建築物の状態などによって使用する塗料や手法を変えたり、塗装の技能だけでなく美的センスが必要とされたりなど、高いスキルが求められる塗装工ですが、実際にどのくらい稼ぐことができるのかが気になるところではないでしょうか。
そこで今回は、社員として働く塗装工の平均年収・給料・ボーナスについて紹介するとともに、実際に高年収を得ている塗装工の特徴や年収を上げるための方法を紹介します。
これから塗装工になりたいと考えている方や、現在塗装工として働かれていて収入を増やしたいと思っている方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
塗装工とは
塗装工は職人さんの仕事の中でも比較的ポピュラーな職種です。この記事をお読みの方も、ご自身の自宅やマンションの外壁塗装などで塗装工の方をみた事がある方もいらっしゃるでしょう。
塗装工は、ペンキなどの塗料を使用して建物の塗装を行う職種です。建築で例えると、一軒家であれば、外壁塗装と呼ばれる建屋の外側にペンキを塗る仕事をしたり、屋根に防水塗装を塗ったりします。塗装をすることで、建物の外側を日光や雨・湿気などから守り、建物の寿命を長くする役割があります。
塗装工(正社員)の平均年収・給料・ボーナスは?
まずは、厚生労働省のデータをもとに塗装工の平均年収・給料・ボーナスを見ていきましょう。
厚生労働省の調査によると、塗装工に最も近い分類である「画工、塗装・看板制作従事者」の平均月給は28万4千円、平均年収は約409万円となっています。
平均年収 | 4,086,100 |
年齢 | 42.7 |
勤続年数 | 12.1 |
平均月給 | 284,000 |
平均ボーナス | 678,100 |
国税庁の調査結果(令和2年分 民間給与実態統計調査結果)によると、全給与所得者の平均年収は約433万円であるため、塗装工の平均年収は一般平均よりも若干少ないといえます。
「画工、塗装・看板制作従事者」と一括りにされているため、一概に建設業の塗装工の平均年収が低いとは言いきれないものの、近しい数字であると推測することはできます。
塗装工で年収1000万円を目指すには
先ほどの厚生労働省の調査によると、規模が1000人以上の企業に勤めている55〜59歳の「画工、塗装・看板制作従事者」でも平均年収は約847万円となっています。
中には年収1000万円以上の塗装工もいるかもしれませんが、そのような方はほんの一握りであるため、基本的には会社勤めで年収1000万円を実現するのは難しいでしょう。
とはいえ、長期的な視点に立って、転職をするのも一つの手です。会社員として年収1000万円を超えることは難しいですが、転職する事で給与が上がったり、任される仕事の幅が広がり、スキルアップに繋げることは可能ですも可能です。そういった意味で、将来に向けたスキルアップにもつながります。ただ、転職でも1000万円を目指すのはかなり難しいですよね。
ではどうするのかというと、独立→法人化→規模拡大です。独立すると、単価の高い仕事を優先して引き受けたり、自分が働ける分だけ働くことにより収入を増やすことができます。
さらに、法人化して従業員を雇用し、会社として受けられる仕事量を増やしていくことにより、年収1000万円を目指せるでしょう。
また、建設業界で働く現場監督や職人が年収を上げていく方法については以下の記事で解説しております。 建設業の職人が年収を上げるには?転職・独立・副業それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴とは特に、できるだけ元請けや一次請けなど発注者に近い立場を目指し、同じ仕事でも高い単価で引き受けることが重要です。
独立して稼げる塗装工の特徴
ここでは、独立して稼ぐことに成功している塗装工の特徴を紹介します。
1.コミュニケーション能力がある
独立して仕事をもらう上で、コミュニケーション能力は最も重要ですよね。独立すると、自分で営業もしなくてはならないため、現場の外でもコミュニケーション能力が求められます。また、営業活動以外でも、例えばエンドユーザーから直接仕事を請ける際は、エンドユーザーとの良好なコミュニケーションが求められます。「職人は腕があってこそ」という考え方もありますが、最近はコミュニケーション能力も同様に重要視されていますので、特に独立して稼ぐ上ではコミュニケーション能力は必須の能力と言えるでしょう。
また、単価が高く大きな仕事が入った場合、下請けの塗装職人に仕事を依頼することになるため、仕事の概要を伝えたり仕事の管理監督をしたりする場面も多くなります。
