TOP インタビュー 素のままを見せてTwitterで人気に リフォーム大工は愛される工務店を目指す

素のままを見せてTwitterで人気に リフォーム大工は愛される工務店を目指す

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Twitterには有名な職人さんが活躍していますが、その中でもひときわ個性的なキャラクターの職人さんがいらっしゃいます。「理事長」と呼ばれるアカウントは、奇抜な格好でタイムライン上を賑わせており、「この人はどういう人なんだろう?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな理事長さんにインタビューを実施しました。

【プロフィール】

▼豊崎 道則さん
株式会社三光ホーム 代表取締役
15歳から大工になり、21歳で独立。Twitter上では「理事長」として、自由な投稿スタイルから人気に。
リフォーム会社経営とともに、児童養護施設の子どもをアルバイトとして受け入れ、大工として技術を身につける支援活動を行う。(こちらについては後日公開の後編をご参照ください)

奇抜な格好は「素のまま」

赤木:今日はよろしくお願いします。理事長さんといったらTwitterの投稿で有名ですが、Twitterを始めたきっかけは何かあったんですか?

理事長:2年前からだね。最初は工務店らしい真面目な投稿をしてたんだけど、やってる自分が「つまんねー」と思って、普段の自分を出すように変えたのよ。

赤木:あれが普段の姿なんですね 笑

理事長:そしたらある日、フォロワーが60人くらいしかいなかったところで朝起きたらいきなり1500人になってて(笑)

赤木:1500人!なにがあったんですか?

理事長:台車に乗って従業員が押して施主のところに行く動画を投稿してたんだけど、それがバズって一気に広まったみたいで。「Twitterって恐っ!」って思ったのと同時に、自分らしくやらないとだめだとも思ったね。

当時のツイートを再現したもの

赤木:こういう動画を何度か見ましたけど、こういうのやって施主さんから怒られたり信用無くしちゃったりしないんですか?

理事長:施主さんも俺のTwitterを毎日見てるけど、怒られたことはないね。俺のキャラを知ってるし、むしろそれが普通だと思われてる。(笑)

赤木:信頼感が凄い!

理事長:むしろTwitterから仕事の依頼がくる事が増えたよ。サブコンからも声をかけて頂く事があって、よくよく話を聞くと現場監督がうちの会社に依頼したいと言ってくれたみたいでさ。

赤木:Twitterが宣伝になってるんですね。

理事長:ここ半年は特にTwitterからの案件が増えていて、Twitterで1000万円くらい売り上げが上がってるかな。

赤木:やっぱり露出が増えたからなんですかね?

理事長:それより人柄が見えるのがポイントだと思うよ。大工なら大工らしい現場の写真を投稿したりするけど、それは大工として当たり前で。その人らしさが見えないじゃん。カッコつけず、そのままを見せたらいいんだよ。

赤木:SNSはつい飾りたくなっちゃいますね。

成人式の日に東京に来るも、そのまま住所不定無職に

赤木:理事長さんの経歴って謎に包まれていますが、生まれはどちらなんですか?

理事長:俺は岩手県の生まれで15歳から住み込みで2年くらい工務店で働いて、そこから20歳の成人式の日に、成人式が終わった足で車に道具を積み込んで東京に出てきたんだよね。

赤木:もともと東京で独立したいと思ってたんですか?

理事長:どうせなら田舎より東京でと思って、後は何も考えずに出てきた感じだったね。貯金も10万円しかなかったし、それも途中でパチンコで溶かしちゃって(笑)

赤木:計画性がなさすぎる(笑)

理事長:それで神奈川に来たんだけど、住所がこっちに無かったからどこも雇ってくれなくて、2ヶ月くらい住所不定無職みたいな形になって、なんとか地方出身の工務店の社長が雇ってくれて助かった感じだったね。

赤木:もともと大工になろうと思ってたんですか?

