TOP インタビュー 「庭は大切な家族、だからこそお客様と一緒に造る」大人気庭師のこだわりとは

「庭は大切な家族、だからこそお客様と一緒に造る」大人気庭師のこだわりとは

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職人さんの道具や技術へのこだわりをご紹介する『こだわり』。今回は新潟県三条市の庭師、長橋正宇さんをご紹介します。長橋さんは実力派の庭師で、発注が2年後になるほどの人気を誇っています。

この記事では、長橋さんへのインタビューを通じて、道具へのこだわりや人生観、仕事に対する思いをお伝えしたいと思います。

【プロフィール】
名前:長橋正宇
帝樹園庭正 代表取締役。「人生の景色を変える」を経営理念に、タカショー庭空間施工例コンテストで2年連続金賞を獲得。多くの人に庭の魅力を伝えるべく日々活躍中。


取材はzoomにより実施、写真は画面キャプチャ

祖父に乗せられ、庭師の世界へ

「元々は祖父が保内を拠点に庭師をやっていまして、その祖父に半ばはめられるような形で庭師になりました(笑)」

長橋さんは中学生の頃からお祖父さんの仕事を手伝っていましたが、ある日、お祖父さんが脳梗塞になってしまいました。そこで入院中、お見舞いにきたお客さんに「庭師の仕事は孫が引き継ぐ」と伝え、乗せられるような形で庭師を継ぐことになりました。

「祖父の事は大好きでしたし、そう言われて嫌な気はしませんでしたが、私は既に土木作業の仕事に就いていましたし、何より庭師の技術も無い。そこで、5年ほど他の造園会社で修行させてもらいながら、休日に祖父の指導を受けながら祖父のお客さんの庭を手入れしてまいきました。」

平日休日問わず仕事漬けの日々でしたが、そんな中でも長橋さんは庭師の仕事に危機感を感じるようになりました。

「祖父の仕事は休日で済むほどのボリュームで、私が継いだ時に専業でやっていける規模感ではありませんでした。それでは食べていけないので、この間に並行してマーケティングや商売の勉強も始めました。

修行先が剪定や刈り込みを主にやっていた事もあり、長橋さんは当初は庭造りよりも庭のメンテナンスを生業としていくつもりでした。ですが、勉強していく中でメンテナンス業では差別化が難しく、庭造りの方にニーズがあると気付きます。

庭師としての最初の仕事はドッグラン造り

「最初に造園の仕事を下さったのは祖父のお客様の一人でした。修行時代、その方が犬を飼い始めたのがきっかけでドッグランを造る事になりました。
祖父は脳梗塞で半身麻痺の状態でしたが、造園の技術や知識があります。祖父にアドバイスをもらいながら、元は祖父が作った庭だった場所をドッグランに変えていきました。」

1平米のスペースに庭を展開

「次の仕事は1平米の造園でした。これは友人が結婚する時に相談を受けたのが始まりで、友人は『1平米分のスペースしかないんだけど…』と申し訳なさそうに切り出しました。一般の方からすると庭師に相談するのは敷居が高いらしいですが、私は快く引き受け、限られたスペースの中でお洒落な空間を演出しました。」

これがきっかけで、長橋さんの下にハウスメーカーからの引き合いが来たり、周りの顧客から注文が入るようになりました。

タカショー庭空間施工例コンテストの初応募作が銅賞に

「独立して2年が経った頃、株式会社タカショーが主催する庭空間施工例コンテストに応募しました。これは施工店やハウスメーカー・工務店など庭園造りに関わる方向けのコンテストで、このコンテストに入賞する事は庭師としてとても名誉な事です。」

当初、長橋さんはこのコンテストにエントリーする予定はありませんでした。ですが、長橋さんの作った庭園を見たタカショーの社員にエントリーを勧められ、応募を決めました。

「ハウスメーカーから引き合いを頂くようになったのも、友人の庭園を見て頂いたのがきっかけです。これは私の職人人生を通して言える事ですが、色んな方に自分の方向性を導いてもらってるように感じます。

コンテストの結果はなんと銅賞。新聞やテレビにも取り上げられ、一気に注目を浴びるようになりました。

多忙を極めて記憶喪失に

順調そのものに見えた長橋さんですが、ここで黄色信号が灯ります。

「私はほとんど現場に出ているので、問い合わせ用電話番号に自分の携帯電話の番号を載せていました。ですが、メディアの露出が増えるにつれて問い合わせが急増し、1日中電話が止まらなくなっていました。」

問い合わせの中には冷やかしの電話もありましたが、長橋さんは一つ一つ丁寧に対応していました。

「日中は現場に出て、帰ってからは図面を書いたりお客様とやりとり。修行時代から1日の睡眠時間は3時間くらいでしたが、この頃は殆ど寝る時間も取れませんでした。応援してくれる周りの声も嬉しかったですが、一方でプレッシャーに感じる事もあり、色んな形で追い込まれていました。」

そんな日々の中、長橋さんは唐突に記憶を失ってしまいます。

「丁寧に対応しているうちに、どこにどんなタイミングでどんな提案をしたのか、自分が何をしているのか分からなくなってしまい、神経が切れたような感じになってしまいました。直前の出来事も瞬時に忘れてしまうようになり、その頃の事は今も思い出せずにいます。」

