方位とは、東西南北の方角を基準とした角度のことです。図面や地図では、北を象徴的に描いた方位記号を記載します。この場合、北は磁北(じほく)もしくは真北(しんぼく)で表します。

一般的に行われる方位の測定は、方位磁針(コンパス)のN極が指す方向を北とする方法が用いられます。これを磁北といいます。しかし、建築においては、真北(しんぼく)が重要とされています。真北とは、経線が示す北であり、北極点の方向です。

建築基準法の日影規制(56条の2)や北側斜線規制(56条1項3号)は、周辺地や隣地に落とす日影を規制することを目的としているので、太陽の位置とリンクしている真北を基準にした規定になっているのです。そのため、建築の配置図や平面図では、真北を示した方位記号が記載されます。

磁北の北と真北にはずれがあり、日本では磁北は西方向に傾いています。このずれの角度を把握することで、磁北から真北を割り出すことができますが、磁北のずれの角度は場所によって異なり、また年々変化しているのです。日本の場合、おおむね7度~10度の範囲にあり、正確なずれの角度を把握するには、国土地理院の「磁気図(偏角)」の最新版を用います。

この他の真北の測定方法としては、太陽の南中時刻に実際に落ちた影の方向を見極めるというものがあります。南中時刻は理科年表などで知ることができます。あるいは、北極星のある方位を押えることで、真北とすることができるのです。