建築業界でいう「ハッカー」とは、建築現場で使われる工具の名前です。主に鉄筋同士を結束線で締め付ける時に使用します。

「ハッカー」とは

「ハッカー」の使い道

工具の「ハッカー」とは、多くの場合は鉄筋工が利用する物で、結束線(番線、針金)で鉄筋と鉄筋をつなぐための道具です。電気工事や設備工事などでもハッカーが使われることもあります。長さは30cmほどで、ステンレス製のモノが多く、スチールやチタン合金でできているものもあります。グリップの先端に穴が付いているものもあり、落下防止のために紐などで腰道具とつないでおくことができます。

先端はフック状になっている部分が付いており、長さは15cm前後。柄の部分にベアリングが入って回転する物が多いです。同じメーカーが製造するハッカーでも、フックの形状が異なっているものがあり、作業の内容や使い勝手の良さなどにより使い分けたほうが良いでしょう。ハッカーは安いもので千円前後、ベアリングが入っている高価なものは1万円以上します。

「ハッカー」に似た工具は?

「ハッカー」に似た工具で、主に鳶職人などに使われている「シノ」があります。しかし、「シノ」は「ハッカー」よりも簡素な作りであることが多く、ベアリングで柄が回転することはありません。ラチェットレンチの取っ手部分に尖った先端を付けた物であることが多く、ほとんどの場合で「ハッカー」とは別の工具であるとみられています。

最近では、トリガーを引くだけで鉄筋を結束できる電動の鉄筋結束機が、ハッカーの代わりに使われています。鉄筋の交差部にアームと呼ばれる先端部を差し込んでトリガーを引けば、自動で結束します。また、鉄筋を曲げるための工具も「ハッカー」と呼ばれる場合があります。その場合、鉄筋を結束する物は「手ハッカー」、鉄筋を曲げる工具を「鉄筋曲げハッカー」「台直しハッカー」などと区別しているようです。

「ハッカー」の使い方

「ハッカー」を使った結束線の結び方

ハッカーの使い方は、まず片手に結束線を持ち、もう一方の手でハッカーを持ちます。鉄筋の交差部分など結束したい場所に2つ折りにした結束線を通し、U字状になった結束線の先をハッカーに引っ掛けましょう。結束線は指で1本ずつ押し出せば輪になりやすく、ハッカーが引っ掛かりやすくなるでしょう。

次に、ハッカーに引っ掛けた結束線を軽く引き上げたら、手に持っている結束線も一緒にハッカーに引っ掛けます。それらを千切れないように3〜4回ねじって固定し、締め付けが終わったらハッカーを抜き取りましょう。鉄筋の両端を上方に引っ張り上げることで、鉄筋がずれるのを防げます。

「ハッカー」を使う際の注意点は?

まず、ハッカーは先端が非常に鋭利になっていますので、常に注意して取り扱うべきでしょう。むやみに振り回すなどしてはいけません。また、ハッカーは屋外で使用することがほとんどのため、サビがつきやすくなります。潤滑油などでサビを防止すると良いでしょう。ベアリングが付いているハッカーは、サビなどで回らなくなることがあります。

結束線を結ぶ時、2本の結束線が離れていると結束が弱くなるおそれがあります。結束線と鉄筋の交差部分とが密着していない場合も同様で、少し力を入れただけで結束部分がずれたりします。結束が弱いとコンクリートの強度低下につながりますので、結束線を上に強く引っ張るなどして、結束線がずれないようにしっかりと結ぶことを心掛けなけれななりません。

まとめ

ハッカーにもいろいろな種類があり、作業の内容や使い勝手の良さなどで選ぶと良いでしょう。結束線の結束が弱いと鉄筋の強度が下がり、コンクリートの強度低下にもつながりますので、ハッカーを使用する際は細心の注意を払わなければなりません。まずは安全第一を心掛けて、日々の作業に取り掛かりましょう