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2023.1.8

税務申告・納税の年間スケジュール|一人親方に関係する手続きのまとめを弁護士が解説

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個人事業主である一人親方は、適切な時期に税務申告と納税を行わなければなりません。税金に関する手続きは種類が多いので、漏れなく対応するためにはスケジュール表にまとめておくと便利です。
今回は、税務申告・納税の手続きのうち、一人親方に関係するものをまとめました。

一人親方の税務申告・納税年間スケジュール

一人親方は、他業種の個人事業主と同様に、年間を通してさまざまな税務申告や納税を行う必要があります。一人親方が対応すべき税務申告・納税の年間スケジュールは以下のとおりです。

<共通>

1月4日 固定資産税の納付(前年分の3回目)
1月31日 住民税の納付(前年分の4回目)

償却資産申告書の提出

2月28日or29日 固定資産税の納付(前年分の4回目)
3月15日 確定申告

所得税の納付

3月31日 消費税の納付
5月31日 固定資産税の納付(1回目)
6月30日 住民税の納付(1回目)
7月31日 予定納税(1回目)

固定資産税の納付(2回目)

8月31日 住民税の納付(2回目)

個人事業税の納付(1回目)

10月31日 住民税の納付(3回目)
11月30日 個人事業税の納付(2回目)

予定納税(2回目)

※土曜・日曜・祝日の場合は翌営業日

<給与などを支払っている場合>

1月20日 源泉所得税の納付(前年7月分~12月分)
1月31日 給与支払報告書の提出

法定調書合計表・法定調書の提出

6月10日 特別徴収した住民税の納付(前年12月分~5月分)
7月10日 源泉所得税の納付(1月分~6月分)
12月10日 特別徴収した住民税の納付(6月分~11月分)

※土曜・日曜・祝日の場合は翌営業日

※源泉所得税と特別徴収した住民税の各納付については、納期の特例の適用を受ける場合

一人親方の税務申告・納税手続きの各概要

一人親方(個人事業主)に関係する以下の税務申告・納税手続きにつき、各概要を解説します。

・償却資産税の申告・納付
・確定申告
・住民税の納付
・予定納税
・個人事業税の納付
・給与支払報告書の提出
・法定調書合計表・法定調書の提出
・源泉所得税の納付
・特別徴収した住民税の納付

償却資産税の申告・納付

事業において使用する減価償却資産(家屋を除く)を所有している場合、毎年1月31日までに都道府県税事務所へ「償却資産申告書」を提出しなければなりません。

償却資産申告書には、毎年1月1日時点で所有している減価償却資産の内容(取得年月・取得価額・耐用年数など)を記載します。

償却資産申告書を提出した場合、毎年1月1日時点における償却資産の残存価額に対して1.4%の償却資産税が課されます。ただし、残存価額が150万円未満の場合は、償却資産税が免除されます。

償却資産税は5月末・7月末・1月頭(年始)・2月末の4回に分けて納付しますが、一括で納付することも可能です。

確定申告

一人親方を含む個人事業主は、1月から12月までに得た所得の確定申告をしなければなりません。

確定申告の期限は、申告に係る年の翌年3月15日です。所得税の確定申告に加えて、課税事業者*1である場合には消費税の確定申告も行います。

なお、マイナンバーカードを持っている方は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)*2を通じて電子申告をするのが便利です。

複式簿記による記帳を行った上で、e-Taxを通じて青色申告を行えば、65万円の青色申告特別控除を受けられます。

所得税の納税期限は3月15日、消費税の納税期限は3月31日です。ただし、振替納税を選択している場合は4月中に振替が行われます。

住民税の納付

住民税については、確定申告の内容に基づき、各地方自治体から納付書が送られてきます。

住民税は6月末・8月末・10月末・1月末の4回に分けて納付しますが、一括で納付することも可能です。

予定納税

前年の所得金額や税額などを基準に計算される予定納税額が15万円以上の場合は、当該年度に係る所得税(復興特別所得税)の一部をあらかじめ納付する必要があります。

これを「予定納税」*3といいます。

予定納税の期限は7月末と11月末の2回で、それぞれ予定納税額の3分の1を納付します。

なお、最終的な税額は確定申告によって決まります。予定納税をしている場合は、確定申告の税額から予定納税額を差し引いた金額を納付します(マイナスになる場合は還付されます)。

個人事業税の納付

70種類の法定業種*4のいずれかに該当する事業によって得た所得には、個人事業税が課されます(当該所得が年間290万円以下の場合は非課税)。

建設業の一人親方は、第1種事業である「請負業」に該当するため、5%の個人事業税を納付しなければなりません。

個人事業税は8月末・11月末の2回に分けて納付しますが、一括で納付することも可能です。

給与などを支払っている場合の税務申告・納税手続き

一人親方が従業員を雇用して給与を支払っている場合などには、上記に加えて以下の税務申告・納税を行う必要があります。

(1)給与支払報告書の提出
雇用している従業員が居住する市区町村に対して、毎年1月31日までに提出します。
(2)法定調書合計表・法定調書の提出
1年間に支払いが確定した給与・報酬・手数料等を記載した法定調書*5を作成し、その金額の合計表(法定調書合計表)を、翌年1月31日までに税務署へ提出します。
また、一定金額以上の法定調書は、法定調書合計表に添付して税務署に提出しなければなりません。
(3)源泉所得税の納付
雇用する従業員などから源泉徴収を行った場合は、原則として徴収月の翌月10日までに、税務署へ源泉所得税を納付しなければなりません。
ただし、税務署長により納期の特例*6を承認されている場合は、1月から6月までに徴収した源泉所得税を7月10日まで、7月から12月までに徴収した源泉所得税を翌年1月20日までに、それぞれまとめて納付できます。
(4)特別徴収した住民税の納付
従業員を雇用している事業主は、原則として従業員に支払う給与から住民税を特別徴収する必要があります。特別徴収した住民税の納付期限は、原則として徴収月の翌月10日までです。
ただし、市区町村長により納期の特例*6を承認されている場合は、6月から11月までに徴収した源泉所得税を12月10日まで、12月から翌年5月までに徴収した源泉所得税を翌年6月10日までに、それぞれまとめて納付できます。
なお、従業員数が2名以下の場合などには、特別徴収をせずに普通徴収(従業員が自ら住民税を納付する方法)を選択することも可能です。

まとめ

一人親方として独立すると、対応しなければならない税務申告・納税の手続きが一挙に増えます。必要に応じて税理士などのアドバイスを受けながら、漏れなく税務申告・納税を行ってください。

 

*1個人事業主の場合、以下のいずれかに該当すると消費税の課税事業者となります。

(a)前々年の課税売上高が1000万円を超えている

(b)前年1月から6月の課税売上高が1000万円を超えている(給与等支払額の合計額により判定することも可能)

(c)税務署へ消費税課税事業者選択届出書を提出している

*2参考)e-Tax「個人でご利用の方」

https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin.html

*3参考)国税庁「No.2040 予定納税」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm

*4参考)東京都主税局「個人事業税」

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html

*5参考)国税庁「No.7401 法定調書の種類」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7401.htm

*6参考)国税庁「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

[文/阿部 由羅]

ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。注力分野はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続など。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。

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