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一人親方が従業員を雇う際のメリット・デメリット・必須手続きを解説

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一人親方は企業に属さないことで自由さがある反面、「人手が足りない」「大きな現場には入りにくい」といった悩みを抱える場合もあるでしょう。このような場合、従業員を雇い、一人親方から中小事業者になるという選択肢があります。人手が増えれば生産性もアップして売上を伸ばせる可能性もあるため、事業を拡大したいという一人親方は、ぜひ従業員の雇用を検討してみましょう。

今回は一人親方が従業員を雇うメリットとデメリット、従業員を雇う場合に必要となる手続きを解説します。

一人親方が従業員を雇うメリット

一人親方など個人事業主であっても従業員を雇えます。募集する従業員の雇用形態は、正社員・契約社員・アルバイトなどから自由に決められます。

従業員を雇う場合、従業員への給与の支払いや社会保険の手続きが必要で、管理責任も生じるようになりますが、仕事へのさまざまなメリットがあるのも事実です。

以下で、一人親方が従業員を雇うメリットについて解説します。

より大きな仕事を取れるようになる

一人親方は基本的に一人で全ての仕事をこなし、自分でカバーできる範囲以上のことはできません。

しかし従業員が増えれば一人分のリソースも増えるため、生産性を高めることが可能です。

例えば、一人では受けられなかった大きな案件を受注できるようになったり、受注件数を増やしたりできるようになります。

同じ時期に2つの現場が入ってしまっても、従業員がいれば対応できるようになるでしょう。

売上アップや事業拡大につながる

従業員を雇うことで売上アップや事業拡大にもつながります。

複数現場や大きい現場に入れれば受注件数を安定して増やせるようになり、結果として信頼が得られて元請けからも頼られるようになるかもしれません。

信頼が増えればさらに受注件数が増えますし、単価の高い現場を任せられるようになる可能性が高まります。

そのため、毎月の売上もアップしやすくなるでしょう。

もちろん従業員の給与も支払わなければなりませんが、それを差し引いても売上を高めやすくなります。

また、受注件数が増えて自身や従業員のスキルがアップすればさらに単価が高く、責任ある現場へ回されるようになるかもしれません。

そのような現場に顔を出せれば、横のつながりもできるようになり、さらに条件の良い大きい現場に入りやすくなります。

一人親方としての箔が付いていけば、将来的な事業拡大に有利になる可能性もあるでしょう。

一人親方が従業員を雇うデメリット

一人親方が従業員を雇えば、リソースが増えて複数現場やより大きな現場にいけるようになります。その結果、売上がアップして将来の事業拡大に向けた下地を作れるメリットがあります。

その一方で、一人親方が従業員を雇うことで、一人親方労災保険の利用ができなくなったり管理責任が生じたりするなどのデメリットもあります。

一人親方向けの保険が利用できなくなる

一人親方は誰もが現場に出るために「一人親方労災保険」に加入しているはずです。しかしこの保険、年間100日以上従業員を雇うと一人親方ではないとみなされるため、改めて「中小事業主」として加入しなおさなければいけなくなります。

一人親方から中小事業主へ変更となるのは、以下の条件を満たす人です。

・現場で働く従業員(家族ではない)を雇っている
・年間100日以上、従業員を雇っている

この条件が満たされる場合は中小事業主になるため、一人親方労災保険から中小事業の特別加入(特別労災)に切り替えなければいけません。

特別労災への切り替えは、自治体の役所ではなく労働保険事務組合に委託する必要があります。基本的には、一人親方自身が組合を探して、事務委託手続き申請を行わなければなりません。

手続きには1週間近くかかるため、従業員を雇って中小事業主となる場合は、事前に切り替えを進めておくようにしましょう。

ちなみに切り替えをしないままでいると、労災保険に加入していないとみなされます。そうなると現場で怪我をしても労災保険が使えませんし、現場によっては入れてもらえなくなる可能性があるのでご注意ください。

従業員の仕事に関しての管理責任が生じる

従業員を雇うと一人親方には管理責任が生じます。もし現場で従業員がミスをしてしまった場合、一人親方は雇用主としてその責任を負わなければならないのです。

例えば従業員がミスにより設備や機器を壊してしまった、事故で一般の人を怪我させてしまったといった場合、状況にもよりますが、損害賠償責任があるのは雇用主である一人親方になる可能性があります。そして場合によっては、ミスがきっかけで信用が失われて仕事量が減ることもあり得ます。

