シートパイルとは、土留めや止水に用いられる矢板(板状の杭)の一種です。矢板には木製、鋼製、コンクリート製がありますが、シートパイルは鋼製で、鋼矢板(こうやいた)とも呼ばれています。工場でシート状の鋼板にリブを付けて成型することから、シートパイルという名称になりました。

基礎工事や地下室工事などで地盤を掘削する場合、シートパイルを打ち込んで仮設の土留めをつくり、土砂崩れや地下水の侵入を防ぎます。シートパイルは仮設工事ですが、引き抜かずに基礎のフーチングと接合させ、構造物として有効利用する「シートパイル基礎工法」もあります。

シートパイルは止水効果もあるため、護岸や防波堤にも利用されます。これらは仮設ではなく永久的に置かれる構造物です。また自然環境に配慮した透水性鋼矢板(河川の護岸用)や、海水でも腐食しない鋼矢板などもあります。特殊な用途には、液状化現象や地盤沈下への対策、耐震補強などがあります。

シートパイルにはさまざまな形状、大きさ、厚みがあり、断面性能(強度)や施工性が異なります。台形のハット型は、強度の高い断面形状です。同じ向きで打ち込める継ぎ手がついているため、施工性に優れています。U型は古くからある伝統的な形状ですが継ぎ手が左右一緒のため、互い違いの向きで打ち込む必要があります。直線型はつなげることで巨大な円形セル型防波堤となり、海中に建て込まれます