かえしとは言葉の通り「返す」ことを指します。
例えば、一般住宅では筋交いを入れますが、一方向だけでは耐力が弱いので入れた方向とは逆方向に逆向きで筋交いを入れます。このことを「かえしをいれる」と言います。
また、通り芯・柱芯の墨をうったときにその墨が消えても大丈夫なように、その通り墨から一定距離戻した場所にうった墨の事を「かえり墨」と言います。
窓台や敷居の関口部や水回り部分に、雨水などの浸入防止用として取り付けるL形状の突起物のことを「雨返し」と言います。
防火戸など煙の通過を防ぐように工夫した構造の事を「煙返し」塀の上や外壁などに先のとがった木や釘などを設置しておき、乗り越えられないようにしたものを「忍び返し」柱と柱の間に中鴨居・床框・落とし掛けを取り付ける際に、水平材を片方の柱に大入れで差し込んでから反対方向に少し戻して他方の柱に取り付ける「遣り返し」45°より勾配の角度が大きい場合,その角度から45°を差し引いた勾配をいう「返し勾配」や壁型枠の内壁(または外壁)の反対側の型枠を言う「返し壁」など様々な建築用語にかえしという言葉が使われています。
このように、かえしとは「戻す」や「反対方向」など逆のことを通称で「かえし」と言います。