「偏芯」とは、「中心から偏っている」という意味の言葉である。たとえば、レンズが光軸からズレている時は「レンズに偏芯がある」などという。
建築においては、重心の位置が中央から移動していることを「偏芯している」「偏芯がある」などと呼ぶ。狭義的には、構造物の重心が剛心から離れていることが「偏芯」である。

なお、建築業界では「偏心」という表記も見られるが、「偏芯」と意味は同じ。どちらかといえば「偏心」のほうが「偏芯」より多く見られる。

広い空間を作る場合、柱や壁を1箇所に集中させると偏芯(偏心)が生じる。日当たりの良い南側に開口部を設けて北側に壁を作る場合にも偏芯(偏心)ができる。

「偏芯基礎」(偏心基礎)とは、基礎の中心と基礎柱の中心が一致しない基礎をいう。曲げモーメントに対応するなど、構造上の理由であえて偏芯基礎にする場合がある。障害物などを避けるためにやむをえず偏芯基礎になる事例も見られる。
偏芯の割合を数値化したものが偏芯率(偏心率)である。建築基準法では、建築物の偏芯率が0.15または0.3以下になるよう義務付けている。偏芯率の数値が低いほど耐震性に優れる。
偏芯の度合いを測定する機器はいろいろな種類のものがある。「偏芯度測定機」「同芯度測定機」などといった名称で販売されている。