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2022.9.27

分かり合えれば仕事はもっとうまくいく!ワーカーからは見えにくいゼネコン側の苦労とは

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監督ならともかく、職人さんや現場仕事の方にとってはなかなか接する機会がなく、イマイチ分かりにくいのがゼネコン側の人々の仕事。建設現場で額に汗して働く方にとって、彼らに抱く思いは人それぞれだ。
中には「自分は手を動かさないのに」といった風に、ネガティブな印象を持つワーカーの話を聞いたこともある。だが、筆者はここで問いかけたい。

「それって、実はあまりにも大きな間違いではあるまいか」

ゼネコン側の管理者とて自身の仕事の中で大きなプレッシャーと戦っており、全くもって楽な仕事ではない。
さらに言えば、業務内容こそ違いはあれど、同じプロジェクトに携わる者。
ワーカーとゼネコン側の人々は間違いなく、共に働く仲間なのである……!

筆者自身、実際に携わっている人に聞くまでは知らないことが多かったゼネコンのお仕事。
その中身を知っておくことは、建設現場で働く人々にとっても、きっとプラスであるに違いない。
そのような思いの下、ここでは現役で中堅ゼネコンに務める友人の話を聞き、仕事内容や心の内に迫ってみた!

上下縦割りの構造を越えて深めるべき相互理解

「建設現場というのは、そもそも上下縦割りの構造にならざるを得ない部分があって、それがゼネコンとワーカーの間に距離を生みやすいっていうことがあると思う」

そう語るのは、筆者が20代の頃から付き合いがあり、現在もゼネコンに勤める友人である。
背広よりも作業服が似合うルックスで筋骨もたくましく、現場にいたら間違いなくワーカーと思われるタイプ(というか知り合って数年くらいは自分もそう思っていた)。

さらに、心に壁を作らない性格であるため、彼が受け持つ仕事では作業員の人々と意識のギャップなど生まれなさそうに見えるが、それでも問題は感じているようだ。

「ゼネコンって本来、鉄骨やコンクリート、壁みたいに『駆体』って言われるものの専門業者で、本来なら直接管理をするのはボード屋さんとかコンクリ屋さん、後は足場屋さんとかなのね。
でも、ゼネコンには管理面でノウハウがあるので、空調設備、電気設備、防災設備とかのサブコンを下請けとして組むスタイルが比較的日本では多い。

これを一括発注といって、なんでこの形態が多いかというと、施主(オーナー)が建築と設備を分離発注するのは、いろいろとややこしいから。
一括発注ならオーナーはゼネコンにだけお金を払えばよくて、あとは全部ゼネコンが責任を持ってやってくれる。

また、お金の流れ=責任問題なので、空調設備に欠陥があっても、お金で上位にいるゼネコンに当然責任があるという形になる。

要は施主が建物と設備をバラバラに発注するより、責任の切り分けがスッキリするのね。
この場合、ゼネコンはプロジェクト全体の責任を負う立場だから、あまりよくない言葉だけどどうしても『使う側』になってしまうし、上下縦割りの構造ができてしまうわけなんだ」

そうするとワーカーとゼネコン側の間には管理する側、される側という関係性が生まれるのは、ある意味当然。

だが、管理している=立場が上という勘違いをしてはならないというのが彼の考えである。

「結局、職人さんがいないとモノは出来ない、このひと言が全てだと思うんだよね。
ゼネコン側の人間は確かに現場を取り仕切るのが仕事だけど、上から目線で管理するのではなく、職人さんたちが十分に腕を振るえるように上手く段取りをつけるものだと思ってる。

現場っていうのは順番が大事で、例えば壁を建てる前に、業界では『すみを出す』と言うんだけども、『ここに配線がくるから、こういった大きさの穴をこの高さに空けておいて』というのを現場でチョークを使って描くのね。

逆に言えば、チョークで何も描かれてないと、何も穴の空いていない壁ができちゃう。
そうなると、後から配線するのは非常に難しくて、いろいろな業者に頭を下げてやり直してもらう必要が出てくるわけだ。

