「偏心」の元の意味は「中心から偏っていること」である。建築においては、「本来あるべき中心点からずれている」といった意味合いで使われている。
なお、「偏芯」という表記もあり、意味は「偏心」と同じ。しかし、建築業界では「偏心」を採用している。
日本の家屋の場合、採光のために南側にリビングなどを置き、北側に浴室やトイレなどを置くケースが多い。その場合、家屋の北側に剛心や重心がずれる。また、オフィスでは、エレベーターなどを集中して配置した側に偏心が生じる。
「偏心率」とは、偏心のずれの程度を表したもの。具体的には、建築物の構造部材の配置バランスを数値化したもの。建築基準法では、建築物の偏心率を0.15(場合によっては0.3)以下にしなければならない。
偏心率は、偏心距離に弾力半径を割った値で算出される。ただし、偏心距離と弾力半径の計算が複雑。そのため、計算ソフトなどで偏心率を算出すると良い。
偏心率はなるべく小さい値になるよう、構造部材を均等に配置しなければならない。荷重が柱の中心に作用するよう、設計することが望ましい。
基礎などに偏心が起きると「偏心モーメント」が発生し、構造部材に負荷が掛かる。偏心モーメントは偏心距離と比例するので、偏心距離を短くする必要がある。