焼なまし、焼鈍、焼き鈍し、焼鈍し、とも表す。鋼材を熱処理する際の手法の一つとなります。鋼材に熱を加えてその後冷却を行います。この作業により鋼材内部の組織が大きく、かつ均一化され、柔らかく加工の容易性の高い鋼材となります。この作業を行わずに金属加工を行うと、材料内部の組織が均一化されていないため、加工の精度が低下します。
焼きなましの中にもいくつか種類があり、代表して、拡散焼きなまし、応力除去焼きなまし、球状化焼きなまし、完全焼きなましなどがあります。これらは鋼材の使用、加工目的によってそれぞれ選択する方法が異なります。焼きなましと混同しやすい鋼材処理の方法に焼きならしという手法があります。この二つの手法はその工程や得られる効果も類似しています。
ただし、厳密には焼きなましは主に鋼材を柔らかくすることを目的としていますが、焼きならしでは鋼材内部の組織を均一化することを目的として行います。焼きなましでも鋼材内部の組織を均一化する作用があり、どちらも処理により得ることのできる効果が類似しているため混同しやすいですが、焼きならしの方が鋼材の機械的性質を向上させることができるという点があります。焼きならしは漢字では焼準と表し、字体からも組織の均一化という特徴を連想させやすいものとなります。