そこでおすすめの方法のひとつに、「500円玉貯金」があります。
銀行などに毎月少しずつ増やしていく貯金ももちろん良いことですが、500円玉貯金には独特の楽しみがあります。
いまはコンビニなどではスマホのキャッシュレス決済で商品代を支払う人も多いことでしょう。
しかし小銭を扱わざるを得ない時、コインを貯めるというある意味原始的な方法である、500円玉貯金にトライしてみるのはいかがでしょう。
目次
やり方はごく簡単
500円玉貯金。その名の通り、500円玉を貯めていくわけですが、やりかたはシンプルです。
1日の終わり、もしくは始まりに、お財布の中に500円玉があったらそれを容器に入れていくのです。
なおあくまで単純計算ですが、毎日1枚の500円玉を365日貯め続けると、1年で18万2500円になります。
ただ、500円玉は一番高額な硬貨ですから、お財布から取り出してしまうのはなんとなく寂しいな・・・と思う方もいらっしゃることでしょう。また、最近はコンビニなどではキャッシュレス決済を使う人も多いでしょうから、そうそう小銭は発生しないかもしれません。
そこで、無理なく始める方法をご紹介したいと思います。
負担に感じないペースから
さて、先ほど「1年間で18万2500円」と言いましたが、いきなりこの金額を目指してはいけません。
貯金とはいえ、毎日お財布からお金を取り出してしまう作業であることに変わりはありませんから、途中で嫌になってしまう可能性があります。そして、無理をするとせっかく貯めてきた500円玉を使ってしまいかねません。
それでは意味がないからです。
まずは、「1週間に1枚か2枚」といった低い目標から始めることが大事です。
小銭を日々取り出していくと、毎日お財布が軽くなるというメリットもあります。
容器選びは重要!
そして、どのような容器に500円玉を入れていくのかはとても大切な要素です。これは人によって違うようです。
マネーコンサルタントの市居愛さんが、このようなアドバイスをしています*1。
Q.「ハワイ」と聞いてイメージするものはどれ? A.白い砂浜 B.ザザーッという波の音 C.照りつける太陽の熱さ → Aの人は: 中が「見える」貯金箱 物事を目で見て確認する視覚派。中身の見えるものを選ぶことで気持ちが上がる。欲しいものの写真を貼るのも効果的。 → B、Cの人は: 中が「見えない」貯金箱 音で確認するBの聴覚派、体感を重視するCの人は、たまり具合を「音」や「重さ」で確認できるタイプを選ぶのがよい。 |
筆者も500円玉貯金を続けていますが、筆者はAのタイプでした。
そして、Aのタイプの人にはオススメの容器があります。
ペットボトルです。
ペットボトルを使う場合
今は飲み物の中身によって口の広いペットボトルがありますが、筆者がオススメするのは普通の飲み口のペットボトルです。
比較的丈夫ですし、簡単に手に入ります。
そして、このペットボトルに、貯金箱にあるような「お金の入口」をカッターなどで開けます。お金を飲み口から入れるのではありません。
というのは、これはペットボトルの利点なのですが、筆者が試したところ、一般的なペットボトルは、ひっくり返しても飲み口を通るのは1円玉と50円玉だけでした。
よって、入れた500円玉はペットボトルじたいを切り裂かない限り出てきません。これが500円玉貯金を続ける秘訣にもなります。
そして、ペットボトルは透明ですから、貯まっていく過程が見えるのもまた楽しみになります。
あるいは、どのくらい貯まっているか見えない状態にしてワクワクしたい、という人の場合は、飲み物のラベルをつけたままにしたり紙を巻いたりしてペットボトルを使うのも良いでしょう。
なお、いきなり2リットルのような大きなペットボトルを使うよりも、最初は500ミリリットルや1リットルのペットボトルを使うのがオススメです。最初からあまり目標を高くしてしまうと、途中でペットボトルを切り裂きたくなってしまいます。
筆者は1リットルのものを使っています。
ちなみに、1リットルのペットボトルの肩の辺りまで500円玉が貯まると、10万円以上になっていました。正直、かなり驚いたものです。
なお、ペットボトルでなくても、容器は、普段帰宅して財布を置く場所の近くに設置しておくのが良いでしょう。毎日小銭を容器に入れるという癖はそう簡単には身につきません。忘れてしまう日もあります。意識できる場所に置いておきましょう。
続けるうちに心が変化してくる
最初はちょっとした高い意識が必要ですが、慣れてくるとゲーム感覚で楽しめるようになってきます。
筆者の場合は、お釣りに500円玉が出るように計算して買い物をし、帰宅してからその1枚を容器に入れることがささやかな楽しみになってきました。
ここでももちろん、あまり無理やり500円玉を作りすぎてしまうと苦痛になりますから、適度にゆるく始めてみましょう。筆者の場合も、余裕があるときは多めに入れる、ということを心がけていました。
そのためにも、小さめの容器から始めるのが良いのです。達成感が生まれやすいからです。
銀行などに入金するときの注意点
さて、貯まっていく様子を眺めるのも楽しみになる500円玉貯金ですが、そのまま自宅に置きっぱなしというわけにもいきません。
ある程度貯まったら銀行などに持っていきたいところですが、ここでも注意が必要です。
まず、貯め込みすぎると運ぶのが大変になってしまいます。意外に重いからです。
500円玉1枚は7グラムほどあります*2。
100枚貯まると700グラム、200枚貯まると1.4キログラムになってしまいます。
また、銀行などに入金するにはATMか窓口かということになりますが、ATMで一度に入金できる枚数には限りがあるうえ、窓口では、硬貨の預け入れは一定枚数を超えると手数料を取られてしまいます*3。
よって、こまめに入金にいくのがオススメです。
また、その際には「500円玉貯金専用」の口座があるとなお良いでしょう。「お金に色はない」とよく言われますが、せっかく時間をかけて貯めた500円玉は、普段の生活人は別にしておきたいものです。銀行に持っていく楽しみも増えます。
未来の自分へのご褒美にも
さて、こうして貯めた500円玉貯金の使い道について考えてみましょう。
筆者個人としては、「生活費の足し」という使い方はあまりオススメできませんし、「老後の備え」というような大きな頼みの綱にしてしまうのもできれば避けた方が良いと考えます。目標が大きくなりすぎてしまうと、「今月は何枚入れなければ」という脅迫観念が生まれてしまい、続かなくなってしまうものです。
さて、筆者の知人にこんな人がいました。
時々のご褒美である旅行先でおいしいものを食べようと、貯めた500円玉を全て持っていき、それでお店の会計を済ませたのだそうです。お店のほうは大変だったかもしれませんが、良い使い方だな、と筆者は思いました。
確かに、具体的な目標があると、貯める楽しみも増えることでしょう。
「貯金」というとやや窮屈な印象があるかもしれませんが、楽しく貯めることができるのが500円玉貯金の醍醐味です。
試してみてはいかがでしょうか?
*1
「お金のプロもやっている 500円玉貯金を始めよう」日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO18507730V00C17A7000000/
*2
「解説!新しい500円貨」財務省
https://www.mof.go.jp/policy/currency/bill/20210816.html
*3
「【手数料】硬貨をATMや窓口で入金するときに、手数料は必要ですか?」三井住友銀行
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/6118?site_domain=default
「その他手数料」MUFG
https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/sonota.html
「大量硬貨取扱手数料の新設について」みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/rate_fee/coin_handling_fee.html
[文/清水 沙矢香]
2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。
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