2025年3月、株式会社助太刀より発表された「助太刀 百名社 2025」。
人材確保で卓越した成果を収めた工事会社が選出される中、東京都江戸川区で電気工事業を営むジョウエイ合同会社は、「助太刀社員(正社員採用)部門」で見事選出を果たしました。
https://suke-dachi.jp/hyakumeisha/
この選出は、単に求人への応募数や閲覧数といった数字だけでなく、同社が長年にわたり実践してきた「社員を大切にする姿勢」や「魅力ある職場づくり」が評価された結果と言えるでしょう。
本記事では、ジョウエイ合同会社が、どのような独自の取り組みや価値観を持ち、社員の活躍と定着を支えているのか。
そして、上形博英社長が目指す「綺麗な会社」とはどのようなものなのか。その経営哲学に迫ります。
ジョウエイ合同会社
代表社員 上形 博英 氏
IT企業でシステムエンジニアを経験した後、大宮市の電気工事会社へ転職。15年間の勤務を経て独立し、2015年にジョウエイ合同会社を設立。
目次
ベテラン社員がジョウエイ合同社を選び、活躍し続ける理由
ジョウエイ合同会社には、昨年、電気工事歴27年、現場代理人歴20年という経験豊富な社員M氏(仮名)が転職しました。
M氏のようなベテランが同社を選び、1年以上にわたり定着している背景には、上形氏の社員に対する深い配慮と、徹底した「働きやすさ」の追求があります。
上形氏は採用面接の際、M氏のスキルや経験はもちろんのこと、その真面目な人柄に強く惹かれたと言います。
また、「何より自宅が近く通いやすいというのも、長く続けてもらう上では大切なポイントだと考えました」と当時を振り返ります。
M氏自身、過去に勤めていた会社では夜間作業が多く、生活のリズムが安定しないことから転職を決意しました。
https://shain.suke-dachi.jp/career-resources/case/21f2_rvdl516
その点、ジョウエイ社では「あまりガツガツ仕事をするよりも、自分のペースで安定して働きたい」というM氏の志向と、社内の穏やかな雰囲気が合致しました。
自家焙煎のコーヒーを淹れる上形氏 この温かい雰囲気に魅力を感じてM氏は入社を決意した。
「休みも取りたいと言えば取れますし、残業もほとんどありません。お客様から無理な納期を依頼されても、基本的にはお断りしています。請負仕事であれば、ある程度自分たちでコントロールもできますから」と上形氏は語ります。
さらに、社員一人ひとりの事情に合わせた細やかな配慮も欠かしません。
「例えばMさんがバイクでの通勤を希望した際には、会社に駐輪スペースを用意しました」と上形氏は語ります。
「他にも、社員が休日に会社の車を使うことを許可したり、引越しが必要な社員がいれば、その費用や初期費用を会社が負担したりすることもあります」と上形社長は続けます。
「長い目で見れば、それで社員が気持ちよく働いて定着してくれるなら、決して高い投資ではないと考えています」と、社員への想いを語りました。
「社員第一」の経営
ジョウエイ合同会社の「社員を大切にする」という姿勢は、給与体系にも表れています。月々の固定費はできる限り抑えつつも、会社に利益が出れば、それを賞与という形で社員にしっかりと還元する方針です。
「ここ4~5年、ありがたいことにボーナスは前年比増で支払うことができています」と上形氏は語ります。
「社員には家庭があったり、小さなお子さんがいたりする場合もあるため、」と語る上形社長。例えば、お子さんの急な発熱で休む際にも、気兼ねなく休めるよう配慮しているそうです。
「給与で全てに応えられない分、何か社員にとってプラスになることを会社として提供したいと考えています。残業をしない、休みを取りやすい、会社の車も気兼ねなく使える、といったことも、その一つです」と、具体的な取り組みを明かしました。
その根底には、「社員を大事にしている会社が、結果として社員にも慕われ、定着率も高まる」という上形氏の確固たる信念があります。
「うちくらいの規模の会社であれば、社長が自分の給与を少し減らしてでも、社員に還元できる余地はあるはずです。事務所を自宅と兼用にしたり、駐車場を工夫したりして固定費を抑え、その分を社員に回せるように常に考えています。」
「綺麗な会社」であり続けるための、日々の誠実な選択
上形氏が経営において常に心掛けているのは、「綺麗な会社でありたい」という想いです。
それは、単に財務状況が健全であるということだけでなく、社員が気持ちよく働ける職場環境、取引先との良好な関係性、そして社会的な信頼も含めた、総合的な「綺麗さ」を指します。
社員が働きがいを持てるよう、仕事内容や取引先は厳選していると上形社長は言います。
「仕事がないからといって、無理な条件の現場や評判の良くない取引先の仕事は受けないようにしています。良い仕事、良い取引先と巡り合うことができれば、社員も気持ちよく働けますし、ギスギスした雰囲気にもなりません」。
そのため、新規の取引先と仕事を始める際には、いきなり大きな請負契約を結ぶのではなく、まずはスポットで現場に入り、その会社の担当者の雰囲気や仕事の進め方などを自ら確認することもあるそうです。
「そうすることで、その会社がどんなカラーの会社なのか、なんとなく分かるんです。そこで、長いお付き合いができるかどうかを慎重に判断しています」と、その丁寧な姿勢を語りました。
この「綺麗な会社」への追求は、上形氏の人間としての信頼性を大切にする姿勢そのものであり、社員が自社に誇りを持ち、安心して働き続けられる基盤となっています。
事業の未来と、次世代への温かい眼差し
今後の事業展開について尋ねると、上形氏は「今のところ、これ以上急激に事業を拡大しようとは思っていません」と堅実な姿勢を示します。大々的な採用活動も当面は計画しておらず、「何かしらの『縁』で良い人がいれば」というスタンスです。
むしろ現在の関心事は、後継者の育成にあると語ります。
それは、会社を無理に存続させたいという執着からではなく、せっかくある「会社」という器を、誰かが活かしたいと思うならば、そのための土台を整えておきたいという、次世代への温かい眼差しから来るものです。
同業経営者へのメッセージ:「社員の立場に立ち、還元できることを考える」
最後に、社員の採用や定着に課題を抱える同業の経営者に向けて、上形氏は自身の経験を踏まえ、このように語ります。
「社長が立派なことを言っていても、実際は社員の給与が低い、という話をよく耳にします」と、上形氏は言及します。
「ですが、それなりに利益が出ているのであれば、社長自身の取り分を少し減らしてでも、社員に還元していくべきではないでしょうか」と問題提起し、こう続けます。
「社員を本当に大切にしている会社は、社員からも信頼され、結果として定着率も高まるはずです」
ジョウエイ合同会社の「助太刀 百名社」選出は、単なる採用ノウハウだけでなく、このような社員一人ひとりに真摯に向き合う経営姿勢と、魅力ある会社づくりへの絶え間ない努力が評価された証と言えるでしょう。