曲尺(かねじゃく)とは、大工道具のひとつであり、直角に曲がっている定規のことを意味しています。また、差し金と呼ばれることもあります。アルファベットのL型をしているのが特徴で、長い方を長手、短い方を短手(つまて)といいます。基本的には、長手が50cm、短手が25cmの場合が多いですが、サイズや目盛りの配置などはさまざまです。材質は、ステンレス、鋼などの金属製が一般的です。

材木の角度を測定する際に用いられ、角を木材にあてることで、その角が直角かどうかがわかります。加えて、分度器を使用しなくても、90°以外に、30°、45°、60°を測定できるため、非常に重宝されています。さらに、簡単に木材を均等に分割できるのも魅力です。また、表面には丸目、裏面には角目といわれる目盛りがあります。丸目を使用すれば、丸太、筒などの円周の長さを測れます。対して、角目の方を使えば、丸太から取れる最大の正方形の大きさを測定できます。これらは、三平方の定理、円周率など数学の知恵を使っています。

その他にも、幾何学的な応用によって三角関数を算出できるので、直角ではない角度をもっている柱や屋根の傾斜などの組み合う長さを求められます。

差し金(さしがね)も大工道具の一つで、L字型のステンレスや真鍮等の折れ曲がった金属板に、物差しの目盛りが付いた計測器です。丸太から角材の取出し寸法や角度を出すことに用いられます。

JIS(日本工業規格)では角度直尺(かくどちょくしゃく)と表記されます。同じ「さしがね」の読み方でも指矩、指金と記載することもあります。

曲尺はそのまま音読みをすると「まがりちゃく」とも読みますが、金属でできていることもあり、一般的には「かねじゃく」と読みます。漢字でも矩尺(かねじゃく)と記載することもあります。矩とは「かね」とも呼びますが、古来の中国で矢を用いて長さを計っていたことから出来た漢字となります。尺(しゃく)は長さの単位でもあり、1尺は約30.3㎝、その1/10の1寸が約3.03㎝となります。

日本では昭和34年のメール法の改正により、尺で表示する計量器の使用が禁止され、その為、現在の曲尺には1/33m(約3.03cm)刻みの表記がされています。裏面には表面の数値を2の平方根(約1.414)倍で刻んだ角目と、円周率(約3.142)倍で刻んだ丸目(まるめ)があります。丸太の直径部分を計ることで、角目は丸太から切り出す角材の寸法、丸目は円周長さを読み取ることが出来る目盛りとなります。