向心力(こうしんりょく)は、物体を曲線軌道で動かす力のことを指しています。円運動で常に中心の方向へ引っ張る力のことです。また、「求心力」といわれることもあります。質量m、速度v、曲率半径rの経路に沿って運動している物体の向心力の大きさは、「mv’÷r」(v’はvの2乗)で表せます。
向心力は物体の速度の方向を絶え間なく変えて、直線運動から引き離して固定点(中心)のまわりに回転させます。重りをひもで結んで回転させるケースでいえば、ひもの張力が向心力です。その他、向心力と大きさが同じで、方向が反対を向いている力を「遠心力」といいます。円運動によって生じる遠心力は、向心力とつりあうという特徴を有しています。
向心力と遠心力は、知らない状態でいると危険を招く可能性があるので注意が必要です。例えば、移動式クレーンやジブクレーンで荷をつった状態から旋回させた場合、荷は旋回中心に対して外側に出ようとします。結果、円運動の半径が大きくなります。荷のまわるスピードが速くなるほど外側に出ることになって、クレーンの転倒を招く危険があります。よって、クレーンの旋回操作は、向心力と遠心力を理解して慎重に行う必要があります。