理事長:実家がクロス屋やってて、兄弟も親戚もみんなクロス屋をやってたんだけど、小学生の頃から夏休みにバイトで駆り出されたり、出張とか行かされたりしてて。

赤木:小学生が出張!

理事長:それでクロス屋にはなりたくないって思って、やっぱり大工だなって思って大工になった感じ。

赤木:ものづくり自体は好きだったんですよね?

理事長:それが、全然好きじゃなくて(笑)勉強ができないって自覚があったから、手に職つけるしかないって思ってたんだよね。ぶっちゃけると別に好きでもないし得意でもない。(笑)

赤木:好きじゃないし得意じゃない(笑)

理事長:でも働くこと自体は好きだし、好きになる為に色々やってきた感じかな。

リフォーム業界初、プレカットで特許を取得

理事長:それで1年後に独立して、ハウスメーカーの新築手間請けを4-5年くらいやってたかな。でも一人親方には興味が無かったから、その頃にはもう従業員はいて、3-4人くらいでやってたね。

赤木:最初からチームでやってたんですね。

理事長:でも、新築の手間請けじゃ事業を大きくできないし、全部マニュアルで決まってそのとおりに作るから面白くないんで、25歳の時にリフォームの道に進んだのよ。

赤木:そこで今の仕事に繋がるんですね。

理事長:当時はリフォーム専門店もまだ無い頃で、額が小さいからうまく行かないって言われてて、新築を請け負う工務店がアフターフォローみたいな形でやってた程度だったんだよね。

赤木:そういえば昔はリフォームってあんまり聞かなかったかも。

理事長:それが今やリフォームの市場がめちゃくちゃ大きくなってるからね。

赤木:確かに、資材価格の高騰もあるし、これからも新築よりリフォームとかリノベーションの流れが続きそうですね。

理事長:33歳くらいまでは俺も現場で大工やってて、34くらいから大工と現場管理を一緒に請けるようになったんだよね。

赤木:リフォーム業界の黎明期から携わってこられたんですね。

理事長:リフォームは面白いんだけどさ、新築と違って職人さんの応用力で成り立ってる部分が多くて。市場が小さい頃はよかったんだけど、ここまで市場が広がったならリフォーム用の技術体系があってもいいと思うね。個人差も大きくてクレームが出る場合とかもあるし。

赤木:新築みたいにマニュアル化する必要が出てきているんですね。

理事長:うちでも効率化できないか色々と試行錯誤してたんだけど、やっぱり根本的に変えないと無理になってきて、それで特許を取ったんだよね。

赤木:工務店で特許って、凄く珍しいですよね。どんな特許だったんですか?

理事長:フローリング材をプレカットするっていう工法なんだけど、今までは現場で切っていたものを、工場でプレカットするようにしたのよ。

赤木:プレカットっていうと新築のイメージですが、それをリフォームの世界で応用したんですね。

理事長:これは色んな建材メーカーが5年前くらいから取り組んできたことだったんだけど、新築と違ってリフォームでプレカットって難しくて、未だにメーカーではできてないんだよね。

赤木:職人さんの技術ありきなんですね。

理事長:最初はお客様の家での騒音とか木くずの汚れがでないようにできないかって考えただけだったんだけどね(笑)これで、元々2日くらいかかってた作業が1時間くらいでできるようになったわ。

赤木:まさに技術革新…

愛される会社を目指して

赤木:会社として次の展開を考えたりしているんですか?

理事長:売り上げでいうと4億円くらいを目指しているけど、それ以上に「愛される会社」を目指していきたいね。それが存在意義だと思ってる。

赤木:愛される会社っていいですね。

理事長:大きくなくてもいいから、色んな人に応援してもらえる会社、潰れてほしくないと思ってもらえる会社を目指していきたいね。あまり小さい会社でいるのは嫌だけどね。

後編に続く

職人の労働後メシ〜究極の空腹スパイス〜にて豊崎さんの動画を公開中!こちらもぜひご覧ください。