トラベリングとは工事方法のひとつで、屋根などの構造物を移動させながら架設していく工法です。トラベリングフォーム工法と呼ばれることもあります。大架構を複数のブロックに分割して組み立てて、躯体上部に設置した走行レールに載せて移動させながら全体を組み立てていきます。コストの低減や、工事期間の短縮、省力化を図れます。

また、コンクリート打設後、脱型可能な強度に達した時に、型枠全体をそのまま次の打設場所に水平移動して繰り返しコンクリートを打設する技術提案と説明されることもあります。大きく3つ、大パネル形式、門型形式、トンネル形式に分類できます。加えて、組立や解体の困難な場所などで作業ができます。アーチやシェル、トンネル覆工、連続シャーレン(屋根スラブ)、床版(建物や道路)などに採用されています。

トラベリング工法は、国宝に関連する作業にも用いられることがあるほどのメリットを有しています。実際、国宝唐招提寺金堂の素屋根工事にも利用されました。素屋根の解体工事では、トラベリング動力50tVSL油圧ジャッキ×2台が使用されています。作業については、ジャッキ操作、ジャッキ監視として4名のジャッキ工がトラベリングを実施しています。