建築において「ふかす」とは、「所定の寸法よりも大きくする」「所定の寸法よりも厚くする」ことをいう。漢字で「ふかす」を書くと「付加す」になる。
具体的には、仕上げ線や仕上げ面を所定よりも前に出すことである。配管のスペースを確保するために壁を厚くしたり、見栄えを良くするために柱や梁を前に出すことなどが「ふかす」という工程である。既存の面より前にさらに木材で下地を組んだり、パネル状の建材を張ったりするなどで対処する。
コンクリートの場合は、かぶり厚さを確保やひび割れ対策などの目的で、余分にコンクリートやモルタルを打つことを「ふかす」という。そのような目的で打設したものを「ふかしコンクリート」などと呼ぶ。コンクリートの「増し打ち」も、「ふかし」と同じ意味と考えて良い。
所定の位置より前にふかして設置した壁は「ふかし壁」と呼ばれる。デザイン性を高めるためや収納スペースを確保するためなどに、ふかし壁を採用することが多い。
ただし、建材を余分に使用するため、当然だがその分だけ費用が掛かる。部屋などの場合、利用できるスペースが減る。外壁をふかす場合は、継ぎ目のシーリングが不完全な時などに、壁の内部に雨が入り込むおそれがある。