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2022.8.23

養うべきはグッと踏みとどまる力 現場を転々とする流れ者にならないために

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建設作業員は他の仕事に比べると、人の流動性が高い。
いま働いている現場の人や環境が自分に合わないと思ったら、新天地を求めて別の会社、違う都市に行ったとしても、体力と腕さえあれば一から再出発しやすいのは事実。
同様の理由により、他業種からの参入も、デスクワークや特殊な技能を必要とする業界などと比較すればハードルはそこまで高くない。

だが、それをいいことに少し嫌なことがあったからといって、現場を転々をするのはあなたにとってマイナスだ。

現場監督や同僚と意見がぶつかったり、待遇に不満があったりする時、「だったら辞めます」とタンカを切るのは、それなりに気持ちのいいものではある。

とは言っても、本当にあなたにとってプラスになり、なおかつ必要なのは、そこで考えを働かせてグッと踏みとどまる力。

辞めるのは最後の手段と心に刻み、人との縁やキャリアの積み重ねを無にしてしまわないことで、ワーカーとしてきっと次のステップに行けるようになる。

それでも仕事中ついカッとなったり、嫌になったりするとブレーキが効かないという方のため、辞めたくなった時に思い出していただきたいアドバイスを、ここでは皆さまにお伝えしたい。

人生のリセットボタンを軽々しく押すなかれ

まず最初に確認しておくと、仕事を辞めるも辞めないも全ては個人の自由。だから、「いきなり退職すると会社や同僚に迷惑をかけるからよろしくない」などと正論を吐くつもりはない。

そうではなく筆者が強調したいのは、職業選択の自由があるからといって、仕事を転々としすぎて「辞めグセ」が染み付いてしまうデメリット。

他者がどうこうではなくあなた自身にとって損であるから、できる限り踏ん張る努力をした方がいいという提案である。

職場で嫌な人間がいたり、理不尽なことで怒られたり……そういう時、もうこれ以上ここに一瞬たりとも居たくないという気持ちに襲われることは、確かにある。

だからといって退職の手続きも踏まず、ある日突然行方をくらますというのは、あたかも人生のリセットボタンを押す行為。

それが1回こっきりで済めばいいが、過去のつながりを捨て去ることに抵抗がなくなると、大概はリセットボタンを連打する生き方になる。

そうして気が付けば一人になり、仕事も日雇いのような現場しか入れなくなるーーこういうタイプは少なからずいるものだ。

溶接と電気工事をなりわいとする筆者の知人は、
「せっかく業界に入ってきたのに、すぐ辞めちゃう若いのは結構見てきた自信がある」
と前置きして、リセットボタンを押しがちな若手について次のように分析する。

「まず目立つのは、怒られたり誰かとモメた時に、ブチ切れちゃう奴だね。
さすがにホワイトカラーの世界と違って、『怒られた経験がないから叱られるとすぐ辞める』なんていうのはそう多くないと思う。

どちらかというと人間関係の構築が上手じゃなくて、売り言葉に買い言葉でアツくなったり、血気盛んすぎてぶつかっちゃうケースの方が目立つね。

あとはケンカにはならなくても、内心ぶんむくれていきなりいなくなったりとか。
自分がいつもアドバイスしているのは、怒られた時に理由をちゃんと考えろってこと。
仕事で意味があることなら、それはぶっちゃけ仕方ないんだよ。

言わなきゃいけないことはちゃんと言うのが本人のためだし、みんなが怪我しないためでもあるから、例えば入ってきたばかりの奴が高所から物を投げてたら、相手にどう思われるかとか関係なく俺だって怒鳴り飛ばすよ。

ただ、中には好き嫌いとか虫の居どころ次第で、若い奴にオイコラ言ってる嫌な人間もいるからね。
相手がそういう奴だと思ったら、自分は心の中で『コイツと同じレベルに落ちる方が負け』って思っておけばいいんだ。


俺も現場で見習いやってた頃、昼休みに先輩からカップラーメンのお湯入れてこいって言われて、『テメーこのお湯の量、ナメてんのか!』とかシャレにならないくらいガチ切れされてさ。

仕事で怒られるならまだしも、カップ麺のお湯だよ?
その時はカーッときたけど、後になって『お湯が足りないとか言ってそこまで怒る、あんたの人生って何なんだよ?』と考えたら、どうでもよくなった」

