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怪我や病気で休職後、どのように復職する?建設業で無理なく復帰するためのポイントを看護師が解説

2023年7月18日更新

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建設業で長く働く上で怪我に注意する必要があります。
転落や落下物による事故、機械の操作に伴うものなどさまざまです。
そして怪我だけでなく、病気になる可能性もあります。病気もさまざまで、高血圧や糖尿病などの身体的なものだけでなく、うつ病や適応障害などの精神疾患もあります。
一時的に休職したあと、問題になるのが復職です。「以前と同じ働き方をすること」をゴールにすると、心身の状況によってはそれが負担となってしまうかもしれません。再度休職することになったり、場合によっては退職となってしまうこともあります。そのため、復職は段階を踏んで無理なく進めていく必要があります。
それでは、どうすれば無理なくスムーズに復職することができるのでしょうか。ポイントを解説していきます。

建設業ではどんな病気や怪我がある?

病気

・高血圧症

高血圧症とは、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいいます。くり返しの測定で診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。*1

高血圧が怖い理由は、自覚症状がほとんどないことです。よく「めまい」や「頭痛」などの症状があると聞くこともありますが、症状が出るころには他の病気も発症していることも珍しくありません。高血圧が原因で、心筋梗塞や脳出血など命に関わる病気を発症することもあります。そのため、「症状がないから大したことはないだろう」と油断はできないのです。

・うつ病やその他の心の病気

うつ病は「心の病気」とされていますが、実際には脳の働きが低下することで意欲の低下やだるさなどがおこる病気です。原因には、強いストレスや環境の変化などがあります。一定の年代になると、仕事において責任のある立場になる人も増えるので、うつ病のリスクが高くなります。うつ病は回復するまでに長い期間かかることもあるため、長期間の休業の原因にもなります。

・腰痛症、肩こり症

腰痛や肩こりは身近な症状なので、感じたことがある方も多いと思います。たまに感じる程度だったり、少し休めば治る程度であれば大きな問題にはなりませんが、体を思うように動かせなくなると生活できなくなります。

特に建設業は体を使う仕事なので、痛みが強くなると支障をきたしてしまいます。

怪我

建設業では、高いところやバランスの悪いところでの作業があります。転落や転倒によって、打撲やねんざ、骨折などの怪我をする可能性があります。骨折した場合、骨の場所や骨折の程度にもよりますが、完全に治るまでに数か月かかる場合もあります。そうなると、長い期間休職が必要となります。

休職期間中に復職を目指すにあたって不安なこと

休職期間中、復職を考えるにあたってどのような不安があるでしょうか。

ここで感じる不安をうまく解消できないと焦って職場復帰してしまい、復職がスムーズにいかないこともあるので注意が必要です。

経済的負担

仕事を休むと、給料が減ってしまいます。でも病院には行かなければならず、そうすると治療費がかかるのでお金が必要です。

有給休暇や傷病休暇を使って通院を続けたり、傷病手当や高額療養費制度を利用することで治療費の負担を軽減することもできます。個人で保険に加入している人は、保険金が支払われることもあるでしょう。

それでも思うように回復せず休職期間が長引くと、経済的不安はますます大きくなり、焦って職場復帰をしてしまう方もいます。

職場の人間関係

「突然仕事を休んで、みんなに迷惑をかけてしまった」「今まで積み上げてきた信頼がなくなってしまうのではないか」と、職場の人間関係が悪化することへの不安があります。

病気や怪我は誰にでも起こり得ることなので、本人を責めるのは気の毒です。それでも、休んだことへの罪悪感を感じ、復職を早めたり復職後にこれまで以上に忙しく働いてしまうことで、再び休職する可能性もあります。

以前のように働けるのかどうか

復職というと、以前と同じ働き方で働くことをイメージすることが多いかもしれませんが、体の状態によってはそれが叶うかどうかは分かりません。完治したとしても、以前のように体が動かせなくなったり疲れやすくなったりすることはあります。そうなった場合、復職しても働き続けられるのだろうか、働き方を変えた方がいいのかなど、考えなければいけません。

復職ではなく、転職はどう考えたらいい?

もしかすると、休職をきっかけに「違う職場に転職した方がよさそう」と考える方もいるかもしれません。そして、以前に比べて転職のハードルが低くなっている今、気軽に転職を選択できるようにもなりました。

もちろん、休職の原因が職場環境の悪化など自分で調整するのが難しいものだとしたら、転職もひとつの選択肢かもしれません。しかし、ここは慎重に考えることをおすすめします。なぜなら、転職したからといってスムーズに働けるとは限らないからです。

まず、そもそも新しい職場が見つからない可能性があります。運よく見つかったとしても、採用してもらえないかもしれません。そうなると仕事がない期間が長くなり、収入がなくなってしまいます。

そして、今の職場よりも働く環境がいいとは限りません。求人を確認したりネットで職場について調べたりする方がほとんどだと思いますが、調べた情報と実際の情報が異なる可能性もあります。そうすると、せっかく労力をかけて転職したのに生き生きと働けなくなってしまいます。

このような理由から、転職もひとつの方法ではあるものの、まずは復職することを第一候補として目指すことをおすすめします。

スムーズに復職し健やかに働くために大切なこととは

では、できるだけスムーズに復職するためにはどんなことに気を付けたらいいのでしょうか。

休職に至った原因を明確にする

まずは、病気や怪我に至った原因を明確にしましょう。職場環境がよくなかったのか、自分自身が無理な働き方をしてしまったのか、さまざまな原因があると思います。その原因を明確にしないと、せっかく復職できたとしてもまた休職してしまう可能性があります。

働き方の調整をする

復職とはいっても、必ずしも病気や怪我をする前と同じように働く必要はありません。例えば、同じ会社でも業務内容を調整してもらったり、正社員ではなくパート勤務に変えてシフトの融通がきくようにするなど、方法はあります。もしかすると、中には業務内容の変更が難しい職種もあるかもしれませんが、無理だと決めつける前に相談するのも選択肢のひとつです。どんな働き方をすると自分が健やかに働けるのか、まずは自分自身とよく相談して、そのうえで職場と調整するようにしましょう。

病気や怪我を予防する

もし病気や怪我が予防できるものだとしたら、再発を防ぐために予防策を考えましょう。

自分自身で行える予防策としては、回復後も定期的に通院して治療を続けたり、健康診断や人間ドックで健康状態をチェックする方法があります。40歳以降は生活習慣病のリスクも高くなる傾向にあるので、注意が必要です。

それだけでなく、職場と相談して行う予防策もあります。例えば、就業規則や労働条件に関するもの、安全な設備や手順に関するものなどです。長年行われてきた職場環境を変えるのは大変なことではありますが、よくないものを変えることで恩恵を受ける人は他にもいるでしょう。こちらの要望を押し通すのではなく、一緒に創り上げるイメージで、相談しながら進めていくのが理想です。

【まとめ】

病気や怪我で休職した方は、さまざまな不安や葛藤を抱えていると思います。漠然とした不安ではなく、どんなことが不安なのか明確にしたうえで対応策を考えると、不安も少しずつ軽減していきます。必要以上に気負わず、自分にあった復職方法を考えてみてください。

*1引用)国立循環器病研究センター 「高血圧」

https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/hypertension-2/

[文/浅野すずか]

フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた記事を執筆。

 

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