だが、そこをおそろかにしていると、思わぬ大事故につながる可能性があることを心に刻むべし!
近年、建設現場ではコンプライアンスの厳守が極めて重視されるようになった。
それでもときおり違反が起きてしまうのは、周知の徹底がなされていなかったり、まだまだ軽く考える方がいたりと、さまざまな要因がある。
現場で働く監督やワーカーにしてみれば、仕事は終わらせないといけないし、コンプライアンスも守らないといけないという板挟み状態で、何かと頭の痛い案件であることは承知の上。
それでもあえて言うと、今の時代においてコンプライアンスとは絶対的なもの。
なぜなら、そこで定められているさまざまなルールとは、結局はひとりひとりのワーカーの身を守り、権利を守り、さらには雇用を守るものであるからだ。
ちょっとだけ、どうせバレないといった誘惑を断ち切り、現場で働く全ての人が強く意識すべきコンプライアンス遵守の精神。
すでに理解されている方には釈迦に説法であるけれど、ここではその重要性について改めてつづってみたい。
意味のないコンプライアンスは存在しない
コンプライアンスという言葉はしばしば法令遵守と解されるが、実際には社会道徳や業界内の規則など、より広い範囲を含めたルールを守ることを指す。
……という説明自体ちょっとややこしいと感じる方もいるかもしれないので、ここでは大胆に言い方を変えてしまうと、要は「現場で守るべきこと」。
実際には建設現場におけるコンプライアンスは建設業法にまつわる件から労務管理に至るまで広い範囲に及ぶのだが、ここでは現場監督やワーカーに関係してくる部分に絞って話を進めることとする。
さて、コンプライアンスといえば筆者が従事する編集・ライター業にも当然あり、分かりやすい例を挙げればパクリ禁止や個人情報保護などさまざまだ。
今の時代、コンプライアンスは「ワンストライクアウト」と言われるように、一発やらかしただけで会社が退場を余儀なくされる恐れがある。
ゆえに絶対厳守が求められるわけなのだけども、建設現場のコンプライアンスはさらに重みが違う。
何しろ守られなかった場合、事故につながり、最悪の場合はワーカーの命に関わるかもしれないからだ。
現在は建設業界を引退しているが、つい最近まで現場監督として働いていた筆者の友人は次のように語る。
「現場で若いのと話していると、『コンプライアンスって何っスか?』って言う奴がたまにいるんだよ!
いやお前、研修で習っただろって思うんだけど、これは分からないって言ってくれるぶん、教えられるからまだマシでさ。
それよりも『上が決めた面倒な決まり』みたいに勝手に解釈して、適当に守ったふりをしておけばいいとか考えている奴もいて、実はこれが一番恐い。
コンプライアンスって口すっぱく言われるのは、一体何のためなのかっていうことを理解していないんだね」
そもそもルールには目的があり、コンプライアンスでさまざまな行為が禁止されているのは、当たり前だがワーカーの作業を邪魔するためでは決してない。
それどころか安全を確保し、働き手の権利を守り、より公正な労働環境を作るためのものであって、過去のさまざまな教訓の結晶と言うべきものである。
「例えば、施工管理者はワーカーの作業を手伝ってはいけないという決まりがある。
いくら自分の手が空いていて、工期が推しているからといって、管理を放り出して自分でやったらダメなわけだね。
万が一そんなことしていて、事故でも起きたら『施工管理者は何をやっていたんだ』っていうことで大問題になるし、仕事を振ってくれている業者にも大変な迷惑がかかる。
ところが、そういう事情を分かっていない新人とかが、『監督さんは何もしなくていいから楽っスね!』とか軽口を飛ばしてきたりするんだよ。
そういう奴に限って安全規定を守らなかったりするから、まあ正直カチンとくるよね」
「ちょっとくらい」の誘惑こそが禁物!