どこの職場でも言えることだが、一番面倒なのは人間関係。
どうにも気に食わない人間、ウマが会わない人というのはいるもので、だからといってその者と離れるために仕事を辞めるのはもったいないと彼は言う。

「新人の時に教育係みたいな感じでついた先輩が嫌な奴だったりすると、まあ確かにキツいよな。
こっちは仕事で必要だから聞いてるのに、『そんなことも知らねーのかよ!』とかいちいち言ってきたりとか。

それで聞きづらいからって勝手にやったらもっと怒られるから、やっぱり聞くしかないんだけどさ。
だからってハズレを引いたとか言って辞めてたら、それこそ職場を転々とするハメになって、経験もスキルも身につかない。

自分からすれば『辞めてやった』っていうので気持ちいいのかもしれないけど、それってメリーゴーランドみたいなもんでね。

職場は変わっても結局は同じレベルのところをぐるぐる回っているだけで、どれだけ長く乗ってても見える風景は変わらないんだよ。

逆に、一見毎日同じことの繰り返しに思えても、ひとところでコツコツ頑張っていると、仕事を任されるようになったり単価のいい現場に入れるようになったりと、世界が違って見えてくるものなんだ。

もし嫌な奴に出くわしたら、むしろそいつが音を上げるまで居続けてやることが本当の勝負だよ。
嫌われるようなことをしている人間は、どうせそのうち周りからうとまれて自分から消えてくれるもんだ」

最後にリングに立っていた者こそ勝者

怒りは己のためならず。
そのエネルギーはむしろ心の中で静かに燃やし、「いまに見ておれ」とばかりに仕事の腕を磨くために費やした方が、あなた自身の成長につながる。

だが、個人事業主として働いている別の知人いわく、速攻で辞めてしまう人の中には、全く違う理由で我慢が効かない人もいるのだとか。

「業界に入ったばかりの見習いと2人で仕事をする現場とか、結構あるのね。
そうするといろいろと聞かれるから、自分が分かることなら答えるんだけど、中には『何回くらい現場入れば独立できますかね?』って聞いてくる若い奴がいるんだよな……。

早く一本立ちしたい、もっと稼げるようになりたいっていうギラギラした気持ちを持つのは悪いことじゃないけれど、よくよく聞いてみたら仕事は今日が初日だって言うんだよ。

『いや、まだ何にもできないのにあと何回で独立とか、そもそもおかしいだろ』と思いつつも、必要な経験とか資格を順に説明したら、翌日から来なくなっちゃってさ。

俺だって普通にやっていたら独立できたくらいだし、全然難しいことを言ったつもりはないんだけど、彼はその努力すら面倒だと感じてしまったんだろうね。

でも、その姿勢じゃどこの業界行ったって同じだと思うんだよな」

夢や希望を大きく持つのは、若い方にとって大事なこと。
だが、あまりにも現実とかけ離れたものであった場合、それはあなたの成長を阻んでしまう。

また、建設業界で働く現場監督や職人が年収を上げていく方法については以下の記事で解説しております。

建設業の職人が年収を上げるには?転職・独立・副業それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴とは

個人的な意見を言えば、それほど独立したいのだったら業界入りする前にあらかじめ下調べをすべきだし、何なら『週刊助太刀』を見ておけばいいのにと思う。

その上で先輩にアドバイスを求め、後はひたすら目標に向かって努力する。
むろん能力やセンスなど個人差はあるため、職人として一人前になるまでの時間に差はあるだろうが、とにかく投げ出すことだけはしない。

そうすればよほどの問題がない限り、いつかきっとモノになる。

何しろここで話を聞いた2人の知人自体、長年の付き合いだし本人たちも否定しない確信があるため遠慮なく言えるのだが、生きることに極めて不器用な人たちだ(なお筆者も人のことは言えない)。

ただ、かつての同僚たちが一人、また一人と辞めていく中、彼らは自分の持ち場を守り、人との付き合いを断ち切らず、コツコツと頑張ったがゆえに職人として立派に食えている。

結局、何の業界でも言えることだが、最後までリングに立ってた者が勝ち。
人間関係にしろ仕事にしろ、投げ出すのは一瞬のことだが、それで失うものは計り知れない。

怒りに震える瞬間があったとしても、ひとときの我慢は自分のため、この業界で稼ぐためと思い直し、ぜひ心を鎮めて仕事に向き合っていただきたいものである。

以下の記事では頑張っている建設業の皆様のさまざまな悩みについて解説しております。

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文/御堂筋あかり
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