ヘアライン加工とは、金属の表面加工方法の1つで、一方向へ細かいラインに傷を付けて仕上げたものを言います。ステンレスやアルミニウムに多く用いられ、家電製品や、造作キッチン、アクセサリーなど、幅広く使用されています。
ヘアライン加工の方法
ヘアライン加工は、通常、ベルト研磨機を使用し加工されます。高速回転させたベルトに加工材を当てて、一方向に表面を磨くことで完成します。研磨の幅や形状を工夫し、風合いの変化を出せます。
ヘアライン加工のメリット
・高級感が出る
平面の鉄板に、ヘアライン加工を加えることで、立体感が出ます。また、シャープなラインが入ることで、高級感も増します。インテリアや、アクセサリーに用いることで、鏡面加工にはない上質な印象を与えられます。
・デザイン性の向上
ヘアライン加工は、幅広いデザインに対応しており、クロスや円状などの模様を組み合わせる事により、さまざまな印象を持たせられます。
・比較的安価で生産できる(ベルト研磨機使用)
複数枚の板を連続的に大量生産すれば、比較的安価に生産できます。しかし、一点物を加工する場合、逆に割高になる場合があります。
ヘアライン加工のデメリット
・長期的管理が難しい
ヘアライン加工は、表面に傷を付けてデザイン加工を行っているため、デザインが、長期的に続くわけではありません。ヘアライン加工されたものを、天板やアクセサリーなどで使用していると、もともとの加工の向きと、違う方向にできた小キズが目立ってきます。そうなると、お手入れが必要になり、長期的に管理するのは難しい加工法であると言えます。
・加工できる材質が限られる
基本的には、ステンレスやアルミニウムが多く加工されています。他には樹脂なども加工できますが、どの材質でも加工できるわけではありません。ステンレスの中でも、ヘアライン加工に向いているステンレスは、SUS300番台のステンレスで、摩擦に強いクロムと、低温の衝撃に強いニッケルを1割以上鉄に混ぜ込んだものです。材質の違いには注意しましょう。