アスペクト比は、ひしがた形状の物における長辺と短辺の比率のことを意味しています。使用される代表的な物には、映像や紙、航空機、鳥の翼の形状、微細加工における穴径と深さなどがあります。また、建築分野では、長方形断面のダクトの縦横長さの比率を表すことが多い傾向にあります。数値が大きければ大きいほど、ダクトが平らだといえます。ダクト内部の風速は、風量と断面積で決まるので、平らになると内部を通過する空気抵抗も大きくなります。その結果、ダクトの空気抵抗も増えて、ランニングコストにも影響を与えます。加えて、長辺が長くなると騒音が起きる原因となるので、一般的にアスペクト比は5以内だとされています。
また、「塔状比」と呼ばれることもあり、「塔状比=建物の高さ(H)÷建物の幅(B)」で算出できます。値が大きくなればなるほど、縦に細長くなる形状です。塔状比の値が4を上回ると、その建築物は「塔状建物」といわれます。塔状建物は、台風や地震などの揺れに大きく影響を受けるので、さまざまな揺れに対応するための性能が必要とされています。つまり、倒壊の検討をする必要があります。その他、建設の免震を考える際は、高さと奥行きの比率でアスペクト比を考えます。いびつな形の構造物の場合は、平均短径化して算出します。