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2022.10.18

建設現場での導入が進む遠隔臨場とは?システムの仕組み、カメラの種類、導入メリット・デメリットなどを解説

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遠隔臨場は新型コロナウイルス感染症の拡大や国土交通省の取り組みといった理由から、急速に注目を集めています。しかしまだ導入が検討され、試行が始まったばかりでもあり、実態についてよくわからない人もいるでしょう。

そこでこの記事では遠隔臨場について、仕組みや臨場に使うカメラの種類、導入のメリットと注意点、実際の活用事例を解説します。

建設業の遠隔臨場とは

遠隔臨場とは、受注者が現場で撮影している映像を発注者がリアルタイムで確認することで承認を行えるようにすることです。

これまでの臨場は発注者が監督職員を現地に派遣することで行われてきました。しかし、遠隔臨場で監督職員は事務所からでも映像を用いて、材料確認や段階確認、立会などを完了可能です。

遠隔臨場の導入には、工事の中長期的な担い手を確保して生産性を向上する狙いがあります。

遠隔臨場のシステム

遠隔臨場のシステムは撮影者の頭部に装着し、視点に合わせた撮影を行います。その映像をリアルタイムで監督職員のモニターへ送ることで、遠隔で臨場を可能とします。

また、事務所に担当者がいなかったとしても、スマホに映像を送ることも可能です。

カメラの機能も画質が優れたものも多く、防塵・防水機能もあるので、現場での撮影も安心して行えます。

遠隔臨場のシステムはこのようにカメラと端末を接続することで、どこでも工事の情報共有が可能です。

遠隔臨場で使われるカメラの種類

遠隔臨場で使われるカメラの種類は以下の通りです。
・スマホ、タブレットのビデオ通話アプリ
・ウェアラブルカメラ
・常時録画型クラウドカメラ

スマホ、タブレットのビデオ通話アプリは、現場で端末を用いている場合も多いので手軽に導入できます。

一方で、手に持って撮影する必要があり、両手がふさがってしまいます。アプリ自体の画質も、工事現場の撮影に適さないケースもあるのがデメリットです。

ウェアラブルカメラはヘルメットやボディに装着するものと、スマートグラスと呼ばれるメガネ型のものがあります。回線の準備や通信量を気にしなければいけないですが、両手を使える点はメリットです。

常時録画型クラウドカメラは録画した映像をクラウドに保存できるため、ハードウェアが必要ありません。通話機能もあるので、導入が容易です。

建設現場に遠隔臨場を導入するメリット

遠隔臨場のシステムを導入することによるメリットは以下の通りです。
・移動時間を削減できる
・人手不足を解消できる
・安全性を向上できる
・人材育成がしやすくなる

それぞれ以下で解説します。

移動時間を削減できる

遠隔臨場を導入すると、事務所や他の場所からでも工事現場を確認できます。そのため、現場に向かうための時間を削減できるのです。

現場への移動時間を削減できれば、発注者側は指定の時間ギリギリまで別の仕事に取り組めます。また、現場側も余計な待機時間をなくすことができるので、互いの生産性が向上するでしょう。

このように遠隔臨場による移動時間の削減には、様々な波及効果があります。

人手不足を解消できる

建設業界では新しい働き手の不足により、仕事はあっても行う人がいない状況も増えています。そんな中では、今いる従業員が仕事の効率をあげていくことが必要です。

遠隔臨場は移動時間を削減できるため、その時間を他の仕事に使うことができます。これによって、間接的に仕事の効率がアップするのです。

1度の移動時間は数十分~1時間程度とそれほどではないでしょう。しかし、この時間が何度も積み重なると、遠隔臨場を導入しているかどうかで大きな差が生まれます。

安全性を向上できる

遠隔臨場を導入すれば、移動時間の削減により、スケジュール調整がしやすくなります。当然、臨場の回数を増やすことができるので小まめなチェックを行い、早期に異常を見つける可能性も上がるのです。

