建築の世界でいう水合わせとは、主に伝統工法で土壁を施工する時に使う言葉である。

伝統的な日本建築に見られる土壁においては、壁土に藁などを細かく切った苆(すさ)を入れる。その際に、壁土を水と混ぜ合わせて練った後、壁に塗り付けるまでに湿り気を保ったまま保存しておくことを「水合わせ」という。水合わせをすることで苆の発酵が促され、壁土の強度や粘性が増す。水合わせの期間は、気温の高い夏場でも1カ月程度必要とされ、長いと半年以上も水合わせに費やされることがある。

水合わせの期間中にも時々壁土を練り返し、いつでも施工できる粘度を保たなけれなならない。水や苆、川砂などを適宜補充し、粘度を調整することも必要。

水合わせが終わった壁土を、竹で編み込まれた下地の両面に塗り付ける。厚さは柱の太さに合わせ、50mm以上にする。
完全に土壁を乾燥させないと、ひび割れや亀裂が浮き上がるおそれもある。そのため、工期に余裕がある現場では、半年以上乾燥に時間を掛けることも。
近年では、モルタルなどを練った後に、空合わせした材料に水を加えることも「水合わせ」と呼ぶ。硬化不足の防止や色むらができなくなるようにするためにも、水合わせは大切な工程である。