高所で作業を行うことも多く、命の危険も伴う仕事なので給料が高いのではないかと思う方もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか?
実は鳶職の平均年収は他の建設業の職人と比べても大差はありません。しかし、鳶職の需要は高く、今後も将来性がある仕事といえます。また、自分で会社を興し、規模を拡大すれば年収1000万円に到達することも夢ではありません。
今回は、鳶職の平均年収・給料・ボーナスについて、年齢別・経験別・会社規模別など様々な角度から解説していきます。また、年収1000万円を稼ぐ鳶職の特徴や年収を上げる方法についても紹介します。
鳶職の収入事情が気になる方や、鳶職として年収アップしたいと考えている方向けの記事となっているので、現在鳶職の方や、今後鳶職になりたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
鳶職の平均年収・給料・ボーナスは?
まずは鳶職の平均年収・給料・ボーナスから見ていきましょう。厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によると、「とび工」の平均年収は393万円となっています。
平均年収 | 3,930,000 |
年齢 | 41.6 |
勤続年数 | 10.1 |
平均月給 | 307,400 |
平均ボーナス | 241,200 |
参考資料「とび工_平均年収」シート(令和元年賃金構造基本統計調査より)
307,400円(平均月給) × 12ヶ月 + 241,200円(平均年間賞与) = 3,930,000円(平均年収)調査対象者の平均を見ると、41.6歳の場合、月給が307,400円で年間賞与が241,200円となるため、以下の計算で平均年収を算出することができます。
また、厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査においては、とび工のみのデータはなく、「建設躯体工事従事者」として一括りにされています。この場合の平均年収は、約411万円となっています。
年齢別の平均年収
次に、鳶職の年齢別の平均年収を見ていきましょう。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査によると、男性のとび工の平均年収は年齢が上がるとともに右肩上がりに増えていき、45〜49歳にピークを迎えます(約475万円)
参考資料「とび工_平均年収」シート(令和元年賃金構造基本統計調査より)
年齢を重ねるとともに技術も磨かれていき、役職に就くことも多い50歳前後が年収の高い年齢層であるといえます。
経験年数別の平均年収
次に、経験年数別の平均年収を見てみましょう。
参考資料「とび工_平均年収」シート(令和元年賃金構造基本統計調査より)
男性とび工の場合、経験年数が増えるにつれて平均年収が上がっていきます。経験年数が15年以上だと年収が下がっていますが、これは鳶職の場合、年齢が高くなると第一線を退く人が多いためです。一覧として見るとこのような結果になっています。
会社規模別の平均年収
最後に、会社規模別の平均年収を紹介します。
会社規模別で見ると、意外にも平均年収に大きな差はないことが分かります。
参考資料「とび工_平均年収」シート(令和元年賃金構造基本統計調査より)
ただし、厚生労働省が発表している統計とは言えど、必ずしもこの通りとは限らない可能性もあります。実際は規模が大きい会社ほど、大規模な案件が集まりやすくなります。大規模な案件の場合はその分報酬も大きいため、社員に還元される分も大きくなる可能性が高いといえます。
鳶職の将来性
鳶職は今後も将来性が高い職種といえます。新しく建設する建築物だけでなく、すでに建設されている建物の保守、保全でも足場は必要になるため、常に仕事はあると言っていいでしょう。
他にも、都市部の再開発や災害復興、防災工事など鳶職が必要な現場はたくさんあります。また、仕事の性質上、AIや自動化が難しいため、職人が自ら現場に出て作業を進める必要があります。特に就職という点では鳶職は将来性が高いと言えます。
これらのことからも、近い将来で鳶職の仕事がなくなる可能性は非常に低いといえます。
年収1000万円を超える鳶職の特徴
上記で紹介した通り、会社勤めの場合は年収が決して高いとはいえないため、年収1000万円に到達するのは限りなく難しいと考えてよいでしょう。
しかし、鳶職で年収1000万円以上稼いでいる職人がいることも事実です。
実際に年収1000万円を達成しているような鳶職は、以下のような特徴を持っています。
会社を経営している