遠隔臨場はこのように、事故を未然に防ぐ臨場本来の目的を、より高いレベルで実現させられます。

人材育成がしやすくなる

臨場は、熟練技術者が若手に指導をする貴重な機会でもあります。これまでの臨場は直接行わなければいけないため、頻繁に行えず、指導も行いにくい欠点がありました。

しかし遠隔臨場の導入により、臨場の回数が増えるとともに、映像を録画しておいていつでも見返すことができます。若手がどんな指導をされたか確認しやすくなるので、人材育成にも効果があるのです。

建設現場に遠隔臨場を導入する際の注意点

建設現場に遠隔臨場を導入することは、必ずしもメリットだけではありません。安易に導入しようとすると、思わぬ手間がかかる場合があります。主な注意点は以下の通りです。

・機器導入にコストがかかる
・従業員が機器を扱えない可能性がある
・通信環境の整備が必要
・現場の理解を得る必要がある

以下でそれぞれ解説します。

機器導入にコストがかかる

ウェアラブルカメラやクラウドカメラは導入時に一定のコストが発生します。そのため、コストに対して効果が見合っているか確認が必要です。

また、カメラをリースや購入する際の適正な台数も見定めなければなりません。ただし、この問題はIT導入の補助金の申請などで一定程度、解決できます。

従業員が機器を扱えない可能性がある

建設現場にいる人の中には、IT機器をうまく扱えない人もいるかもしれません。その場合、遠隔臨場に手間がかかってしまい、かえって時間を失う可能性もあります。

そのため、本格導入の前に手順や機器の操作方法を共有しておくことが必要です。特にIT機器は得意な人と苦手な人に分かれやすく、職人さんの技術体形とも異なっていますので、特にベテランの従業員は、こうした機器に不慣れな人がいる可能性を考慮しましょう。

通信環境の整備が必要

クラウドカメラやウェアラブルカメラは通信環境の整備をして利用します。そのため、安定したオンライン回線の存在は必須です。

また、接続自体は問題なくても映像や音声が乱れていては遠隔臨場がスムーズに進まない可能性があります。通信環境はある程度、質の高いものを整えるようにしましょう。

現場の理解を得る必要がある

遠隔臨場によって現場を撮影する場合、事前にコンセンサスを得る必要があります。場合によっては映像を不特定多数の人が視聴する可能性もあり、中にはそのことを不快に思う人もいるかもしれません。

そのため、撮影の際はその用途を事前に説明しておいて、自分が映る可能性を理解してもらうことが重要です。また、撮影時も可能な限り、従業員のプライバシーに配慮しましょう。

建設現場における遠隔臨場の活用事例

建設現場において、遠隔臨場はすでに導入事例があります。例えば松本市上下水道局では、NTT東日本のギガらくカメラを導入しました。クリアな画質と必要なところを切り取ってみることができるため、仕事の効率化に貢献しています。

参考:https://business.ntt-east.co.jp/content/camera/column/remote_presence/

従来のスマホやタブレットでは、両手を使って撮影する必要がありました。遠隔臨場の機器はこの課題を解決し、より見やすい映像を見られるようになります。

他にも事例はあります。現場ロイドを導入した萩原建設工業株式会社は、事務所から数時間かかる現場から送られてきたリポートを、事務所で確認できるようになりました。

このように遠隔臨場を導入する企業は増えてきています。国土交通省が導入を推進していることもあり、今後も遠隔臨場は広がっていくでしょう。

まとめ

ここまで遠隔臨場について、システムやカメラの種類、メリット、注意点、導入事例を解説しました。遠隔臨場は工事現場での人手不足などの課題を解消する手段として注目されています。

遠隔臨場を導入することで時間の無駄を減らしたり、人材育成を行いやすくなったりなどのメリットがあるのが理由です。もし今の工事をもっと効率的にしたいのであれば、遠隔臨場の導入を検討してみてください。

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