2.向上心や好奇心がある
稼ぐ塗装工は人一倍強い向上心を持っています。塗装技能士といった塗装業の知識だけではなく、大型トラックやクレーン運転士、玉掛作業講習、足場組立作業責任者などさまざまな資格取得にチャレンジしています。また、違う職種の職人さんとも積極的に情報交換をし、知識を深めたり視野を広げたりしています。こういった好奇心や向上心は、塗装業で独立して活躍する上で重要になります。
例えば通常は鳶職人に依頼する足場組立を自分一人でできるようになり、その分の費用を抑えられますし、塗装技能士の資格などは、高い技術を持っていることの証明になります。それだけで信用につながるため、仕事を獲得する際に役立ちます。
さらに、積極的に従業員を雇用して規模を拡大し、会社としての仕事量を増やしていくことが稼ぐことにつながります。従業員を雇用する際も、ご自身に施工の技術があれば社員への指導もできますし、社員との良好な関係を築きやすくなります。
3.行動力がある
独立してお仕事をしていると、自然と同業種の方とネットワークが広がっていきます。そんな時にフットワークが軽いというのも、稼いでいる塗装工に共通している特徴です。「困ったときはお互い様」と多少難しい現場でも助けてくれる、そんな職人のもとにはいろいろな情報や儲かるチャンスが巡ってくるものです。もちろん、今の技術や設備ではできない案件を請けてしまうのは、できなかった時に信用を失ってしまいますのでNGですが、多少難しい現場でも引き受けて仕事をこなすことで信用を得る事ができ、安定的な案件の獲得や収益性の高い案件をもらうチャンスにもなります。
また、慣れない営業の仕事にも勇気を持って飛び込み、場数を踏みながら仕事を獲得していきます。こうした行動力が年収アップにつながります。
4.経験が豊富である
現場では様々なトラブルが発生することがあります。そんな時に、経験豊富な塗装職人であれば柔軟に対応する事が可能です。その他にも、現場で様々な相談を受ける際も、経験豊富であれば知識の引き出しが多く、解決案を出しやすくなります。こういった実務の経験は資格の知識だけでは得られないものも多く、逆にアルバイト等で様々な現場を経験することで得られたりする可能性もあります。
5.自分の強みと使い方を理解している
例えばコミュニケーションや業務知識など、自分の強みがどこにあるのかを理解して、それをどう活かすかまで考えられる方は年収が高くなる傾向にあると言えます。特に、自分の強みが周りの人の苦手分野だったりする場合は、その強みを活かしやすく、様々な人から重宝されるでしょう。これはいわゆる社長と呼ばれる人たちでも同じで、社長だからといって皆が何でもできるわけではなく、自分の強みを活かし、苦手な分野は従業員に任せるといったケースもあります。
独立して収入を増やす具体的な方法
先ほど、独立・拡大して単価の高い仕事を多く引き受ければ年収1000万円に近づくと書きました。ただ、実際は体力的にも時間的にも限界があるため、思ったように稼げないケースも多いです。
そこで、元請けや一次請けなど発注者に近い立場を目指すことが収入アップへの近道になります。
元請けと自分の間に入っている会社が少ないほど自分の受注単価が高くなるため、1件あたりの売上を増やすことができたり、協力会社に頼んで同時に多くの仕事を請けることによりさらに売上を増やすことができるからです。
例えば大きな工事や新築工事の場合、元請けの建設会社から直接仕事を依頼される一次請けになれるよう、建設会社の人とつながって仲良くなっておくことが重要ですね。そういった時にも、法人化して社員を雇っておくことで、大きな規模の現場も対応できるようになり、収益の高い案件を請けるチャンスが広がります。
仕事の増やし方に関しては以下の記事で解説しております。 一人親方がすべき仕事をもらう3つの方法を紹介!
安定して多くの収入を得るには、より多くの取引先とつながる必要があります。しかし、人のツテだけでは限界がありますよね。そこで新たな方法を使ってこれまで出会えなかった取引先を探すのも選択肢の一つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は塗装工の年収や収入アップの方法について解説しました。こちらの記事を参考に塗装工の仕事についてご興味を持って頂けたら幸いです。
また、塗装業の仕事内容についてはこちらのインタビュー記事でも解説していますので、塗装工のお仕事をお考えの方はこちらも併せてご覧ください。
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