物のスペックを表しています。

建物の骨格を成す構造図

構造図は主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造に分けられ、それぞれの仕様について記載されています。こちらも代表的なものをご紹介します。

見下げた状態を表す伏図

構造図の平面図には柱、床、梁の状態を記載しています。建物の中に立って見下げた状態を描いているため、伏図(ふせず)とも言います。各部材は記号化されており、柱は英語のコラム(Column)の頭文字を用いてC、梁はビーム(Beam)のB、床はスラブ(Slab)のSを頭記号として種類に応じて番号がついています。各部材の寸法、材料、鉄筋などの仕様は別図の詳細図で確認をします。

まるで建物のレントゲン写真のような軸組図

構造図の断面図は軸組図と呼ばれ、通り芯毎に記載されます。躯体の高さ関係を示し、建築図の断面図とも整合しています。フリーアクセスフロアなどの用いる室は床の50~200㎜程度下げる必要があり、軸組図でもその部分の梁の天端は他の部分よりも低く描かれています。

構造図は建物が完成すると仕上げ材に隠れて見えなくなりますが、建物の強度や耐震性に関わる大切なものとなります。人間に例えるとレントゲン写真の様な図面で、建物の骨格を表す図面となります。

建物の臓器となる設備図

設備図は建物の設備を示す図面で、更に電気設備、給排水衛生設備、換気空調設備、昇降機設備に分けられます。

建物の神経となる電気設備

電気設備は、電力会社から電気を引き込む受変電設備図、建物内の動力盤や分電盤を含む幹線動力設備図、照明器具やコンセントに電気を送る電灯コンセント設備図、消防法の規定による誘導灯や自動火災報知設備図、インターホンなどの通信設備図などがあります。建物の神経となるのが電気設備図です。電気設備図は主に壁や天井に取り付ける器具の配置や配線図となるので、電気設備の図面は室内から見上げた状態の見上図として記載します。

建物の血管のような給排水衛生設備

給排水衛生設備には、敷地周囲の給排水配管を示す配置図、建物内の縦の配管の繋がりを示す系統図、トイレなどの水場周りの器具配置・配管の平面図などがあります。図面の多くは液体が流れる配管が描かれており、建物の血管図に相当します。給排水衛生設備の図面は、主に床に取り付ける器具とその下の配管について記載するため、構造図と同様に室内から見下げた伏図(ふせず)となります。実際には床下は見えないため、上階の配管図を持って下階で見上げながらの工事となります。

建物の呼吸をつくる換気空調設備

換気空調設備には、空調用の熱源機器、空調機器、換気機器の仕様を示す機器表、配管・ダクトの系統図、平面図、自動制御の計装図などがあります。換気設備や空調設備によって、室内が快適に保たれています。人間と同様に建物も呼吸をしています。平面図は電気設備同様に室内からの見上図として記載してあります。

建物の中の人や物の移動のための昇降機設備

昇降機設備にはエレベーター、エスカレーター、ダムウエーター、機械式駐車設備などがあります。人や物の移動を助けるための設備となります。主に各メーカーの製作図を元に、設置する建物に合わせて作成した図面となります。

設備図は照明器具やトイレの器具、エアコンなど、完成時に目に見えるものもありますが、それらが天井裏や床下などの目に見えないところで、配線や配管でつながっています。人間に例えると臓器の様なもので、現代の建物ではとても重要なものとなります。

まとめ

以上が建築の図書や図面の内、設計図面の種類、見方となります。設計図だけでも建築図(意匠図)、構造図、設備図があり、相互に関連しています。設計図書の全体を把握し、設計図を一通り読めるようになると、これから作り上げる建物全体のイメージを持てるようになります。まずは図面をよく見て、図面の中の建物を歩いてみてください。

続きは次回となります。設計図の元となる仕様書や関連する図書について説明をいたします。設計図だけでは分からないこと、知っておきたいことがたくさんあります。皆さんも建築現場にある図書や図面をよく読んで、良い施工管理の仕事につなげてください。

(文/白熊次郎)

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