「クリティカルパス」は、日本語に直訳すると「重要な経路」という意味の言葉です。建築業界だけでなく、さまざまな業種で「クリティカルパス」という言葉は使われています。
「クリティカルパス」という言葉の意味
一般的なビジネス用語としての「クリティカルパス」
作業効率を上げるために工程表を作成するのは、建築業界に限った話ではありません。工程表の中で、特にプロジェクトの完了を左右するであろう重要な経路が「クリティカルパス」となるのです。プロジェクトを進めるためにクリティカルパスはとても重要で、クリティカルパス内の作業が遅れてしまった場合はプロジェクトがスケジュール通りに進行しません。
プロジェクトに必要な工程をすべて挙げていき、それぞれの所要時間を見積もってから各工程の前後関係に従って連結していくとします。そうした場合に、プロジェクトの開始から終了までの間に複数の経路が現れるはずです。そのうちの、見積もった所要時間の合計が最も大きくなる経路が「クリティカルパス」となります。
建築用語としての「クリティカルパス」
建築業界の場合は、工事開始から終了までを、「前の工程を終えないと次の作業工程を始められない」という条件で各工程を結んでいくとします。その場合、所要時間が最長となるものを「クリティカルパス」と呼びます。他の経路上の工程をできるだけ短縮したとしても、クリティカルパス上の工程をすべて終えないと工事は終了しません。
建築の現場は多くの人員が作業に関わるため、工事計画や進捗状況を明らかにすることが求められます。計画通り作業ができているか、遅れている場合はどこが遅れてどうすれば遅れを取り戻せるかなど、知っておくべき情報は少なくありません。そこで、進捗状況を把握して作業を効率化させるためにも、クリティカルパスは必要不可欠なものとなります。
クリティカルパスの求め方や使い方は?
クリティカルパスの求め方
クリティカルパスを算定する方法で、「PERT図」と呼ばれるものを作成し、作業の流れを図式化するやり方があります。具体的な方法は、作業タスクを丸で表し、タスク同士を矢印で結ぶものです。工数や所要日数なども記載しておき、同じ丸から複数の矢印が出ているのは作業を同時進行できることを表します。
PERT図は手書きでもスプレッドシート等の表計算ソフトを用いても作成できますが、専用の作成ツールを利用すればより効率的です。特に建築では、事前調査・施工技術計画・調達計画・管理計画などにより、工程手順を明確にすることが重要です。いくつかの工程パターンを検証し、その中で最長となるものがクリティカルパスとなります。
クリティカルパスの使い方やメリット
クリティカルパスを利用するメリットは、第一に作業の優先度を決められることです。優先すべき作業がわかることで、重要な作業が何になるのかが明確になります。作業の優先度が明確化することで作業全体のスケジュールを把握できるようになり、クリティカルパス内の作業を早められるようにできます。
また、スケジュール変更があった場合にクリティカルパスが活用できます。作業の締め切りが急に前倒しになっても、クリティカルパスを把握しておけば対応に苦慮しないでしょう。さらに、今回の建築工事の進捗状況とあらかじめ想定したクリティカルパスを比較することは、次回以降の建築工事を効率良く進められるためのデータとして活用できます。
クリティカルパスを使う場合の注意点
建築工事では大小さまざまな作業を行う必要がありますが、大きな作業だけがクリティカルパスになるわけではないことに注意しなければなりません。細かな作業で時間がかかる場合もあります。そのため、すべての作業工程をリストアップしなければならず、その洗い出しに手間を取られる可能性があることに留意すべきでしょう。
まとめ
クリティカルパスの求め方や使い方を説明しましたが、クリティカルパスの作成は手間がかかるものです。しかし、クリティカルパスを活用することで、建築工事の効率が上がります。クリティカルパスを利用し、作業の無駄を省いて工期短縮などにつなげましょう。