年収1000万円という額を超える鳶職は、多くの場合独立しています。独立することで、自ら働いた分がそのまま収入となるので、こなす案件の数や報酬単価次第ですが、会社員時代の収入を超えることは十分可能です。
従業員を雇っている
年収1000万円を目指す上で独立していることは必須ですが、一人親方ではこなすことができる案件に限りがあります。鳶職の仕事のみでは単価も上がりづらいため、1人で年収1000万円を得るために必要な売上をあげるのはかなり困難です。
年収1000万円を実現している鳶職は、従業員を雇うことで対応可能件数を増やしています。対応できる件数が増えると当然売上も増えていくため、結果として自らの年収も上がっていくことになります。
つまり、独立した後に法人化し、従業員を雇用することで年収1000万円以上稼げる可能性が高まるのです。また、例えば事務作業が苦手な方でも、事務作業が得意な従業員を雇う事で、ご自身は現場に専念したり営業活動を行う事で売り上げアップを目指していくこともできます。
鳶職が年収を上げるための方法
最後に、鳶職が年収を上げるための方法を紹介します。今後年収を上げたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
資格を取得する
鳶職の仕事をするために必ず持っていなくてはならない資格はありませんが、会社勤めでも一人親方でも資格を取得することで得られるメリットは多くあります。
たとえば会社勤めの場合、資格を持つことで重要な仕事を任せてもらいやすくなります。また、転職の際にも大きなアピールポイントとなるでしょう。
一人親方の場合でも、資格を取得することで仕事をもらいやすくなります。取得難易度が高い資格を持っている鳶職であれば、単価が高い案件を任せてもらえる可能性も高くなるでしょう。資格取得を目指すのは年収アップの為にとても有効な方法です。
鳶職には、
・足場組立て等作業主任者
・玉掛け技能講習
・建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者
という、鳶職にとっての三種の神器と呼ばれる資格があります。これらの資格を取得するのはもちろん、「一級とび技能士」や「職長・安全衛生責任者」といった資格も鳶職として働く上で有力な資格です。
鳶職の資格については以下の記事で詳しく説明しております。
鳶職に必要な資格とは?玉掛け技能講習、とび技能士など取得すべき資格を紹介
転職する
最も手っ取り早く年収を上げるには、より給与条件の良い会社に転職するのもおすすめです。会社勤めで高年収を狙うのは難しいものの、着実なキャリアアップにはなります。
特にまだ独立して成功するほど経験やスキルがない場合は、様々な職場を経験してスキルを培い、人脈を増やしていくのが確実です。独立しても稼ぐことができる自信と実力が身についたときに、独立を決断するとよいでしょう。
鳶職の求人はこちらでご覧いただけます。
独立して会社を興し大きくする
鳶職として高年収を目指すのであれば、まず独立することはマストです。前述した通り、ただ独立して一人親方として活動しても年収1000万円クラスに到達するのは難しいため、従業員を雇って組織化し、規模を拡大する必要があります。
独立する上で助太刀を利用した生の声をインタビューさせて頂きました。
上京の不安を払拭した助太刀、「直接会う」だけで良い出会いが生まれる
また、仕事の増やし方に関しては以下の記事で解説しております。
一人親方がすべき仕事をもらう3つの方法を紹介!
ただし、従業員を雇う以上は上に立つ者としての責任も生じます。鳶職として十分な技術とともに、的確な指示を出したり、部下の相談に対応したり、良好な人間関係を築き上げたりするなど高いコミュニケーション能力も備えておくべきです。安定して仕事を受注し続け、従業員にしっかりと給料を支払う必要があるためです。自分の利益のことばかりを考えるのではなく、従業員のことを思いやる心も忘れないことが重要です。
そういった点では、自分の右腕になるような従業員を雇って、他の従業員のとりまとめや会社経営にまつわる業務を分担するというのも一つの方法です。規模が大きくなっても、社長一人で見ていられる範囲は決まっています。そんな時に、ご自身の右腕になるような社員がいれば心強いです。
まとめ
今回は鳶職の平均年収・給料・ボーナスを解説するとともに、年収アップの方法について紹介しました。
鳶職は見習い期間も長く、年収が上がるまでに時間がかかることもありますが、コツコツ地道に日々の仕事をこなすことで技術を身につけることで年収をアップすることができます。そして自分の仕事に自信を持てるようになれば独立し、法人化することを検討するのも良いでしょう。
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