そこまで露骨なミスじゃなくても、現場では予期しないトラブルがいろいろ起きるし、設計変更が出ることもある。
そういう時に大事になってくるのは上意下達の関係じゃなく、しっかりとしたコミュニケーションだと思う。

もちろん理想論だとは理解しているし、管理側は少ない人数と安いお金で作らせたい、ワーカー側は出来るだけ多く人数を現場に入れたいとか、利害が相反する部分があることも分かってる。

それでもお互いに『何なんだアイツ』なんて思いながら働くのはスッキリしないし、それでいい仕事ができるとは思えない。

どうやって職人さんたちと意思疎通をするかっていうのは、自分も日々仕事をしながら考え続けてる大きいテーマだよ」

業務内容は違っても同じ船に乗る者同士

さて、ここまでお読みいただいた方の中には、次のように感じた方とておられるのではなかろうか。

「でもやっぱり現場で働く俺たちに比べたら、ゼネコンの人の方が楽なんじゃないの?」
筆者も実を言うと、以前は同じことを考えていた。

ただ自分自身、雑誌作りの仕事で管理側の経験があるせいかもしれないが、彼の話を聞いた今となっては、なかなかどうして大変だなという思いに変わった。

「1日の仕事の大まかな流れを言うと、まず8時に朝礼なのでその前に現場入りして、8時にゼネコン主導の全体朝礼があって、それからラジオ体操。

その後に自分たちの仕事分の朝礼、危険予知ミーティングがある。
要するに安全第一の打合せだね。
それから当日の仕事内容を通知するんだけど、現場では本当にいろいろなことが起こるので、日中はその対応に追われるし、合間に事務所で設計作業もある。

18時で現場が終わるとすると、そこからゼネコン、サブコンで打合せ。
そこで設計変更がでると、修正期限によるけど設計図を作ったり……っていう感じで、終わりの時間は見えない。

その仕事の何が大変かっていうと、やっぱりプレッシャーだね。
まず安全第一、これは何があっても守らないといけない。
オーナーとの設計調整では先方の希望に合うようにしないといけないし、全体の工程管理も遅れないようものすごく気を遣う。

下請け業者とのやり取りでも、こちらの指示で職人さんたちは動くのだから、その指示が間違っていたりすると大変。
プロジェクトが動いている間は、気を緩めるヒマなんてないというのが正直なところだね」

だからといって「俺の苦労も分かってくれ!」なんてカッコ悪いことを言っていたら、海千山千の業者や現場監督からすれば、何甘っちょろいこと言っているんだという話になる。

筆者の経験に照らし合わせても言えることだが、全体を指揮する立場の人間が迷いや不安を見せてしまっては、皆の士気に関わるもの。

彼自身、若くしてゼネコンに入り、現場を取り仕切る立場になった時には若造と舐められないように強気の姿勢をあえて出していたこともあったという。

ただ、それも行き過ぎると現場の人々との間に壁を作ることになってしまい、実に難しい問題ではある。
結局のところ、立場や業務内容の違いで生じるギャップというのは、そう簡単に埋められるものではない。

だが、それぞれの役割を認識し、どうすればお互いにウィンウィンの関係になるか、よりスムーズに仕事をできるかを一緒に考えることはできるはず。

例えばワーカーの立場ならば、「なんで余計な書類仕事をやたらと増やすんだ」といったふうに不満をただつのらせるのではなく、そこにどういう意味があるのかを理解しようと努める。

また、ゼネコン側としては職人さんたちが働きやすい環境作りに、まさしく現場で働く人々と同量の汗を流し、できる限りコミュニケーションを密にする。

つまり、建設業界という同じ船に乗る者同士、双方が相互理解のために歩み寄るのが正しい姿であると筆者は考える。

働き方改革が進む今、労働環境の改善は今後進んでいくだろう。

それと同時に建設現場におけるゼネコンと業者・職人、もっと言えば人と人との関係性も、より公正なものにしていく必要がある。

一朝一夕で成し遂げられることではないのは百も承知だが、大事なのは前へ進んで行こうとする姿勢。

管理者とワーカーがお互いの苦労に思いを寄せられるようになれば、明日はきっと今日よりも働きやすい現場となるはずだ。

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文/御堂筋あかり
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