KBMとは、工事現場で測量を行う際に一時的に設ける仮の水準点を意味するもので「仮ベンチマーク(略:カリベン)」と呼ばれています。

遠方の水準点を基準に周辺地盤の測量を行うのではなく、近傍で変動の可能性が皆無とできる構造物の基礎や道路の縁石、マンホール蓋の天端などをKBMとして設定します。適切な場所がない場合は、測量鋲を強固な地面に打ち込んで基準とすることもあります。

現在ある実際の地盤面を「現況地盤」、計画した建物が完成した際の地盤面の高さを「設計GL(Ground Level」と呼び、KBMによって位置関係を明確にすることができます。

例えば、現況地盤がKBMよりマイナスの値の場合、設計GLがKBMよりも高い位置にあれば、現況地盤と設計GLの格差は盛土で埋めるという指標に、また、現況地盤がKBMよりプラスの値で、設計GLがKBMよりも低い位置にあれば、現況地盤と設計GLの格差は掘削で掘り下げるという指標になります。

地盤調査でボーリング調査を行った場合の地盤レベルを「孔内標高(ボーリングGL)」と呼びますが、基礎設計において正確な杭長や基礎底を決定する際に、設計GLとKBM、孔内標高との位置関係が重要になります。

測量にあたっては、KBMを含めて測量の対象となる測点を見渡せる位置にレベル(水準測量機)を設置し、KBMにロッドを立てて読み取って測定できた「機械高さ(例えば1.100m)」にKBM(仮のH=100)を足してH=101.100としBS(バックサイト)を決定し、基準となる高さを設定します。この後、定量距離(5mまたは10m)毎に地盤変化点を測定しFS(フォアサイト)とします。例えば、1つ目のFSの測量結果がH=0.950の場合の地盤高は、101.100-0.950=100.15として求めることができます。