塩害とは、塩分を含む海水や潮風、さらに塩分を含む土壌や砂利によって、植物や建築物、構造物に障害をもたらすことを指します。

海岸や河川での土壌の海水浸食の他、台風や津波による一時的な冠水によっても海岸から離れた内陸部でも被害が及ぶことがあります。

鉄筋コンクリート構造物では、十分に洗浄されていない海砂利を骨材として使用することにより、塩化物イオンが鉄筋を腐食させて内部で膨張が生じます。これによりコンクリートに引っ張り力が働き、コンクリート表面の剥離やひび割れが生じることで鉄筋が剥き出しとなり、さらなる鉄筋の腐食に伴いコンクリートそのものの剥落が進行する塩害があります。

鉄筋とコンクリートが一体であることで設計された強度を発揮することができますが、内部の鉄筋が腐食することで引っ張り強度を発揮できず、コンクリート部分もまたひび割れや剥離による断面形状の変化によって圧縮強度を発揮できなくなります。

高度成長期に建設された構造物において、この塩害による問題が多く見られます。

融雪剤(凍結防止剤)に含まれる塩化ナトリウムや塩化カルシウムの塩によって、道路構造物(コンクリート部分)に影響を与える恐れもあります。

海岸付近や塩害の恐れがある住宅やビル等の建築物では、鉄製部材や外壁への塩害対応の塗料が用いられ、また、エアコンの室外機や給湯器においても躯体の塗料や内部基盤のコーディングなど耐塩害仕様のものが用いられています。