このような事態を避けるためにも、雇用主として従業員への教育・管理を行わなければいけません。

管理責任が生じることで、一人のときとは違う新たな負担が増えることを覚えておきましょう。

従業員を雇う際に必要な手続き

従業員を雇うと、一人親方は個人事業主ではなく中小事業主となります。そのため、各種保険の手続きをはじめ、さまざまな手続きが必要です。以下で、一人親方が従業員を雇う際に必要となる手続きをまとめましたので参考にしてください。

各種保険の加入手続き

一人親方が従業員を雇う場合、労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入・手続きが必要です。

「労災保険」は、従業員を雇っていなければ「一人親方労災保険」に加入しています。しかし従業員を雇うのであれば、特別労災への切り替え手続きが必要です。手続きは各自治体ではなく、労働保険事務組合を通じて、雇用主である一人親方本人が行う必要があります。

「雇用保険」は従業員の失業に備える保険であり、「31日以上雇用する見込みがある」「週の所定労働時間が20時間以上である」という場合は加入手続きが必要です。

手続きは雇用主本人がハローワークに必要書類を提出します。ただし、労災に加入している場合は事務組合を通して手続きを行うことが可能です。

「社会保険」は、業務以外の怪我や病気の保険である「健康保険」と、被保険者の老齢・障害・死亡のための保険となる「厚生年金」の2つがあります。

一人親方が5人以上の従業員を常態的に雇うケースで加入の必要が生じます。5人未満であれば任意です。所轄の年金事務所に書類を直接持参するか、郵送・電子申請にて加入手続きを行います。

労務関係の手続き

労働基準法の定めにそった形で、さまざまな労務関係の手続きも必要となります。
従業員を雇う場合、「労働条件の通知」を従業員へ明確に提示することが法律で義務付けられています。

労働契約の期間や就業場所など、定められた内容を、従業員に説明した上で「労働条件通知書」として渡しましょう。

「雇用契約の締結」も必要です。雇用契約とは、従業員が仕事をする対価として雇い主が給料を支払う契約で、口頭でも成立します。ですが、後でトラブルにならないように書面を交わしておくのが一般的です。

「36協定の締結」も必要です。これは「時間外労働・休日労働に関する労使協定書」の通称で、残業がある場合に事前に届け出をしなければなりません。雇用主と従業員の代表者が作成した書面を確認した上で署名捺印をし、労働基準監督署に提出します。郵送・電子申請も可能です。

従業員が10人以上になる場合は「就業規則の届け出」も行いましょう。職場で働く従業員たちのルールを書面にしたもので、労務トラブル防止に役立ちます。10人以上いなくても、作成しておけば安心です。

就業規則には昇給の条件や時期、退職手続きなど労働基準法で必ず入れる内容が定められています。それらをもれなく記載し、所轄の労働基準監督署に提出します。

給与支払いの手続き

従業員を雇うのであれば、給与を支払う準備もしなければなりません。
まずは税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しましょう。従業員を雇い、給与を支払うことになった日から1か月以内の届け出が必要です。

「給与所得者の扶養控除等申告書」も用意しておきましょう。所得から扶養控除などの控除分を差し引けるようになり、節税できます。国税庁から申告書フォームをダウンロードして従業員に必要事項を記入してもらいます。提出の必要はありませんが、年末調整で使うことになるため保管しておくと良いでしょう。

給与支払い対象となる従業員が10人未満であれば「源泉所得税の納期の特例」を受けると楽です。源泉所得税は毎月納付が原則ですが、特例の申請をしておけば従業員が10人未満の場合に、納付が年2回となります。

事務処理の負担を大幅に軽減できるため、従業員が少ないのであればぜひ手続きしておいてください。

まとめ

今回は一人親方でも従業員を雇った際に考えられるメリット・デメリットと、必要な手続きについて解説しました。
一人親方は、自分または家族で気楽に仕事ができるのが大きなメリットです。

しかし、個人では受けられる仕事の幅が限られてしまい、売上も頭打ちになる可能性があります。将来的にさらに事業拡大したいという場合は、従業員を雇うことも考えてみましょう。

従業員を雇えば、生産性がアップしてより大きな現場に入れる可能性が増えますし、売上も伸びやすくなるためです。

ただし、一人親方が従業員を雇うと個人事業主から中小事業主となるため、さまざまな手続きも必要となります。記事を参考に労災保険をはじめ、必要な手続きをして、一人親方としてさらなるステップアップを目指してください。

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