ボイリングとは、土中において水位に高低差があり水の流れがある場合、水位差が大きくなるにつれて浸透水圧が高くなり、下方向に働く土圧の有効応力が減少、さらにはゼロに近付きます。この時、粘着力のない砂などの土質では、上方向に働く浸透水圧によって土粒子が水中を浮遊する現象が発生し、これを「クイックサンド」と呼び、ボコボコと砂が沸騰したような現象のことを指します。

その他、土中の弱い砂質土の部分を流れて生じるボイリングを「パイピング、piping」と呼び、透水性の低い粘土質の土壌において上向きの浸透圧によって土俵面が徐々に膨れ上がる現象を「ヒービング、heaving」と呼びます。

主なボイリングの対策として、地盤内に懸濁型(セメントミルク、セメントなど)や溶液型(水ガラス系、高分子系)の注入剤と、浸透注入、割裂注入、割裂浸透注入、境界注入の注入形態を地盤状況に合わせて選択して施工する「薬液注入工法」、掘削面よりも深い位置に集水マスを設置し、水位の高低差による湧水を汲み取る「釜場(かまば)排水工法」、掘削構内や構外に深井戸を設置し、流入する地下水を汲み上げて地下水を安定させる「ディープウェル工法」、ストレーナー(ろ過機能を持つ網状の器具)を装着したパイプの先端を状況に応じて地盤内に複数を打ち込み、強制的に地中内の水を排出する「ウェルポイント工法」の4種の工法があります。