長橋さんは一旦ペースを落とし、改めて造園の仕事と向き合いはじめました。

ハサミの手入れは植木の命を守る為

長橋さんはハサミの手入れに強いこだわりを持っています。

「道具は大事にしていますが、中でもハサミは重要です。一丁5000円〜6000円くらいですが、長く使うものなので、年に一度は必ずプロの研ぎ師に研ぎをお願いしています。また、普段の手入れは私の方で行うのですが、一回の現場が終わるごとに必ず消毒するようにしています。」

植木にとってのハサミは人間にとっての注射器と同じで、別の植木を切った際についた樹液から感染症が移る事もあります。その為、手間であってもハサミの消毒は欠かせません。

「また、ハサミは極力、地場のものを使うようにしています。これは地元三条市が金物の町で、世界に誇る技術を持っているからです。刃物と言えば大阪の堺が有名ですし、使ってみたいという気持ちもありますが、できるだけ地場に貢献したいと思っています。」

こだわりのハサミたち

植木との一期一会を大切に

ハサミ以上にこだわりを持っているのは植木です。植木は人間と同じで、同じものが存在しません。同じ樹種であっても、一本一本に異なるストーリーがあります。これだと思った植木と出会う為に、遠方の競りに行く事も多いです。お客様にもそういったこだわりを感じて頂き植木を選んでもらうことで愛着がわいてきます。」

新社屋のシンボルとして購入した、樹齢100年を超えるオリーブの樹。花言葉は『平和』『勝利』

完成した庭を見た時、顧客の表情がスローモーションに

「この仕事をしていて一番のやりがいは、完成した庭をお客様にお見せした時です。その瞬間、まずお客さまの動きが止まります。そして一瞬の沈黙から、徐々にニッと笑ってくれる。その一連の変化が、スローモーションのように映ります。その表情を間近で見られるのがこの仕事の醍醐味です。」

また、顧客から「庭ができてライフスタイルが変わった」という声を聞くことも、長橋さんの大きなやりがいです。

「庭を造ってもらってから草取りをするようになったという声や、自然と庭に触れるようになったといった声を聞くと、ちゃんと使ってくれてるんだなぁと感じて嬉しく思えます。」

庭は家族、だからこそ妥協せず、顧客と一緒に庭を造っていく

「私の造園のキャリアは11年目、業界の中では決してベテランの方ではありません。それでもお客様が何を求めているかという本質と向き合う事で、お客様に喜んで頂ける作品が造れます。

タカショー庭空間施工例コンテストで金賞を取った時、最初はお客様は長橋さんに全て任せるというスタンスでした。ですが、お客様のライフスタイルを掘り下げ、出来上がった庭で何をしたいかを突き詰めた結果、縁側で歴史の本を読める最高の環境を造るというテーマに辿り着きました。

第29回タカショー庭空間施工例コンテスト金賞受賞作

「庭は家族と同じだと思っています。例えば、ペットを家族として迎え入れる時、どんな動物でもいいからブリーダーさんに任せるといったことはしませんよね?庭も同じで、これから同じ時間を過ごしていく家族だからこそ、庭師と一緒に造って頂きたいと思っています。」

長橋さんは顧客に、「施工途中であっても違和感があったら遠慮なく、ちょっとした要望でも言ってほしい」と伝えています。

「造って終わりではなく、その後のメンテナンスを通じて庭が成熟していく事も考え、本当にいいもの、お客様の家族になれる庭を一緒に模索していきます。」

1000年企業に向けて、一歩ずつ年輪を重ねていく

長橋さんの会社『帝樹園庭正』の由来は、自社の事業を1本の樹に見立ててつけられたものです。

「最初は庭樹園という名前にしようと思っていましたが、自分の事業をどう称してもらいたいか考えて、『庭』の字を『帝』に文字って『帝樹園』とし、私の名前を1文字入れて『帝樹園庭正』と名付けました」

現在、世界の長寿企業ランキングの上位3社は日本企業が占め、創業1000年を超える企業も多くあります。

「帝樹園庭正も、1000年企業を目指していきたいと思っています。その中で、1年1年、年輪のように会社の年を刻んでいき、成長していきたいと思っています。」

帝樹木園庭正の企業ロゴ、デザインを手がけたデザイナーはこのロゴがきっかけで全国で表彰される

「今後やりたい事として、庭付きのコワーキングスペースを造りたいと思っています。例えばGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やsnow peakの社屋には芝生の広場があったりしますが、実はコワーキングスペースで庭のある場所は日本にありません。」

オフィスの必要性が問われている昨今、長橋さんはコワーキングスペースの庭で、顧客の感動を呼び起こそうとしています。

「まずは弊社の新社屋に庭付きのコワーキングスペースを設け、店舗数を増やしながら庭の素晴らしさを伝えていきたいと思います。」

また、長橋さんはガーデンセラピーの切り口で庭の魅力を啓蒙するため、ガーデンセラピーコーディネーター1級の資格を取得しました。

「この仕事をやっていて、自分は色んな方とのご縁に恵まれていると実感します。関わってくれる方々と一緒に、これからも庭の魅力を世に伝えていきたいです。」

(文/赤木勇太)

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