この手のルールをぶっちぎるタイプの人、決められたことを守らない輩というのは残念ながらどこの業界にもいるものだが、自分の違反行為がみんなに迷惑をかけるとの認識がないケースが多い。
筆者が編集の仕事を始めて最初に出会った上司がまさにそのタイプであり、口癖は「バレなきゃいいんじゃねえか?」
加えて、もう一人の上司はさらにタチが悪く、部下に無茶な要求をする一方、違反をしろとは明言しない。
しないけれど、もうどう考えたってルールを無視しないと達成できないノルマであって、しかも後で問題になると「俺は知らない」と逃げを打つ最悪なお方だった。
そんな面々が会社の役員を務めていたのだから驚きだが、今の建設業界、というかマトモな業界ならばそういうノリは許されない。
この点について、前述の友人よりもさらに職人歴が長い筆者の別の親友は、「ルールを守らないワーカーはいらない」とまで言い切る。
「もともと現場仕事って騒音で声が通りにくいし、必要なことを手短かに伝えないといけないから、言葉はどうしても荒くなる。
そのせいもあるけれど俺の場合、違反をする奴にはガチで怒るようにしてる。
人格まで否定するような言い方はダメだけど、言うべきことはちゃんと言わないと伝わらない。
『誰々君、それはダメなんじゃないかな』なんて甘い言い方をして、また同じことをされたらたまらないから、『もうお前帰れ』とか普通に言うよ。
昔さ、学校で先生に叱られる時、『やる気がないなら帰れ!』とか言われて、じゃあ帰りますとか返したら『真に受けてるんじゃない!』なんてガチ切れされたりってこと、あったじゃん。
そういうのと違って、マジで帰れと。
ルールを守らない人間は、本当に現場にいて欲しくないんだよ」
そんな考えの持ち主ゆえに、おそらくワーカーたちからはおっかない監督と思われていることは疑いない。
だが、彼とて好きで怒鳴り散らしているわけではなく、コンプライアンスに目的があるように、怒るのにだって理由がある。
それはワーカーひとりひとりの安全、そして仕事を守るということだ。
「違反を放置していたら、本人がケガをしたり、誰かを巻き込む事故につながるかもしれないからね。
そもそも現場仕事っていうのは人の手でやることだから、完璧にコンプライアンスを守っていたとしても、ミスなり事故なりが起きることはどうしてもある。
でも、その可能性を最小限にするためにルールってものがあるわけで、決まりを守らず誰かがケガをしました、取り返しのつかない事故が起きましたなんていうことは絶対にダメでしょ。
発注する側からしたらそんな会社には仕事を振れないって話になって、下手すればみんなが路頭に迷うことだってある。
とにかく、コンプライアンスって言われてもピンと来ない人は、現場にはルールがあって、それは絶対だってことを頭に叩き込んで欲しいよね。
それってある意味、仕事ができるできない以前の問題で、逆にルールを守れる人なら少々仕事に慣れていなくても、現場としては立派な戦力だと思ってる」
むろん、実際に働いている身からすれば、規則を煩わしく感じることだってあるかもしれない。
それでもなお、あらゆるルールを守らなければならない理由は、一つの小さな違反を黙認することがやがては大きな事故に発展するかもしれないからだ。
「そりゃ、本音で言えば『何のためにあるんだろう?』と思う規則だって、ないと言ったら嘘になる。
でも、ルールはルールなんだから、勝手に破ったらダメだよね。
どんな小さなことだとしても、自分の裁量で勝手にこれは守る、これは適当でOKなんてやっていたら、歯止めが効かなくなるわけだから。
そういうのを防ぐには、とにかく四の五の言わずにルール厳守、これしかないと思ってる」
もちろん、業界に入りたての新人さんが、最初から全ての業界ルールを把握できているわけがない。
分からないことがあるのは当然だが、だからといって知らないままにしておいていい話ではないのもまた事実。
研修だけでなく親方や先輩に質問するなど、守るべきことを知る手立てはいくらでもある。
建設業界でしっかり稼ぎたい、長く働きたいと願うなら、コンプライアンス意識を高めることはスキルと同様、もしくはそれ以上に重要だ。
コンプライアンス遵守は自分自身のためと肝に銘じ、ぜひおろそかにすることのないようご注意いただきたい。
ルール違反、ダメ絶対!
文/御堂筋あかり
スポーツ新聞記者、出版社勤務を経て現在は中国にて編集・ライターおよび翻訳業を営む。趣味は中国の戦跡巡り。
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