ラムとは、杭打機に装着するハンマーの錘(おもり)のことです。2~15トンもの重量があります。既製杭を地中に打ち込む基礎工事では、「三点杭打機」という建設機械にディーゼルハンマーや油圧ハンマーを取り付け、ラムを落下させて杭頭を打撃します。支持層がある地中深くに到達するまで打撃を続け、杭を設置します。

ディーゼルハンマーは、ディーゼルエンジンの力でラムを引き上げ、落下させて杭を打つ機械です。打撃力が大きい反面、排気ガスや騒音、振動などの問題があります。そのため現在ではほとんど用いられていません。油圧ハンマーは、油圧でラムを押し上げ、落下させて杭を打ち込む方式です。押し上げるだけでなく、ラムが落下する際にも油圧をかけて押し下げ、加速させるダブルアクション方式の油圧ハンマーもあります。排ガスが出ず音もディーゼルハンマーより低減されます。

ラムを落として杭を打ち込む打撃工法は、20世紀の杭工事の主流でした。ラムが落下するときに鳴り響く大きな音や振動が迫力を感じさせる工事でしたが、現在は騒音や振動が大きいためにほとんど行われなくなりました。杭打ちの技術が進化し、比較的静かな埋め込み工法が開発され主流となっています。